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転生した高校生の異世界開拓記  作者: 甘党丸
異世界集落の独立
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13/26

13話:チャル川魔獣会議(2)

「魔虎種の代表も来たか。」とクリーリャロさんが言った。

魔虎種…ってことは虎?

さっと振り向くと、見上げるような大きさの大きな虎がいた。

その虎は、俺を見下ろしながら不敵に笑う。

「挨拶が遅れたな。俺は魔虎種のティグだ。で、この人間は何だ?」と聞くティグさんに

「この人間はアサヒという。

彼は森の中に集落を作って、ファル伯爵に対抗すると言っている。

それを承認するかどうか決めているのだ。」とクリーリャロさんが返す。

「アサヒです。よろしくお願いs…。」

「おいおい、狼族は俺らにこの人間の言うことを信じろっていうのかよ?

人間に敗北して、敵を取るべきお前たちが人間と仲良くしようとするなんて。

どうやらこの犬ころ族は、森の守護者を名乗れるほど強気じゃないらしいな。」

「なんだとっ、ティグ。その言葉は取り消してもらおうか。」

「誰が取り消すかよぉ。お前らはふさわしくないって言ってんだ。

もう、人間一人殺すのすら怖いか?」

ティグさんがクリーリャロさんを煽る。

「そんなことはない!人間とて一枚岩ではない。

その証拠に彼がここでファル伯爵に抗おうとしているだろう。

人間の力もあればファル伯爵を倒すことが現実味を帯びてくると言っているのだ。」

「自分たちの力だけじゃ、勝てねえってか?

ますます弱気の姿勢が見えてくるな。」

周りの代表たちはクリーリャロさんの味方につくわけではなく、むしろティグ側につきそうな雰囲気だった。

「そうだ、今回の会議で新しい森の守護者を決めようじゃないか。

弱気の犬ころか、それとも俺か。」

ティグの勢いは留まるところを知らず、ついにはそんなことまで言い出した。

これではっきりしたな。

なぜここまで、ティグさんが狼族を悪く言うのかが。

それは、自分が森の守護者という名の代表者になりたいからだ。

「そうだ、それがいい。

今の狼族では、森の守護者が務まりそうにないからな。」とデルさんも言う。

さっきから俺の話に反対してきたデルさんもそれに続くか。

だが、ミィさんがその勢いを抑える。

「今話しあっていることは、この人間が信用できるか、集落を作れるだけの実力があるかよね。

まずは、それについて話しましょ。

それで、あなたは本当に裏切らないと約束できるのよね?」

「はっ、はい!」

「そう…。でも、私は以前に人間に騙されたことがあったわ。

口ではなんとでも言える――貴方もさっき言っていたけれど、そんな口約束では、だれも貴方の言うことを信じないわ。」

…そう言われても、どうしようもないな。

「あのっ、俺はアサヒに助けられたんだ!

俺を自分を犠牲にしてでも助けてくれた。

そりゃあ、俺は魔獣じゃないかもしれない。どっちかって言うと人形だからな。

それでも、俺を庇ってくれる人間なんて、初めて会ったんだ。」

ルウ…ナイス。

というか、庇ってくれた初めての人間って言葉に感動したんだが。

「ふぅん、そうなの?クリ―リャロさん?」

「あっ、ああ。これは事実だ。

魔カラスに襲われていたルウを、アサヒが自分の身でフレイムボールを受けてでも守っていた。」

「おいおい、人狼と狼でグルってか?茶番も大概にしろよ。」

まだ絡んでくるか!

「まぁ、ルウ君の言い分も分かったわ。

でも、信頼材料が足りないと言うべきかしら。

貴方に集落づくりを認めるというのは、むずk…。」

ミィさんが話し終える前に、森の中から叫び声が聞こえた。

「なんだ、なにが起こった!」

クリ―リャロさんがそう声を出すと、1頭の狼(タフウルフよりも小型で、たぶん違う種類?)が出てきて、その事実を告げた。

「申し上げます!現在、魔物の襲撃を受けています!」

そう言い終わった瞬間に、その狼はなにかの激突に寄って激しく飛ばされる。

えっ、魔物の襲撃…?

