25.【逃避】
「お、お義兄ちゃん、どうしよう??」
「義妹よ、落ち着け」
ここで芽依という固有名詞を出すワケにはいかない。
「とにかくもう五分になる。先に元のサイズに戻るんだ」
「戻れないのよっ!」
…………?
「え?」
我ながらマヌケな声だったと思うけど、そのくらい想定外だった。
ヤバいぞ、水着ってのもヤバいけど、戻れないのが致命的だ。
このままだと、いずれ騒ぎが大きくなってそしてパニックに発展する。
っていうか周囲がザワつき始めてる。
芽依はオロオロするばかりだ。
一刻も早くここから離脱したほうがいい。
巨大化住居からここまでは、公共機関で、約一時間……だが、40mの芽依の足なら歩いてもせいぜい十分、走れば数分のはずだ。
40m時の芽依の歩幅は25倍、普通は、身長比にキレイに比例するワケないんだけど、MMGSではなぜかそうなる。
人間の徒歩は約4km/h、それの25倍だと、歩くだけで時速百キロだ。
「芽依、ここはいったん逃げろ」
「え?……でも。このカッコで?」
「いいからっ、ここはなんとでもなる。このままじゃ警察や……自衛隊まで出て来かねない」
芽依は、その言葉で覚悟を固めたようだ。
◇
芽依は俺をひっ掴むと、レジャープールの壁をひょいとまたいで走り始めた。
「おい、こら。芽依!
なんで俺を掴んだ」
「だってアタシひとりじゃイヤだもん」
「はあ……握り潰すなよ?」
そうして俺たちはなんとか巨大化住居に逃げ込むことに成功した。
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