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40.【事故】

前日の夜にレンタカーを借りて朝早くに出発したが、都心を突っ切るのに時間がかかり、現地に着いたのはもう午後だった。


閑散期の海水浴場にしては妙に騒がしい。

それでも旅館はすぐに分かった。

名前から日本旅館だと思い込んでいたがホテル風の宿。

まあそれはいい。

部屋がツインではなくダブルだった。

……なんで運命まで俺の理性を試そうとするの?


取り敢えず荷物を置いて再度フロントに。

ウェルカムドリンクサービスをもらいに行った。


なんか騒がしいと思ったら地元の消防団まで集まってきてる。


「火事でもあったんですか?」


折角遊びに来て、火事に巻き込まれたらシャレにならない。

ところが返ってきた答えは想像を超えていた。


「えぇ、近くで漁船が座礁しまして……

このままだた転覆の恐れがある、っていうので人を集めてるんですよ。

折角お楽しみに来ていただいたのに騒がしくてすみません」


あちゃー!またこのパターンか……

漁船のサイズは全長5mほど。

芽依が巨大化すれば助けることはできるだろう。


でもここは地元とは違う。


というかあの時だって、俺は要救助者よりも芽依の安寧を優先しようとした。


でも、芽依(コイツ)は話を聞いちゃったら放っておけないタイプだよなあ。


芽依を見ると、明らかにその気はありそうだが、俺の苦労を考えて口にしてないのが分かる。


伊達に長年、義兄妹きょうだいやってない。


「どうしたい?」

「助けられるなら助けたい。

でも無理は言えないから……」


はあ。

深いため息をつくと、高橋先生に連絡をいれた。



『隼人君か、そろそろ連絡がくると思ってた』

「えーと、先生はもしかしてエスパーかなにかで?」

『そんなワケないだろ、事故発生直後の速報をTwinsが拾ってね。

ボクのところに連絡をよこした』

「なんでTwinsは?」

『Twinsには、芽依ちゃんのスマホ位置情報を共有してるだろ?』


あ、そうか。

つまり今の状況を真っ先に推測したのはTwinsってワケか。

アイツも、ただのAIのワクからハミ出してるよな。


「それで先生は今どちらに?」

『君たちのところに向かってる。ああ、北条教授も一緒だよ。

彼はそっちに(ゆかり)があるそうでね。


地元の偉い人ともパイプがあるから隠蔽は可能だそうだ。


ドコまで見越してるんだ?この人?


「でもこっちまで距離ありますよ?」

『それも問題ない。

さっき箱根を抜けたよ。久しぶりのターンパイクだったね。

今は、スカイラインだから後三十分くらいで到着する予定だ』


俺は怖くて聞けなかったことを、思い切って聞いてみた。


「先生、さっきからタイヤのスキール音鳴きっぱなしですよね?」

『うん?気の所為じゃないかな?

安全マージンはちゃんと取ってるよ?』


あー、『安全運転してる』とは言わないのね。

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