そして、その近くの草むらから陰でできたような人型のなにかが出てきた。

「チャル川、魔ジュウ、殺ス…。」

その直後、空気が変わった。

さっきまでとは桁違いの圧力。

さっきまでっていうのも、各種族の代表の圧だから相当なものだった。

なのに、それとは比べ物にならないほど重たい。

その直後にその人型から手のようなものが無数に生えてくる。

そして、それらは一斉に近くの魔獣…ミィさんに焦点を当てた。

あの攻撃はヤバい、当たったらダメだ、本能的にそれがわかる。

危ない!

その瞬間、頭が急速に回り始める。

どうやったらミィさんを助けられる?

魔術の展開?

いや、そんなのを放っていられるような時間はない。

だって、もう人型の攻撃は進み始めてるから。

なら、なにをすればいいんだ…。

どうやったらミィさんとその攻撃との間に障壁を作れる?

魔術の力に頼らないと、解決は無理だろう。

だけど、遠くに発動するには間に合わない。

…なら近くに発動したら?

俺に魔力で障壁をつくって足元には攻撃魔術を発動して、その威力で俺が飛んでいけば?

俺自身が壁になることになるけど、ミィさんを守ることはできる!

その後、迷いもなく魔術を発動。

魔力は俺に素直に従ってくれた。

イメージがうまく共有できたのだろう。

「フレイム!」

そのキーワードを発する。

俺の体とルウの体を包むようにフレイムウォールを展開し、足元にはフレイムボールをぶつける。

その直後、俺は人型の攻撃を止めるために飛んでいく―――!!


気づいたときには眼の前に黒い手の攻撃が迫っていて、その直後お腹のあたりの障壁に激突する。

今だ!フレイムボールを人型にめがけて放つ!

このままあの草むらにぶつかって衝突緩和すれば…!

だが、そううまくはいかなかった。

人型の攻撃はお腹のあたりの障壁に集中し、突き刺さる!

飛び上がったときのフレイムボールの威力は収まり動きが止まる。

…人型に捉えられてしまったのだ。

他の黒い手が障壁の隙間に迫る…。

「えっ、ちょ、それは聞いてない!!」

…逃げられない、どうしたら…。

だが、とっくに集中力は切れて、頭の回転は鈍る。

障壁に黒い手が突き刺さって、体に当たる………?

その攻撃が俺に当たることはなく、地面に落ちてしまっていた。

そして、眼の前には手から魔力が長い爪のように生えたモモンガがいた。

頭にはリボンが結んである。

ミィさんだ!

「舐めてもらっちゃ、困るわね!」

その爪を使いこなして人型の攻撃を切り刻んでいく。

その直後、クリ―リャロさんが叫んだ。

「会議は一旦中止!私は〝森の守護者〟としてこの森の侵略者を討伐する!

私に続いてくれる勇士がいるのならば、アサヒとミィと私、クリ―リャロに続け!」

そして、各代表たちも一斉に迎撃体制を整えて、草むらの向こうから新たに出てくる魔物に焦点を当てる。

デルさんとティグさんはすぐには行動に移らなかったが、周りの雰囲気にながされて、少しずつ従い始める。

「アサヒ!ルウは任せておけ!!」とダザさんの声が聞こえた。

良かった、迎撃体制を作るまでの囮をできたようだ。

ミィさんを見ると、すでにさっきの人型の魔物を切り刻んで討伐していた。

「ミィさん、助かりました。ありがとうございます…!」

「勘違いしないで。貴方を助けたわけじゃないわ。

……これからはそんな捨て身の行動は避けなさい。」

……俺を助けたわけじゃない、か。

厳しい言葉だった。

それなのに、不思議と責められているような感じはしなかった。

その言葉を、俺はそのまま受け止める。

それでも、助けてもらったことには変わりない。

「それでも、本当に助かりました。ありがとうございます。」

素直に礼を言うと、ミィさんは少しだけ目を丸くした。

「……変な人ね。」

小さくそう呟くと、再び鋭い視線を魔物へ向ける。

「話はあとよ。まずはこいつらを片付けるわ。」

「はい!」

俺もミィさんも、迫り来る魔物へと向き直るのだった。

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