32.【進路変更】
夏休みも終盤になって芽依が受けたIT系の模試はそこそこのデキだった。
元々文系志望とはいえ、数学のデキは悪くなかったし、この業界いやいやコード書いてる天才よりもやる気のある凡人のほうがいいアウトプット出すのもよくある話だからな。
まあ俺みたいにやる気のある天才が…………
なんで急にエアコン止めるの?
Twins、お前のせいか!!
『隼人に空調は不要と判断しました。その分のリソースを芽依に回します』
「ごめんなさい。さすがに熱くて死んじゃうんでエアコン入れて、プリーズ」
『分かればよろしい』
コイツ、そのウチ絶対に『隼人絶対服従パッチ』を……あ、ごめんなさい、冗談です。
まあAI相手の漫才はこのくらいにしてだ。
この模試結果なら、今から進路変更しても受験シーズンまでにじゅうぶんに間に合う。
俺の専門分野であることも大きいし、高橋先生も……いやあの人はどんな分野でも一流の結果を出すんだろうな。
二学期が始まったら早速、学校の先生に相談しに行こう。
◇
「は?」
この人に驚かされるのはもう慣れたつもりだったがまだまだ甘いようだ。
高橋先生の紹介可能な『AI関連の進路』とは、高橋先生の大学だった。
医療にAIを取り入れる研究をしてる研究室があるそうだ。
『実験動物扱いする気はないから安心して欲しい。
まあ、希少症例の学習データは圧倒的に不足してるからウチにくるかどうかは別にしても協力してくれると助かるけどね』
つまりどの道、希少症例のデータは取られる。
だったら推薦くれるっていうならそのほうがお得でしょ?
ということらしい。
「先生、コンプラ平気なんですか?」
『そこは上手くやるよ』
あ、はい。ちゃんと守る、とは言わないんですね?
「最終判断は芽依の意思ですよ?」
これだけは譲れない。
そう意思を込めて、俺は高橋先生に回答した。
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