42.【うらやまけしからん】
元の場所に戻ると芽依はかなり疲れた様子だった。
「土砂災害の時もそうだったけど、やっぱりかなり消耗するみたいだね」
「この町は私にとっては第二の故郷とも言うべき場所でね。
おおごとになる前に対処してくれて感謝する」
高橋先生と北条教授からそれぞれ声をかけられる。
芽依はぐったりしてしまっていてダイバースーツのまま半分寝ている。
「私からの礼代わりに別の宿を手配しておいた。ノンビリしていってくれ」
「身バレ防止も兼ねてるからね。
クルマも用意したよ」
高橋先生に案内されたのはワゴン車、後部座席がプライバシーシートになってて外からは見えなくなってる。
芽依をお姫様だっこで抱え上げて後部座席に乗り込む。
北条教授は助手席、高橋先生の運転で宿に向かった。
ってこれVIP用地下駐車場じゃないか?
「荷物は後で届けさせるから」
高橋先生はなんでもないことのように言う。
芽依を抱えてクルマから降りると、フットマンに案内される。
こんな高級宿には縁がないから戸惑うね。
連れていかれたのは最上階にあるスイートルームだった。
部屋に露天風呂まであるよ?
ここを三泊予約したらしい。
芽依の身体がかなり冷えてる。
さすがにダイバースーツは脱がせたほうがいいだろう。
起こしてみたが案の定起きない。
仕方なく脱がせる…………
ってなんで下が水着なんだ?
「ドライスーツじゃなくてウェットスーツだったんだもん。
肌着なんか着てたらそのほうが冷たくなっちゃうよ?」
それもそうか……
って芽依?
お前起きてるなら自分で着替えろよ。
「イヤ。
この旅行中は何でも言うこと聞いてくれる、ってお義兄ちゃん言ったモン」
いや、確かに「何でも」とは言ったけど「この旅行中ずっと」なんて言ってないんだが?
「ね、一緒にお風呂入ろ!」
それはまずいだろ?
「ヘタレなお義兄ちゃんに妥協して水着着たのに……」
ああ、あの時の水着か。
「お義兄ちゃんにかわいいって言って欲しくて頑張って選んだのにさ。
あの時は、あんな事になっちゃったから……」
それを言われるとしゃあないか。
「やたー、じゃだっこ♪」
コイツ……ビキニの義妹(もうすぐ高校卒業)をだっこするとかヤバいヤツだろ?
「調子にのんな。自分で歩け」
「えー、アタシ漁船持ち上げたりして頑張ったのになあ」
完敗だった。
だが抱き上げてみると、芽依の身体はえらく冷えていた。
それを感じて俺の頭も冷える。
素速く部屋風呂に連れていくと水着のまま湯船に放り込む。
「扱いがヒドい!
お義兄ちゃんも一緒に入って!!」
仕方なく脱衣所で服を脱ぐと腰にタオルを巻いて中に。
湯船に浸かると芽依が俺の腹に背中を付けるようにもたれかかってきた。
「おい、義兄を背もたれにするな」
「なんでもしてくれる約束!」
…………はい。
さっきまで冷え切っていた芽依の身体が徐々に温まってくる。
ふう、ひと安心……とはならない。
今度は、俺の理性を冷やすのに必死だ。
芽依の温かい背中がピッタリと胸から腹にかけて張り付いている。
ぎゅっ、っと抱きしめたい衝動を抑え込む。
天国と地獄のジェットコースターに平衡感覚がなくなるまで乗せられてる気分だ。
芽依は……眠ってやがる。
身体も温まったし上がるとしよう。
起こしても起きない。
また狸寝入りか?
背中に指をつーーと這わせる……起きない。
…………えい。(むにゅ)
これでも起きないとなるとホントに、寝ちゃったのか?
身体を拭いてバスタオル巻にすると、芽依を寝室に連れていく。
ベッドに横たえると、俺は居間で寝るために寝室を出ようとした。
「一緒に寝てくれないの?
義妹の胸を揉んだ変態お義兄ちゃん?」
なんてこったい。
反応があると励みになります。よろしければブックマークや高評価、リアクション/感想等いただけると嬉しいです。
これからもお付き合いいただければ幸いです。




