21.【双子】
引っ越しが片付いて、芽依は学校に行ってる。
休みがちではあるが、『難病』ってことにしてあるので不審がられることにはなってない。
どっちかというと『奇病』だけどな。
コレ言うの芽依怒るんで本人のいる前では言えないけど。
そんな引っ越しから数日経ったある日、白いクラシックスポーツカーがやってきた。
高橋先生だ。
「新居の生活はどうだい?」
「人間エリアのほうは快適そのものですね」
「巨大化エリアのほうは?」
「ベッドは気に入ったみたいです。
ただ、トイレは抵抗あるみたいで……」
「今どき、水洗じゃないのは女の子にはツラいだろうけど、さすがに下水能力越えてるからね。
池田さんに頑張ってもらうしかないかな。
臭いは平気?」
「あ、はい。そこは、池田さんたちもかなり気合入れてくれてるんで」
「それで、今日ここまで来た本題だけど。
巨大化状態の箱は完成した。
でも、彼女が快適に過ごすことを考えたら、箱だけじゃなくてソフトウェアによるサポートが必須だろ?」
まあ、それは。
俺だってエンジニアだからよく分かる。
「はい、それで?」
そう俺は先生に話の続きを促した。
「そこでプロジェクトの予算でサーバを用意した。
大手ベンダのAIシステムがアップデートしたろ?」
うん、それは知ってる。業界ではけっこうニュースになったからな。
「元はプロプラなんだけど、旧バージョンがオープンソースに公開されてるのを知ってね。
取り敢えずフォークしてビルドまではしてある」
えーとこの人、外科医だよね?
「隼人君、我々に必要なのは万人が使う汎用品じゃない。
芽依ちゃんというオンリーワンのためのサポートシステム、彼女と深い絆で結ばれた相棒、'Twins'だよ」
「……はい」
「取り敢えずビルドが通るところまでは確認できた。
あとはこれを芽依ちゃん専用カスタムに育てていくのは君にしかできない」
え?
「差し当たり、芽依ちゃんの声紋を登録した音声認識のプロトタイプは組んであるから、まずはこの巨大化空間を音声認識でコントロールできるようにするのが最初だね」
軽く言ってくれるなあ……
まあたしかに照明や空調なんかが全部巨大化芽依用のインタフェースを持ってるわけじゃないから、芽依ひとりしかいない時に不便だとは思ってたけど……
まさかこう来たか。
まあAI技術の勉強にもなるか……
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