26.【Supreme-Cute Law】
なんとか巨大化住居に逃げ込んだ直後、芽依はそのまま床にへたり込んでしまった。
「おい、芽依。いったん降ろしてくれ。
高橋先生と松本さんに早く連絡して置きたい」
「…………」
「芽依?」
「イヤ」
は?何言ってんだコイツ?
「離れちゃイヤ」
「ドコにも行かねぇよ。連絡してくるだけだ」
「お義兄ちゃんまで離れたらアタシ、ひとりきりになっちゃう」
はあ……
「Twins?」
…………
相変わらず俺には返事すらしねぇ。
「Twins、エマージェンシーモード、パスワードは『MEI_CRITICAL』だ」
………………
『パスワードを確認、エマージェンシーモードに移行します。
隼人、何がありましたか?』
「芽依が元のサイズに戻れなくなった。
高橋先生と松本さんに至急連絡を取りたい。
音声の文字起こしとテキストメッセージ送信を頼む」
『了解しました。
送信テキストをどうぞ』
「タイトル、緊急連絡」
俺の喋る内容が500インチモニタにテキスト表示されていく。
「トリガー不明の巨大化が発生、元のサイズに戻る方法不明」
それから、高橋先生にナルハヤで連絡が欲しいこと。
松本さんにはレジャープールの隠蔽工作(無理だろうな)、さらにプールに置きっぱなしの荷物回収をお願いした。
芽依はいまだに俺のことを離そうとしない。
このまま握り潰さないことを祈るばかりだ。
やがてTwinsが文字起こしした内容をチェックした上で、高橋先生と松本さんにメッセージ送信してもらう。
「芽依、お義兄ちゃんがずっと一緒にいてやるから心配すんな。
高橋先生や松本さんも来てくれる」
芽依は無言で頷くと、俺を押し込んだ。
「おい、芽依!
義兄をビキニの中に押し込むんじゃない!
苦しいだろうが!!」
「…………」
だいぶ堪えてるな。
「なあ、芽依。"square-cube law"って知ってるだろ?」
「うん。高橋先生から教わった。
身長が25倍になったら体積はとんでもなく増えるから、普通なら立つこともできないんだっけ?」
「ああ、そうだ。
でも芽依はちゃんと立てるだろ?
それはな。
"Supreme-Cute Law"
ってヤツが働いてるからなのさ。
だから俺はずっと一緒にいてやるよ」
その言葉に、芽依が自分の身体を掻き抱く。
むぎゅっ
嬉しいがそれ以上に苦しい。
「おい、何すんだ!」
「パイズリってヤツ?
お義兄ちゃん好きなんでしょ?」
芽依は泣きながら不器用に笑う。
キライじゃないが、こんなん圧死する。
あ、なんかキレイなお花畑が見えてきた。
『…………
役所の松本部長から着信です』
「つないで……いやTwins、サウンドオンリーでつないでくれ」
『当然です。
義兄妹のそんな姿、モニタに出すワケにはいきません!』
なんで俺が悪いみたいに言われるの?
『隼人君、高橋は外科手術ですぐには対応出来ないそうだ。
私はこれからプールに行って荷物を回収してくるよ』
「松本さん、助かります」
『それから隠蔽については高橋がなんかアイデアを持ってるらしい。
また私の毛根にダメージを与えるようなモンじゃなといいいんだがね』
その後、いくつか情報をやり取りして松本さんとの通話が終わった。
芽依はまだ動き出す気力は無いらしい。
「Twins、空調の最適化を頼む。芽依が風邪ひかないようにな」
俺の指示に、無言でエアコンのコンプレッサが応えた。
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