21話:魔金鉱をとりにいく(2)
それからさらに20分ほど進んだ。
アーティの案内のもと、魔金鉱の成分がより多く含まれている源流を目指していた。
「うん?あそこの地面だけ白くないか?」
「あれは石英の地層です!石英の地層には金が含まれていることがあります。」
「ってことは、もうついたのか!ありがとうございました、クリーリャロさん。」
「目的の場所が見つかったようで良かった。
それで、アーティよ。どうやって魔金鉱を取るというのだ。」
「はい、今から説明しながら進めていきましょう。
ところで、マスターは基本5大属性の地属性と火属性を扱えますか?」
「うん、その二つなら、どっちも一回はやったことがあるよ。」
「それは良かったです。
それでは手順1つ目、石英の地層の上に立ち、地属性魔法を発動して、地層の一部を切り抜いてください。」
「オッケー。」
そう言って、俺はクリーリャロさんの背を降り、石灰岩の地層の上に立つ。
そして、魔力を手から出しながら…
「アース」
と唱える。
その途端、魔力は地面に潜っていった。
次は、地層の一部を切り抜くイメージだな。
亀裂を入れてくり抜こう。
亀裂を入れるイメージ…。
だがいっこうにヒビは入らない。
欲張りすぎてたかな?
魔法が発動しているけどパワーが足りていないようだ。
なら、もっと魔力を入れてと…。
ビキン!!
その瞬間、想像していたよりも大きな亀裂が入る。
…まぁ、魔力が足りそうなら欲張ってもいいか。
そして、さらに亀裂を入れて、切り出した岩を魔法で持ち上げる。
「アーティ、とれたぞ。」
そう言って振り返ると、三人は大きく口を開けていた。
「何でそんなに簡単そうに亀裂が入ってるの…?」
「アサヒ、重くないのか?」
「マスター…早速実行していただけて嬉しいのですが、無理はしないでくださいね?」
うん?
そりゃあ地属性魔法を使えば地面は自由に操れるようになるわけだし、こんなもんなんじゃないのか?
「あ、ああ。無理はするつもり無いけど…。で、次はなにをしたらいい?」
「はい、えっと…。次は、その石英の塊を1200℃くらいで炙り続けてください。」
「わかった。」
そして魔力を岩の周りへと流し、
「フレイム」
と唱える。
そして、岩は炎に包まれた。
アーティがさっき、1200℃くらいでって言ってたし、まぁできる限りは調節しよう。
「アーティ?火はこれくらいの熱さでいいか?」
「はい、マスター。それくらいが丁度良いです。」
「ところで、あとどれくらい炙ればいいんだ?」
と問うた俺だが、アーティからは思わぬ返事が返ってきた。
「…数時間から数日掛かる恐れがあります。」
「なっ、何?!」
「その岩石の中にある金にその温度…金の融点となる1200℃をつたえなければならないので。」
そうか…岩石の中の金の融点に合わせて金だけ回収しようとしてるのか。
こういうときにより効率的に金に熱を通すには…。
俺は持ち上げていた岩石を元の亀裂の部分に移動させる。
「マスター、なにをするつもりですか…。」
「もうちょっと効率的にしょうと思ってね。」
そして、再び手に魔力を集中させる。
次は…雷属性だ。
「ボルト」
その瞬間、手の上に雷が走り、それが手の上を光速で回りだす。
それをまっすぐ岩に向かって放った。
そう。岩を粉々にして、熱を通しやすくするのだ。
岩の中にも水分は含まれている。
雷で集中的に水分を狙えば水蒸気爆発で岩が崩壊してくれるはずだ。
そして岩に直撃し、思惑通り岩が爆散する。
だが、岩の破片が上の隙間から飛び出てきた…!
そのいくつかは俺達の方に飛んでくる。
まずい、あの速度の石に当たったら…。
ものすごい速度で思考はできた。だが、防ぐだけの時間がない。
「マスター!」
そして、俺は手で頭を隠して目をつむるのだった。
「まったく。もう少し考えてから行動しなさい。」
俺の体に石が当たると思った瞬間、前方からミィさんの声がした。
急いで前方に目をやると、地面に落ちた大量の石と人間状態ながらも魔力鎌で石を捌き切ったミィさんの姿があった。
「ミィさん…!すみません。」
「また無茶をしたわね。だから言ったでしょう。少しは慎重になりなさい。」
「はい…。」
昨日に続き今日まで注意されちゃった…。
「そんな捨て身だと、どれだけ実力があっても人生の選択を間違えるわよ。」
「はい……。」
そのミィさんの言葉には、不思議と重みがあった。
ただ怒っているわけじゃない。
……まぁ、気のせいかもしれないけど。
「危ない手ではあったが、アサヒが無事で良かった。私は反応すらできなかったがな。」
「同じくです。マスター、私も早くに止めるべきところを止めず、危険にさらしてしまい申し訳ありませんでした。」
「二人とも、申し訳ないです…。今回のは俺がもっとアーティに相談すべきでした。」
「マスターが無事で良かったです…!」
「まぁ、これで岩は粉々になったわけだ。次はどうするのだ、アサヒよ。」
「次は加熱です。」
そう言って粉に近づいていくと、目の前にアーティが飛んできた。
「マスター、今近づいてはいけません!あそこに白い煙が見えますが、あれは細かいガラスの粒であり、あれを吸い込むと珪肺になる恐れがあります。」
「珪肺って?」
「肺に刺さったガラスの破片の影響で肺が硬くなり、最終的に呼吸ができなくなる病です。
マスターには太陽神の加護で病にならないという効果がありますが、珪肺に関しては他の病のように何らかの生命体によって引き起こされるわけではないため、対象外の可能性が高いです。」
「ア・サ・ヒ…?ついさっき、深く考えずに行動するなと言ったところよね?」
「はっ、はい!」
背筋がビシッとしたわ!!
「今、太陽神の加護という言葉が聞こえた気がしたが、それは何だ。」
「マスターが転生時に太陽神によって与えられたスキルです。効果は病気にならないの他に、毒にならない、常時体を内側から温める、やる気を出させるなどです。」
「…アサヒにはそんな耐性もあるのか。」
「それで、アーティ。煙を吸うのはダメだと分かったけど、加熱をする分には大丈夫なのかな。」
まずは相談…だな。せっかくものすごいアドバイザーがいるんだし、これは存分に生かさないとダメだ。
「はい、マスター。その破片を加熱する分にはなにも問題ありません。煙も、フレイムウォールなどのバリアを貼れば防げると思われます。」
「ありがとう、アーティ。じゃあ、早速加熱するよ?」
「どうぞ!」
そして、再び炎魔法を放つ。
加熱された破片は見た目こそ変化しない。
「アサヒ、失敗したのか?」
「少し待ってください。」
「マスター、そろそろかと。」
「分かった。」
そして、火を止めて、地魔法を発動して石英の部分を取り除く。
その穴の中に残った黄金に光る液体を見て、
「こっ、これは…。」とクリーリャロさんとミィさんが感嘆の声をあげるのだった。




