04.【医大】
部屋に入ると、ちょうど芽依がトイレから出てきたところだった。
「間に合ったか?」
「変態っ!」
はあ、まあ難しい年ごろだからな。
「家が自然に戻ったのはなんでなんだろうな?」
「知らない」
ヘソを曲げてやがる。
「ま、それよりだ。部屋の散らかり具合が酷いな。大地震の後か、ドロボーに物色されたあとみたいだ」
「それなんだけどね。おかしいのよ、アタシおっきくなる時、お皿が割れる音とかテーブルが壊れる音、聞いてるの」
……つまりは、家と一緒で自動復元されたってことかな?
「だったら元通り片付けておいてくれてもいいのに、微妙に不便な不思議現象だな」
その晩は、二人で部屋の片付けに追われた。
◇
翌日、俺は職場に自己都合の休みの連絡を入れた。
プロジェクトが一段落ついたところで本当に良かった。
代休も貯まってたしな。
ウチの会社、意外にもホワイトで代休未消化に厳しいんだよ。
それから芽依にも学校を休ませると、取り敢えずかかりつけのお医者さんに連れて行った。
最初の巨大化は「謎のキノコ」という明確な原因があったが、昨日のは理由がハッキリしない。
この先も続くとなると生活に支障が出るからな。
「医者をからかうのはヤメなさい、って普通なら言うところなんだけどね」
子どもの頃からお世話になってる初老の先生は柔和な笑顔で切り出した。
「今朝から何人もの患者さんが話題にしてるんだよ」
その一言で芽依は顔を真っ赤にした。
「うぅ、もうお嫁に行けない。お義兄ちゃん、お嫁さんにもらって!?」
取り乱してナニを言うやら。
先生は微笑ましいものを見るような目で続けた。
「私の後輩を紹介しよう。若い外科医なんだが、才能に溢れる医者でね。専門外の知識も多い。彼なら何かしらのヒントは掴むだろう」
◇
さらに翌日。
地元駅から電車とバスを乗り継いで県庁所在地にある医大にたどり着いた。
そして紹介状を見せると、すぐに部屋に通された。
「はじめまして。オr……ボクは高橋と言います。本業は外科医なんだけどね。色々と手を伸ばしてるから手助けにはなれると思う」
「お忙しい中すみません」
「なに、あの先輩からの頼みじゃ断りにくいし……それに……」
それに?
「実はボクの家も君たちと街に住んでてね。巨大少女のウワサは聞いていたんだ」
あ、芽依のクチから魂が抜けかけてる。
「じゃあ早速、症状を確認しようか」
高橋先生はそう言うと俺たちを駐車場に連れ出した。
「病院の建物を壊すワケにはいかないからね」
それから瓶入りの液体を手渡される。
「あのー、先生?……これなんです?」
「心配しなくても身体に害のあるものじゃない、ただの試薬だから」
俺はその瓶を芽依に手渡した。
一瞬のためらいのあと、芽依は、瓶の中身を一気に飲み干した。
そして……俺の義妹は三たび巨大化した。
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