19話:集落づくり開始!(2)
作業を続けている。
ミィさんがモモンガ状態のまま自慢の魔力鎌で木を切っていき、人間に変身した他のモモンガが加工。
そして、俺とルウとアーティは人間化の魔道具の研究を始めようとしていた。
「魔道具を作る際は、その魔法・スキルの力を込める、核となる部分が必要になります。
通常の魔道具ならば使い切りのものが多いため、純度の低い魔石が使われていますが、人間化を長時間続けるような使用方法だと、これではルウさんが何度も擬態スキルを刷り込まねばならないことになります。」
「ちなみに魔石ってなに?」
「魔物を倒した際にドロップする石のことです。
微量ながら魔力の貯蓄が可能です。」
「えっ…じゃあ昨日討伐したときは、ドロップしたのに気づいてなかったってこと?」
「そういうことになります。」
見落としてたんや…(笑)
まぁ、魔物を倒せば魔石が採取できるんだったら、他の魔獣の協力も仰げば、魔石の集収は簡単にできるだろう。
だけど、何度も刷り込む…それは絶対に大変だろうし、ルウに負担がかかるだろうから、避けたいところだな。
「俺が何度も刷り込めば…」
「いや、いいんだルウ。他にも方法があるだろうし、もっと質の良い魔道具を作れたほうがいい。」
「…!ありがとう、アサヒ兄ちゃん。」
「では、どうしましょうか。」
「うーん。アーティ、人間の世界では使い捨てでないような魔道具の核に、何が使われているのかわからないか?」
「………ボスクラスの魔物を討伐するとドロップするような、大きくて純度の高い魔石を打ち砕き、魔道具の核としているようです。」
「ボスクラス…?」俺とルウが同時に尋ねる。
「ボスクラスの魔物とはそのエリア一帯の魔物を統べる、特に優れた魔物のことです。
より多くの魔物を統べるものほど強くはなりますが、ボスクラスの魔物という時点で統べる魔物の数にかかわらず非常に強力です。」
ふむ。前世にあったようなゲームでもエリアごとに強敵がいたように、そのボスクラスの魔物っていうのがいるっぽいな。
どちらもメリットとデメリットがあるけど、どっちがいいだろうか。
「何を悩んでいるのだ。」
「えっ、クリ―リャロさん?!気が付きませんでした…なぜここに?」
「いや、昨日手伝ってやると約束したばかりだからな。とりあえず来てみたんだ。」
見ると、他にもダザさんなどの狼がいる。
「で、なにを悩んでいるのだ?」
「マスターは今、集落を人型に作ると仮定したとき、人間に変身できるほどステータスが高くはない魔獣たちも集落で暮らせるよう、そのような魔道具の構想をねられています。
ルウさんの擬態スキルを核となるものに刷り込んで、魔道具を作る予定です。
そして、その魔道具の核となる部分について悩まれています。」
とアーティが答える。
「……お主は誰だ?森の精霊か何かか…?」とクリ―リャロさん。
―――アサヒ説明中―――
「ふむ、なるほどな…鑑定スキルがLv.3になって、アドバイザーが出てきたと……。」
「はい、そのとおりです。」
「よろしくお願いします、クリ―リャロさん。」
すると、モモンガ族のみんなに説明したときのように、クリ―リャロさんについてきた狼たちも騒ぎ出した。
「Lv.3…私達の群れの中にそこまで行っているやつはいたか…?」
「鑑定スキルはいないし、その他のスキルでもいなかったような…」
そして、クリ―リャロさんも言葉を紡ぎ出した。
「もう私は驚かないぞ。アサヒの規格外さは昨日の会議で知ったつもりだ…。」
その後、ボソボソと
本当にあり得る…のか…?
まぁ、アサヒなら…。
と言っていた気がしたが、こちらも小さくて正確には聞き取れなかった。
……既視感を感じる。
「それで、核となる部分について悩んでいるんだったか?」
「はい、そうです。」
「ふむ…私が知っている限りでは、人間たちは核として魔石を使っていたはずだ。」
「ですよねぇ。」
すると、ダザさんが
「そういえば以前、人間たちが、核に魔金鉱が使えたらいいのになどと言っていた気がします。」
と言い、アーティが
「魔金鉱は魔力の容量が無限大であり、とても長い時間でも精密な効果が期待できます。」
と言った。
「だが、魔金鉱なんて手に入れるわけがないしなぁ…。」
とクリ―リャロさんが言う。
そうだなぁ…。いや、待てよ?チャル川の上流に魔金鉱があるとかだったような…?
「はい、マスター。チャル川の源流部に魔金鉱があります!これを使えば、最高級の核が用意できます。」
「えっ、アサヒ兄ちゃん。魔金鉱があるって…?」
「あぁ、本当だ。チャル川の水に回復効果があるのも魔金鉱のおかげなんだったよな?」
「そうです。源流部の魔金鉱には自然の状態で回復効果が付与されているものの、効果の変更や追加は可能ですから、擬態の魔金鉱にもできます。」
「まっ、待て。何、魔金鉱がある…だと?」とクリ―リャロさんが驚きの声を上げる。
「はい。まだ見て確認したわけではありませんが…、アーティが言うなら信じても良いと思います。」
「確かに、回復効果はあるのは知っていたが…まさか…そんな物が……。」
クリーリャロさんはそこまで言うと、がくりと膝をついた。
すると周りの狼たちが、
「族長!?」
「大丈夫ですか!?」
と慌てる。
「だ、大丈夫だ……少し情報量が多すぎただけだ……。
だが、問題はそこからだ。
魔金鉱を使うとなると、それを採掘する技術、錬成する技術、加工する技術が必要になってくる。
それをどう確保する。」
確かにそうだ…。はてさて、どうしたものか。
だが、次の瞬間にはアーティによって沈黙が破られるのだった。




