15話:チャル川魔獣会議(4)
俺のおかしい所…?
むしろ、数日前までただの魚にボコられてたんだから、弱い方だと思うんだが。
「まず、1つ目だ。魔力レベルがD+aなんていうのは存在しないということだ。」とクリーリャロさん。
「だけど、D+aだとしないと出せないような出力の魔法をうっているのも事実よね。」とミィさん。
「あぁ、おそらくだが、あの威力の魔法を出せる、かつ完璧にコントロールするというのはAに近しい実力がないと無理だと思う。」とクリーリャロさん。
本気で言ってるのか?
でもD+aと書いてあるのも事実だしなぁ。
「そして2つ目。
スキル『実績解除』についてだ。
私たちは、そんなスキルの存在など知らぬぞ。」とクリーリャロさん。
「この中では儂が一番長く生きていると思うが、儂でも耳にしたことはないなぁ。」
とテクスさんも言う。
「で、目標を達成すると、好きなアイテムやスキルがゲットできるだと?」
「はい。転生してからすでに6この目標を達成して、まだ一つ使っていないところですけど、すでに翻訳スキルと鑑定スキルとマップと魔術の教科書をゲットしましたよ。」
「今は4つしか使い道を言わなかったな。あと一回はなにに使った?」とクリーリャロさんに尋ねられたので、
「鑑定スキルはレベル2まで上げたので、2回使いましたよ。」と返す。
「…ということは、スキルのレベル上げも目標さえ達成すれば、簡単にできると?」
「はい、そういうことです。」
周りの魔獣たちが驚いているようだった。
えっ、そんな変なこと言ったか?
すると、クリーリャロさんが呆れる様子で教えてくれた。
「あのなぁ、気づいていないようだから教えておくが、この世界では、誰も自由にスキルをゲットなんてできない。
だから、何度もそのスキルが取得された事例がある行動を繰り返して、長い年月をかけてついにレベルが上っていくものなんだ。
それをお主は、目標さえ達成できれば一瞬でレベルを上げられると来た。」
「…そうなんですか!?」
「あぁ」
「えぇ」
「そうじゃ」
魔獣たちは呆れた様子で同時に返事を返してくれた。
まさか、このスキルにそれほどの価値があるとは!
「…魔力は未知数、スキルは取り放題、集落を作ってファル伯爵に抗うために足りないものって何かあるかしら?」とミィさんが言うと、
「経験は足りん。じゃが、経験は唯一、誰でも努力次第で身につけられるものじゃ。」とテクスさん。
「あとは、森に集落を作らせることを許してよいほど信頼できるか、だな。」
とクリーリャロさんが言うと、ミィさんが
「私は、アサヒを信じてもいいと思うわ。
実際、体を張って魔物の奇襲に立ち向かっていってくれたわけだからね。」と言う。
すると、それに呼応するように、デルさん、テクスさんも
「私も人間だけは信用できないと思っていたが、アサヒなら信じてもいいぞ。」
「儂もじゃ。というか、仲間にならずに、これ以上川で暴れられては困るわ。」と言った。
「あっ、その節は迷惑をおかけしました。」()
「まぁ、何事もなかったように川も流れを取り戻したわけじゃから、別にいいさ。
若いものは、それぐらい色々やるのがちょうどよいじゃろうて。」
なんだ、テクスさんってこんなに優しかったのか。
「ありがとうございます。」
「では、アサヒの集落づくりに反対する者。」とクリーリャロさんが言うが、誰も反対しない。
「ティグ、いいのか??」
「チッ、別に好きなようにやればいいんじゃねぇか?」
おぉ、クリーリャロさん煽っとる(笑)
「では、この議題は承認としよう。
アサヒ、なにか言うことがあれば、今言ってくれ。」
「はっ、はい。」
ちらっとルウを見るとガッツポーズしてくれた。
うまく行ったのか…。一時はヒヤヒヤしたけど、本当に良かった。
「えぇ、皆さん。
私の集落作りを承認してくださり、本当にありがとうございます。
これから全力を尽くして励み、いつか、ファル伯爵に弾圧されている全ての命を助けられるように頑張ります!」
魔獣たちが、一斉に吠える。えっ、急に吠えてきた?どういうこと??
するとルウが
「魔獣にとって、吠えるっていうのは威嚇だけじゃないんだ。
嬉しい時や相手を認めた時にもするんだよ。」
と教えてくれた。
「そうなんだ、ありがとうね。」
ルウの頭を撫でてやると、嬉しそうに尻尾を振った。
だけど、承認されただけで集落ができるわけじゃない。
ここは一つ、協力してもらえるようにお願いしてみたほうがいいのかもしれない。
魔獣の吠え声が収まってきた。
「ここで一つ、提案があります。」と言う。
「ほぉ?何だ、言ってみろ。」とクリーリャロさんが返してくれたので、俺は話し始めた。
「先ほど言っていた通り、私は私で最善を尽くすつもりですが、経験不足や労力不足、戦力不足から簡単には進まないだろうと思っています。
そこで、上から目線なのは重々承知で、私の集落づくりに協力していただきたいのです。」
「要するに、労力や戦力として魔獣をあてがいたいと?」
「端的に言えば、そうなります。
ですが、私もそれに報いれるだけの見返りを準備できるはずです。
1つ目に、魔獣の出入り、居住の自由。
集落にいるものは、人間であろうと魔獣であろうと、全員の命を私が守ります。
2つ目に、私が窓口となって、人間と交流、交易をします。
これによって、皆さんの生活をより良いものにできるはずです。
そしていつか、奪われた土地を取り戻せるような力を、この集落で作ってみせます。
どうか、お願いします!」
ルウも俺に合わせて頭を下げてくれた。
「…わーったよ。手伝えばいいんだろ、手伝えば。」
とティグさんが言ってくれた。
「さっきの奇襲の一番槍を飾った時点で、お前に反対するやつなんてもういないっての。
他の魔獣もこの俺、ティグに続いて、アサヒに協力してやろうぜ!!」
「ふっ、私も協力するわよ。」とミィさん。
「儂も協力させてもらうぞい。集落に住んで酒を飲むのが楽しみじゃ。」とテクスさん。
「ははっ、お前が言うか!いいだろう、私も協力しよう!」とクリーリャロさん。
「皆さん、ありがとうございます。
改めて、これからもよろしくお願いします。」
そして、魔獣たちはさっきよりも大きな吠え声を上げ、クリーリャロさんが宣言する。
「ここに、対ファル伯爵同盟を結成する!
そして、同盟長アサヒのもと、我々はファル伯爵に抗うことを誓う!」」
日が山から登り始める頃、ついにチャル川の魔獣たちは団結したのだった。




