30.【リモート授業】
三度目の採血を済ませた先生は、ドコか嬉しそうに帰っていった。
詳しい結果は後日伝えてくれるそうだ。
一方の松本さんはぐったりしながら帰っていく。
今の芽依はティシャツにキュロットスカートというラフな部屋着だ。
ただし身長40m。
で、残された俺と芽依は、学校をどうするか相談していたワケだ。
と、言っても選択肢はほとんどないけどな。
「アタシは先生の言う通り、リモート授業でいいと思う」
「学校側が認めてくれればな」
「でも先生、任せろ、って言ってたよ?」
だからコワいんだよ。
芽依の学校では現在のところ、リモート授業はやってない。
芽依ひとりのために、と、なると色々と調整が大変だろう。
さらに受験の心配もある。
折角、模試でいい結果が出た直後だからな。
少なくとも、予約していた夏期講習はキャンセルだろう。
俺が教えるしかないかなあ。
「えっ!お義兄ちゃんが教えてくれるの?ヤッター!!」
なんでお前、幸せオーラ出してるん?
それじゃ巨大化が治まらないじゃないかよ。
「とにかく、あと一週間くらいで夏休みだろ?
夏期講習のキャンセルと一学期の残りはなんとか在宅にならないか学校と話をしてくる。
二学期にどうなってるかは分からないからな。
それは保留な?」
芽依は頷く。
こういう時だけ素直なヤツだ。
◇
こうして芽依のひとりリモート授業が始まった。
とは言え、一週間で夏休み。
まだ試運転の意識が強い。
ページめくり等の操作はTwins経由による音声操作だ。
あと、文章入力もそう。
腹が空くと元のサイズに戻るが、それ以外はほとんど40mで過ごしている。
池田さんに聞いたら制御不能の巨大化が始まって以降、メタン発酵の発電効率がどんどん上がっているらしい。
このままだと理論最大値を超えそうだとか……
つくづくMMGSってヤツはよく分からない。
その発電だが、発電量からまずこの巨大化住居に必要な電力を差し引く。
一般家庭に比べたら空調も桁違いだし、500インチモニタの消費も大きい。それでも80世帯分くらいの電力の余裕が出来るのでそれは売電にしてる。
電気を売ったお金の半分は芽依のモノ、残りの半分がプロジェクトのものになる。
ウチが取りすぎだと主張もしたんだが、なにが起こるか分からない。
みんな芽依のことを『単なる資源』ではなく『守るべき存在』と思ってくれてるのが分かって嬉しい。
芽依自身は、高校生最後の夏休みをほとんど家に引きこもって過ごさないといけないのは少し可哀想だが巨大な身体で受験勉強に励んでいる。
たいていはラフな部屋着で、今日はノースリーブにホットパンツ。
「ツインズ、ここ教えて?」
「こら、芽依。勉強は自分でやらなきゃダメだぞ!」
「答えは聞いてないモン。考えかたを聞いてるだけ」
ホントかよ?
『肯定します』
相変わらずTwinsは、芽依に甘過ぎるな。
ホントに調整考えたほうがいいたもしれない。
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