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転生した高校生の異世界開拓記  作者: 甘党丸
異世界集落の独立
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22/26

22話:魔金鉱をとりにいく(3)

「アサヒ…これは。」とクリーリャロさんが驚きの声を上げる。

「抽出した魔金鉱です。というか、もう不純物を取り除いた純粋な状態なので、魔金鉱ではなく魔金ですね。」

「でも、どうやって取り出すのよ。まだ熱いでしょうし、このまま冷えたら岩にくっついちゃうじゃない?」

「とりあえず液体のままじゃ回収しにくいので、十分に冷えて固まってから回収しましょう。

量もあまり多くなさそうですし、その時に地魔法で慎重に集めます。」

「その方法が最適かと思います、マスター。」

「……まぁ、アーティがそう言うなら、その方法でいいかもね。」

「アーティ。持てるくらいまで冷えるのに、あとどれくらいかかる?」

「はい、マスター。現在の大きさですと、自然冷却では約30分ほどかかる見込みです。」

「そうか。」

30分くらいなら待っていてもいいだろう。

「ということなので、回収してから帰りましょう。」

「あぁ、分かった。」

「えぇ、分かったわ。」

そして、俺達4人(実質3人…というか2人と1匹、いや、1人と2匹?)はその付近で待機することにした。


「あら?」

ミィさんが突然、耳を立てて声を出した。

「どうしました?」

「何かが近づいてきているような音がするわ。

魔獣っぽくない歩き方、どちらかというと人間っぽいけど、人間とは違うような…。」

そこまで音で感じ取れるものなのか?!と驚きつつ、俺とクリーリャロさんも周囲を警戒する。

「マスター。こちらの方から獣人の気配が近づいてきています。」

「ってことは、ミィさんが感じ取っているのはそれの音…?」

「なるほどね。方向的にはマリラ伯爵領からかしらね、アーティ?」

「はい。間違いないと思います。」

「アーティ、マリラ伯爵領って?」

「マリラ伯爵領とは、ダンテ王国の北西を治める唯一獣人の伯爵、マリラ伯爵家によって統治されている領土です。

ダンテ王国は北西に山岳地帯があり、そこの豪族であるマリラ家を伯爵家として自治を任せています。」

ダンテ王国…はファル伯爵領も属する国の名前だったはずだ。

「マリラ伯爵領とファル伯爵領は隣接しており、ここ、チャル川上流の森林はファル伯爵領となってはいますが、マリラ伯爵領から誤って侵入してしまうケースがあります。」

「なるほどな、ありがとうアーティ。」

「マスターのお役に立ててよかったです。」

「どうやら、迷い込んだだけのようね。マリラ伯爵領に引き返していってるようだわ。」

「本当ですか!この魔金が見られなくてよかったです。」

「そうね。ここで金が取れると知られたら、ろくなことが起こらないでしょうし。」

「マスター。そういえば、そろそろ30分が経過します。魔金が冷めた頃かと。」

「よし、いよいよだな。アサヒ、失敗するなよ?」

「はい、任せといてください。」

そして、魔金の穴へ近づく。


よし、まずは魔力を流す。

さっきは地面に裂け目を入れるだけの、雑なくり抜き方だったから、次は集中してやっていこう。

「アース」

魔金と石英の地層との分かれ目が感じられた。

これにそって分けていくイメージ。

…精密作業で、ものすごく集中しないと一気にバリっといってしまいそうだ。

だけど…俺にかかりゃ、こんな作業なんてイチコロだぞ!


なんですか、あの集中力は。

私、アーティはご主人様であるマスターを見ながら、そのように強く思いました。

私は『鑑定』の分身として存在しているからわかります。

マスターは今、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚――五感から入ってくる情報を意識的に遮断しています。

その代わり、魔術によって得られる情報だけを脳内で処理し、魔力の制御へと全ての思考を注いでいるのです。

人間でありながら、ここまで集中できる者を私は知りません。

マスターについては、他にも解析できない項目があります。

魔力表記が「B+a」となっていることです。

鑑定Lv.3では世の中のだいたいのことが分かります。

ですが、「+a」についての記録は存在しないのです。

……やはり、マスターは私の記録では測れない存在です。


………よし。

これで、完成したはずだ。

おそるおそる、地魔法でくり抜いた部分を持ち上げて、それを手に取る。

…岩石の付着なし。

穴の方にも魔金の付着なし。

完璧な魔金だ!!

「やった……やったぞ!!」

「マスター、おめでとうございます!お見事でした!」

「アサヒ、頑張ったわね…。」

「よくやった、アサヒ!」

「はい!!」

大きさはスマホくらいの大きさもないけど、重さはかなりずっしりしている。

これならきっと、優秀な魔道具の核になってくれるはずだ。

そうして俺たちは、魔金を大事に抱えながら、クリーリャロさんの背中に乗ってルウたちのもとへと戻るのだった。


集落建設予定地が見えてきた。

ミィさんがめちゃくちゃ木を切り倒していたから、ある程度近づくと、ものすごく目立ってる(笑)

「アサヒ兄ちゃーーん!!」

「ルウーー!!」

ルウが元気よく出迎えてくれた。

「魔金とれた?」

「ほら、これを見てみな。」

そう言って、魔金をルウに手渡す。

「まさか…族長、本物ですか。」

ヒッチさんが目を丸くしながら尋ねる。

「えぇ、掘るところから取り出すところまでしっかりと見ていたから、正真正銘、本物の純魔金よ。」

その言葉を聞くと、モモンガたちも狼たちも興味津々に魔金を眺め始めた。

……なんか、みんなに見つめられると恥ずかしいな。

ここは話題を変えよう。

「ところで、こっちの方はどうだった?」

「こっちもダザさんたちが手伝ってくれたおかげで、一気に作業が進んだよ。」

「ルウも手伝ってくれて、助かったよ。」

ヒッチさんが褒めてくれて、ルウも嬉しそうだ。

「ありがとうございます、ダザさん。」

「気にするな。これくらい当然だ。」

みんなのおかげで、集落づくりも順調に進み始めている。

そして、俺の手には魔道具の核となる純魔金。

あとは、これを人間化の魔道具へと加工するだけだ。

集落は順調に完成へと向かうのだった。

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