45.【色即是空】
寝室でガチガチに緊張しながら待つ。
いや、手を出すつもりはないけど。
やがて寝室に入ってきた芽依を見てやっぱり頭を抱えた。
「お前……それは反則だろ?」
「えへへ、お義兄ちゃんを誘惑するために用意してみました」
芽依の寝間着は、白いベビードールだった。
スケ素材ではないものの高級感のある光沢はおそらくシルクだろう。
「精一杯、背伸びしたんだからねっ」
これは防御しきれないかもしれない。
「じゃ寝ようか?」
芽依はグイグイくる。
約束だからしょうがない。
ひとつのベッドに入る。
「ほら、もっとくっつく!」
……はい。
芽依は、ぎゅっと抱き着いてくる。
色即是空……
般若心経のほうがいいかな?
手を出すつもりはない。ないが……俺も芽依をぎゅっとした。
温かくて柔らかくてスベスベシルクな触り心地でどうにかなりそうだ。
「どうにかなっていいんだよ?
ていうか、どうにかなってくれたほうがいいんだよ?」
クッソ、ガマンだガマン。
◇
ようやく朝日が差し込んできて目が覚めた。
激しい戦いだったよ。
俺の腕の中では温かくて、柔らかくて、スベスベシルクな感触がスヤスヤと寝息を立ててる。
俺はあんまりグッスリとは眠れなかったが、そこはエンジニアだ。徹夜には慣れてる。
でも、昨晩は過去最高にツラくて幸せなデスマーチだったな。
「あ、お義兄ちゃん、おはよっ」
「おう、顔洗ってこい」
続いて俺も顔を洗う。
多少はさっぱりして、これなら運転にも支障はないだろう。
こうして、俺と芽依のクリスマス旅行はなんとか無事に終わった。
反応があると励みになります。よろしければブックマークや高評価、リアクション/感想等いただけると嬉しいです。
これからもお付き合いいただければ幸いです。




