35.【ケイリー・ハミルトンの定理】
「学力テストのほうは問題ないみたいだね」
高橋先生の知り合いだという北条教授はそう言って芽依を褒めた。
それを言われて明らかにほっとした表情を見せる芽依。
「じゃあ最後は簡単な面接をしようか?」
この面接は口さえ出さなければ同室していてもいいらしい。
「じゃあ問題だ。先に言っておくとこの面接では正解は期待していない。
君のセンスを見るのが目的だから、思ったことがあれば自由に言ってみなさい」
芽依は「はい」と元気に応える。
「ケイリー・ハミルトンの定理というのがあってね……」
行列演算に関わる公式だと思うけど。AI技術で一番重要なの行列だし。
ここまで専門になると俺じゃ全く分からん。
松本さんも同じみたいだ。
高橋先生だけは面白そうに見ている。
そしてなんと芽依は目を輝かせて話について言ってる。
一通り説明が終わったところで芽依が口を開いた。
「あの…………これ。
次元数Dが、物凄く大きくなった時、P(A)≠0になる場合がありませんか?」
「「「「え?」」」」
その場の空気が凍った。
「いや……確かに理論上はあり得なくないな」
いち早く再起動したのは高橋先生だった。
「そんな……いや、でもまさか。
高橋!お前の見解を聞かせてくれ」
「Dが無限に大きくなる場合を考えたら……」
なんか俺たちそっちのけで議論が始まってしまった。
「君!どうしてそう思ったのか聞かせてくれないか?」
「えと……あの。
ホントに素人がなんとなく思っただけなんで」
既存の考えに囚われずにそういう発想ができることが素晴らしい、とベタ褒め状態になってしまった。
芽依も動揺してる。
とにかく芽依が
放った爆弾発言は、専門家が本気で調べてみることになったらしい。
芽依の推薦入学の話も「既成概念に囚われない発想」が高く評価されたそうだ。
この場で内定とはいかなかったものの、ほぼ決まりと言うことだ。
しかし芽依の発言には驚いたね。
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