34.【推薦】
「ふーん。知力の『厚み』ねえ……」
高橋先生でもさすがにこれは難問だったみたいだ。
それでも芽依が書いたTwinsのパッチにはとても興味を示してくれて、『これなら推薦も取れる』と言ってくれた。
その時に芽依が、どうせなら『水洗のがいい』と言い放ったのは笑い話だが。
そうして来週、医大の推薦入学の面接と小テストを受けることになった。
データが貯まってきて、空腹時は155cmに戻れることがほぼ確実だという先生のお墨付きが出たからな。
最もそのためには面接が終わって帰宅するまで、芽依には空腹のままガマンしてもらう必要があるけど。
芽依としても他人との接触が極端に制限された生活にもストレスが溜まっていたそうなので、一日くらいの空腹は受け入れるということになった。
◇
高橋先生の白いクラシックスポーツカーは後部座席が驚くほど狭かった。
運転してるのは先生、助手席に松本さん、後部座席に俺たち義兄妹が座る。
「ねえ、お義兄ちゃん、お腹すいた」
「今日だけだからガマンするって約束だろ?
面接の先生に、態度がデカいヤツだと思われたくないだろう?」
「いやいや、隼人君。
態度がデカいで済むサイズじゃないですよ?
私の気苦労ももう少し考えてね」
松本さんは、相変わらず苦労が多いらしい。
「最近は、芽依がご迷惑かけないようになるべく自宅にいるもうにしてますけど?」
「決裁取ったり稟議回したりでねえ。
まーだいたい高橋のせいではあるんですけど……」
高橋先生、やっぱり松本さんには辛辣なんだな。
そんな話をしていたら芽依が自分のスマホを取り出した。
「ツインズ?」
『なんですか?芽依。面接のズルはドクターが許可してません。
自力で推薦を勝ち取ってください』
「そうじゃなくて。
あの、帰ったらお義兄ちゃんに美味しいご飯作ってもらうから準備よろしくね。もう、お腹ペコペコで……」
微笑ましい。
そう思って見ていた時期は平和でした。
反応があると励みになります。よろしければブックマークや高評価、リアクション/感想等いただけると嬉しいです。
これからもお付き合いいただければ幸いです。




