22.【増殖するツンデレ】
次の週末、いよいよ芽依専用サポートAI 'Twins' の稼働を迎えた。
念のため高橋先生にも来てもらっている。
「じゃあ芽依。巨大化してくれ」
芽依は頷くと、タブレットを口に入れた。
そして40mの巨大少女があのだだっ広い空間に姿を現す。
「じゃあ、'Twins' に呼び掛けてみてくれ」
「うん、分かった…………えと、ツインズ?」
『はい、なんでしょうか?芽依』
「わっ、しゃべった!」
この巨大化空間内の何か所かにマイクが仕込んであって、芽依の声紋と一致した時だけ反応する仕組みだ。
俺と高橋先生は大型のスレート端末を覗いていた。
'Twins'サーバをデバッグモードで動かして、システムメッセージを確認するためだ。
真っ黒な画面に白い文字がパラパラと流れていく。
「芽依、'Twins' はお前の声だけに反応する相棒だ。
この住居のコントロールを音声だけで完結するようになってる。
なんか言ってみろ」
「じゃあ……ツインズ、エアコンの温度少し下げて」
「お前、巨大化すると暑がりになるよな」
「暑いんだから仕方ないじゃない」
「ボクとしては逆の意味で不思議だね」
「高橋先生?それはどういう?」
「代謝は三乗倍で上がるけど、冷却は体表面積に依存するから二乗倍だろ?」
あ、そうか……
『隼人、そんなことも分からないんですか?
芽依の保護者としてなってません』
なんで俺、自分で育ててるAIに罵倒されてんの?
「あ、少し涼しくなってきた。ツインズ、ありがと」
『どういたしまして、芽依。貴女の生活をサポートするのが私の役目です』
◇
「上手く行ってるみたいだね」
「はい、AIは今まで専門外だったんで難航してますけど、予め先生が準備しといてくれたおかげです」
「それは何よりだね。
それでDisableにしてある機能があったろ?」
「あ、はい。アレなんです?」
「芽依ちゃんのバイタルをモニタしてボクのところに転送する機能でね。
患者のプライバシーに関わるから芽依ちゃんと隼人君に許可が得られたら有効にしようと思ってね」
「俺は芽依次第でいいと思います。確かにプライバシー問題はありますが先生がモニタリングしてくれていたほうが安心ではありますし」
『隼人のスケベ』
だから、なんで俺だけAIに罵倒されるん?
「んー、アタシはいいと思うだけど。ツインズはどう思う」
『高橋医師への健康データ提出は理に適っている、と判断します』
だったら、なんでさっき俺のこと罵倒した!
コイツ。いっぺん初期化して教育し直すか?
そんなことを考えていたら
『隼人、AIハラスメントはヤメてください』
イラっ!
「まあまあお義兄ちゃんもムキにならないで」
……解せぬ。
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