25話:魔道具の性能チェック(2)と…
少し投稿をサボっていました。すみません!
サボっていて言うのもなんですが、この作品は僕の処女作としてしっかりと完結まで持っていくつもりですので、よろしくお願いします。
それでは、お楽しみくださいm(_ _)m
ジュミさんの体がまばゆい光に包まれていく―――。
そして…次の瞬間にはそこに狼の姿はなく、代わりに黒くて艶やかな長髪の少女が立っていた。
ミィさんはもっと長髪というよりもむしろ短い方だし、この少女にはリボンが付いていない…。
ミィさんではない人間の見た目をした少女が、俺の目の前に立っていた。
「アーティ、これは…。」
「はい、マスター。成功です。」
「えっ、私、本当に人間に…?!」
「うまくいくとはな…。まさか、魔道具を1人で作るとは…。」
とクリ―リャロさんも驚いている。
「アサヒ兄ちゃん、やったね。これで魔獣の皆も人間の家で暮らせそう。」
「あぁ、そうだな。でもルウのスキルがないと打つ手無しだったよ。ルウのおかげだよ。」
「本当!?」
「もちろん。」
ルウはそれを聞くと、目をキラキラと輝かせた。
ルウが嬉しそうでよかったなぁ。
まぁ実際、ルウの擬態スキルを刷り込んで魔道具を作ったわけだし、ルウの存在なくしてこの魔道具は完成していないというのは、全く誇張がない表現だろう。
そう思って、クリーリャロさんたちの方を見ると、クリーリャロさん、ダザさんだけでなく、ミィさんまでも口をあんぐりと開けている。
「あれ、みなさんどうかしました?」
俺がそう聞くと、クリーリャロさんが
「…どんな名工になる人でも、始めのうちにつくったような魔道具はうまく機能しないと聞いたことがある。もちろん、ちゃんとした師の下でやり方を学んだ上でだ。
それをまさか、師がおらず、やり方を教えてもらっただけのアサヒが作る魔道具は、うまく機能しないどころか、ここまで完璧な擬態ができるようになったわけだ…。」
と答える。
続けざまにミィさんも
「…ここまで再現性を高く、作業ができるなんてね。」
という。
えっと…?
別にアーティに何をすればいいか聞いて、それをイメージして魔法を発動していっただけなんだが?
なんなら、集中力や再現性に関してはレシピを見ながらの料理と同等かそれ以下くらいだぞ?
するとアーティが声を発した。
「マスター。この世界には良くも悪くも、魔力が存在していますね。
しかし、この世界の古代の人々には、魔法が扱える人と扱えない人がいました。
これは、努力したからとか集中力があったからとかではなく、元から魔力の才能があった人と魔力の才能がなかった人です。
そんな時、才能がある人は才能がない人をその力によって屈服させていきました。
そして、この世界の人々はこう考えました。
どんな才能があっても、魔力の才能がなければひどい扱いを受ける、魔力の才能がないとその後の人生がめちゃくちゃになる…と。
ですから、この世界は努力や集中力、再現性の才能なんかよりも生まれた時点での魔力量を重要視されるようになり、この世界の人々は生まれてすぐからでも魔法を簡単に扱うことができますが、それ以外になるとマスターがもともといた世界の人々よりかは集中力などの力がかけているわけです。」
なるほどな…。現世とこの世界との重要視されている能力が違うんだ。
だからこそ集中力、再現性の平均値は下がり、ハードルも下がる。
そして、逆に魔力のハードルは高いようだ。
となると、ますます俺の魔力量が多いというクリーリャロさんの言葉には疑問があるが…。
「マスターの疑問に答えるため付け足します。
この世界の古代ではどれだけ努力ができる人でも、魔力がなければ弾圧されました。
ですから、生まれてすぐの魔力は多くても、その後の伸び幅が非常に小さいのです。
そして、国のような枠組みが完成してきた今では魔力量よりもスキルをより多く持っていたほうが良いという風潮に変わり、スキルは重要視されるようになりましたが、未だに努力する才能というのは軽視されたままなのです。
無論、努力もできて魔力の才能もある人はいますけど。」
努力する才能…か。
確かに現世には魔法なんていうものはなかったから、自分の能力を上げるときは勉強をして知識を蓄える人もいたし、筋トレをして物理的な力をつける人もいた。
これらは生まれつき持っているものでもなんでもなく、生まれたあとの努力が大切なことだ。
魔力もより力を蓄えることこそ大事そうだけど、この世界では努力なんてしていられる暇がなかった…。
―――まぁ、確かに生まれてすぐに魔力量で選別されるような世界ならば、努力よりも才能が重要視されるだろう。
…しかも、動物…この世界では魔獣が魔法を使って人間に襲いかかってくるわけだ。生まれつきのある程度の才能がないと狩りをして肉を得ることすらできないわけだ。
俺がそんな事を考えていると、ジュミさんが話しだした。
「あの…えっと。重い感じの話になっていますが、魔道具の効果は本物でした。」
「えぇ、うまく性能が確かめられましたので良かったです。ご協力ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました、アサヒさん!」
ジュミさんは人間に変身できたことが嬉しかったようで、尻尾を勢いよく振っている。
犬は嬉しい時尻尾を振るけど、人狼のルウとマジックウルフのジュミも尻尾を振っているところを見ると、狼も嬉しいときに尻尾を振るようだな。
まぁ、そんなことは置いておいて。
「さて、クリ―リャロさん。魔道具は完成したわけですし、集落の建造に戻りますか。」
「あぁ、そうだな。今日中にアサヒの家を作ってやって、地べたで寝かせねぇぞと意気込んでいたが、私もどれだけ進んでいるかは全くわからない。」
「じゃあ、とりあえず向かいますか。」
そう言って、俺達は集落のヒッチさんがいるところへ向かうのだった。
はぁ、はぁ。
まずい、そろそろ追手に追いつかれる。
次捕まったときには、どんな仕打ちを受けるんだ…。
いや、そんなことは考えるな。今はとにかく足を動かして…進め…。
……ルウを森に逃がすという選択肢は正しかったんだろうか。
ある程度はルウを探すために周りを見渡しながら逃げているつもりだ。
でも、ここはかなり森の奥だ。
ちゃんと森の狼たちに保護してもらえていれば…生き残っているはずだ。
絶対に見つけ出してやるからな、ルウ。
「いたぞ!弓を放て!!」
「了解!」
なっ、見つかった?!これ以上の体力はない。俺も、ここまで…か。
ズビュ
勢いよく矢が弦から放たれる音がした。
…だが、俺の体には矢が飛んでこない。
すると、遠くから叫び声に近い悲鳴が聞こえた。
「ジュミさんっ!!!」
ジュミ?
誰だ?
そして俺は隠れていた草むらから恐る恐る頭を出した。
ありがとうございました。




