02.【義兄の憂鬱】
ふぁー、眠ぃ……
「よっ、隼人。週明けだってのに、ずいぶんとお疲れじゃねぇの?」
「ん?あー、芽依がな……」
「なんだ!?お前、とうとう芽依ちゃんに手ぇ出したんか??」
出すわけねぇだろ!兄妹だぞ!
そうキレ気味に言い返す。
「血はつながってないんだろ?」
「物心つく前から兄妹として育てられたんだ。ガキのころは一緒に風呂にも入ってたんだぞ?今さらそういう目で見れねぇよ」
相手が訝しむ。
「かー、血のつながらない兄妹で二人暮らしなんてラノベみたいな生活しててよぉ……
お前……枯れてないよな?」
「失礼なこというな!義妹をそういう対象に出来ないって話だ」
「で?結局ナニがあったんだよ??」
どうやらやっと本題らしい。
「芽依も今年、受験だろ?本格的になる前に遊びに連れてけってせがまれてな。隣の県にある鍾乳洞に連れてった」
「なるほど、薄暗い物陰でいちゃいちゃと……」
「だからしねぇって。で、だな。突然デカくなった」
相手が一瞬固まる。
「はい?」
返ってきた言葉は酷く間抜けだった。
まあ、そうなるよな。
俺だって最初はポカンとしたし。
「巨大化したんだよ、特撮ヒーローみたいに。そんで大騒ぎさ」
「どのくらいのサイズだよ」
「ウチの街に観音様いるだろ?そのくらい……」
「ちょっと待て。えーと……あの観音像41.8mだぞ?」
スマホで調べたんだろう。正確な仏像の高さを出してきやがった。
「ああ、そうだな。付け加えると、ちょうど三分で元のサイズに戻った」
「ますますウルト……」
「それ以上言ってはイケナイ」
俺は同僚のクチを塞いだ。
実際、騒ぎになってスタッフから怒られたからな。
ちょうど天井高が60mあるとかいう場所だったから歴史的記念物を壊すことにもならなかったし、他人様をケガさせたりすることにならなかったのが幸いだ。
「でもよう。イキナリそんな巨大化したら当然、服がビリビリに……」
「お前の期待に応えられなくて残念だが、何故か服も一緒に巨大化したよ」
「物理法則どうなってるんだよそれ?」
「俺に聞くな。そもそも体重は三乗に比例するから自壊しない段階で物理に喧嘩売ってる」
ふーん、とつまらなそうな同僚。
「まあ、数分で元に戻ったし、原因は取り除いたから平気だろう」
「お前、そういうのフラグって言うんだぞ」
おい、不吉なこと言うのヤメろ。
◇
エンジニアなんて仕事は帰りが遅いと相場が決まってるが、今はたまたま三月末の納期を無事に終えてプロジェクトが一段落ついたところで比較的早めに帰宅できた。
とは言っても義妹は、ちょうど晩メシを食べ終わったころか。
そんなことを考えながら歩いてると、目の前で自宅が崩壊し、そこに巨大化した芽依が立ち尽くしていた。
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