03.【住宅街での巨大化】
頭の中で『ピロリロリロリロ♪』という効果音が流れた気がする。
「え?」
「おい、芽依?」
「あ、お義兄ちゃんお帰り」
「いやお前、お帰りじゃないだろ!ご近所さんが集まりだしてるぞ」
「えっ…………きゃ~っ」
「落ち着け、暴れられたら大惨事だ」
「だってぇ、今日の部屋着ダサいヤツなんだもん」
いや、気にするとこソコかよ。
今の芽依はノースリーブにホットパンツ。色はグレーで地味だが「ダサい」というほどではない。
ただし、40mの巨大少女がそんなカッコしてたらとにかく目立つ。
「女の子は可愛いカッコしてたいの!お義兄ちゃんデリカシー無さ過ぎ」
「それよりお前、その生足のほうが目のやり場に困るぞ」
「~~っ、この変態っ、スケベっ」
「こら暴れるなって。ご近所迷惑だろ」
そこにお隣のおばさんが話し掛けてきた。
「あら芽依ちゃん、ずいぶんと大きくなったわねぇ。子どもの頃なんて、こんなに小さかったのに」
おばさん、そういうレベルじゃないでしょ?
「お騒がせしてすみません」
「べつにいいのよ」
そんなご近所付き合いをしてたら、上から声をかけられた。
「お、お義兄ちゃん!」
ん?見上げると顔が妙に赤い。
「どうした?具合でも悪いのか??」
このサイズじゃ救急車は呼べないな、等と咄嗟に考えるあたり俺もだいぶこの異常な状況に飲まれてるのかも知れない。
「と、トイレ行きたくなっちゃった」
「おまっ、ガマンしろ。漏らしたらご近所迷惑ってレベルじゃねぇぞ。三分で元に戻るんだから」
「戻らなかったらどうすんのよ?」
そん時は……どうしよう?
そこら辺でさせるわけにもいかないよな?
その考えを読まれたんだろう。
「お義兄ちゃん、やっぱりデリカシーがないっ!」
「まあ大変。あっ、近くの川で済ませればいいんじゃないかしら?」
「おばさん、あの川、利根川の支流ですよ?下流の環境汚染が大変なことになります」
「お義兄ちゃんのバカぁ。義妹のこと環境汚染源みたいに言わないでよ。
それ以前にJKが川でなんて出来るワケないでしょーっ!!」」
すでに収受がつかない。
そこに現れた救世主は斜向かいのおじさんだった。
「話は聞かせてもらったぜ。芽依ちゃん、いざとなったらおじさんの会社にある浄化槽使えばいい」
たしかこのおじさんは浄化槽の開発/販売会社のひとだったはずだ。
「あの…………おじさん?ソコって周りからは……」
「あー、丸見えだったな。ごめんよ、そこまで気が回ってなかったわ」
「やっぱりイヤー!」
カオスだ。……ん?
「なあ芽依。そろそろ三分だが?」
「あ、なんか戻りそう」
そして。芽依の身体がみるみる縮まって元のサイズに戻っていく。
それとともに不思議現象がまた起きた。
木っ端微塵に吹き飛んだ我が家がまるで動画の逆再生の用に修復されていく。
「夢でも見てたんですかね?」
「いやいや、オレっちも見てたしよ。集団幻覚ってワケでもねぇだろ?」
「それよりも隼人くん。早く芽依ちゃんのところに行ってあげなさいな」
隣のおばさんの言葉に甘えて俺は自宅の中に入った。
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