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41.【漁船救助】

結局、その後二十分で高橋先生の白いクラシックスポーツカーは到着した。


「都心は迂回したしね。

オフシーズンでターンパイクからこっちもガラガラで助かった」


それにしたってどんなスピードで走ってきたんだか……


「これ、芽依ちゃんに松本から」


中身はダイバースーツだった。

これで素性を隠せということだろう。

今回は芽依も『可愛くない』と文句をいうことはなかった。

でも内心では不満なの、丸わかりだけど。


「芽依、またご褒美だな?

ナニがいい?」

「別にいらない」


ん?なんかご機嫌ナナメ?


「芽依ちゃんはもっと他のモノを所望してるように見えるけど?」


あー、もう。


「なんでも言ってみろ!

俺にできることならなんでもやってやるから!だから機嫌なおせ」

「ホントに?じゃ約束!

絶対だからねっ」


そんな話をしてる間に北条教授が話をつけててきくれた。


なんでもここの市長と古い仲で役所の中にも、昔世話をした人が何人かいるそうだ。


『私の教え子の秘密を暴露したら、それは私の秘密を暴露するのと同じだと思え』

そう言われた役所の人たちは一様にガクブルになってた。


高橋先生も苦笑いしてるし、昔はよっぽど怖かったんだろう。



挿絵(By みてみん)


提供された倉庫でダイバースーツに着替えてダイビングマスクを付けた芽依は、完全に誰だか分からないようになっていた。


北条教授の手回しで人払いを済ませた場所で、芽依は巨大化する。


「ほお!」


と声を上げたのは北条教授。

そう言えば、話はしてたけど実際に見るのは始めてか。


「高橋の『フラットランド』論文、アレ夢物語だと思ってたが、これを実際に見ると仮説としてはじゅうぶんだな」


「じゃあ芽依ちゃん、事故現場の様子をボクたちが見えるようにできないかな?」

『分かりました』


芽依の声がヘッドフォンマイク越しに聞こえてかる。


どうするのかと思えば、俺が摘み上げられた。

あー、やっぱりこういう役回りなのね。


そのまま、事故現場がよく見える高い岩の上に降ろされる。

なんかもう抗議するだけ無駄なんで素直にDiscordのカメラをオンにして座礁した漁船にスマホをむけた。


その船に芽依が慎重に近づいていく。

水深は芽依の膝下くらいだから10mないだろう。


芽依はゆっくりと船体を持ち上げた。


『あー、船底に大穴あいてますよ?』

『芽依ちゃん、そのまま砂浜へ……』

『いや。その砂浜は満潮で水に浸かる。

諸星君。もう一段上の護岸にそっと置いてくれたまえ』


割り込んできたのは北条教授、さすがにゆかりのある土地だな。


こうして漁船を救助したあと。


『じゃ。お義兄(にい)ちゃん、旅行の続きしよっ』


そう言って俺を摘み上げると、元の場所に戻って行った。

ストーリー上はダイビングマスクで顔を隠してますが、挿絵ではイメージ優先にしています。


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