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残酷とはまさに

燃え尽きた手紙の残骸は、あっという間に真っ白な灰となり空気に溶けてしまった。


「・・・なるほど」


佐倉大臣は考え込むように黙り込み、その残骸を目で追っていた。


「と、とりあえずメモリーカードの中身を確認してみましょう」


達磨がどこからか取り出したノートパソコンを起動した。

メモリーカードを差し込むと、すぐに動画が再生される。


『この映像を見ている皆さん、再生されている時点で俺はもう死んでいると思いますが、これから流れるものは真実です。』


変身前のルージュナイトと思われる誠実そうな男の子が困ったような笑顔で画面の向こうから見つめてくる。


その後画面が切り替わり、隠しカメラと思われる角度の映像が映し出される。


『そろそろ新作を作らないと、収益が滞りますぞ』

『しかし、あんまり魔法少女の数が減りすぎると民衆にも怪しまれますし』

『そんなの今更でしょう?あのサイトもかなり知名度が上がっていますし、過去作品も定期的に売り上げが確認されています』


動画の場所はどこかの県庁施設の一室のようだ。高価そうなソファに様々な体系の男たちが笑いながら話に花を咲かせている。


『そういえばあの男の魔法少女の処遇はどうしますか』

『一定需要はあるのでもう少し魔法少女として稼がせたいところではあるのですが、先日何度か呼び付けた際にたてついてきましたからな』


おそらくルージュナイトのことだろう、いやらしい笑い声が言葉の端々から漏れ出ており、不快さを加速させている。


『ああいう存在を凌辱する作品の企画なら、今シナリオを発注しているところです。すでに一つはシナリオが出来上がっていて、あとは他のスタッフを募っているところですよ』

『ほう、内容は我々が確認してもいいかな?』

『こちらです』

『ふひっ、これはこれは・・・』

『なかなか・・・』


豚のような笑い声が漏れ出る音声に葉月は吐き気を催しながらも画面を凝視した。


『まぁ、魔法省のロゴを思わせるデザインのロゴでサイト制作を依頼しましたし、今のところは魔法省が許しているといううわさが聞こえてくるほどに騙せているのは事実でしょう』


一人の男の言葉に佐倉大臣の動きが止まる。

怒りに拳を震わせ、画面を凝視している。


「・・・この男たちのいる部屋はおそらく〇〇県の県庁だ。第三応接室と同じ絵画が一瞬映った」


佐倉大臣は険しい表情のままだ。


「顔は映っていないのか・・・いや待て、このスーツはオーダーメイドか?見たことのない刺繍が・・・」


佐倉大臣が独り言をつぶやきながら端末を操作し始める。


そうこうしているうちに画面が切り替わり、おそらくぬいぐるみの中に仕込まれているカメラなのだろう、ところどころ綿のような何かが画面の端に映り込んでいる。


『これで本当に村に対ガーゴイルの結界装置の設置を約束されるんですか』

『あぁ。途中で変身を解いてもらうが、顔は隠されるから安心してくれ』

『台本の通りに進むことの方が難しいから、簡単な設定だけ頭に置いておいてほしい』


ルージュナイトと、その他男性が二人映っている。

室内は少し無骨なコンクリート壁の、まるで拷問部屋のような様子で、不自然なほどに綺麗なベッドが置いてある。


『ただ、結界装置はまだ実験段階なので、その実地実験も込みであることは理解してほしい。失敗して逆にガーゴイルが押し寄せても一切責任はとれないからね。契約書にも書いてある通りだけど』

『わかってます。その時は俺が責任もって片づけます』

『今日も一本撮るけど、今日は実験で無力化させた植物型のガーゴイルの相手をしてもらうよ。一応毒性はないけど、何か注入されるかもしれないから、ワクチンを先に打たせてね』


「これが手紙にあった何かを注入されたってやつかな」


葉月がそうつぶやき、続きをみようとしたところで護摩が葉月の目を両手で覆った。


「ここから先わは私たちだけが見るから、葉月さんはいったんおやつでも食べてきて?おなかすいてるでしょう?」

「え、でも」

「いいから。ここから先は見ちゃダメ」


護摩が葉月を隣の部屋に誘導する。

葉月は不服そうにしながらも、有無を言わせない護摩の様子にあきらめて従うことにした。


葉月が部屋からいなくなり、扉が閉まったことを確認すると、佐倉大臣は自分の周りだけに防音結界を張り、動画再生を再開した。

再生された動画はひどいものだった。おそらくルージュナイトが毎回自分の荷物にカメラを仕込んで現場入りしたのだろう。生々しい行為が移された映像の数々に、佐倉大臣は不快感で顔をしかめた。

動画の最後に、ルージュナイトは作品の販売用番号のメモをカメラに映して重厚な扉の向こうに消えていった。

そこで動画が途切れ、真っ暗な画面になる。


「・・・まて、葉月さんは最後に彼と会った時にはすでに肉塊みたいになってたって・・・・ということはこのメモリーカードを編集して手紙に添えた人物が別にいる・・・?」


佐倉大臣は動揺を瞳に映しながら結界を解き、隣の部屋に向かった。


護摩が温かい紅茶を二人の前に出し、一礼する。


「どうでした?」

「葉月さんは知らない方がいいものが映ってたよ」

「何それ・・・まあいいですけど」

「ところで、彼・・・ルージュナイトと共通の知り合いっているかな?」


佐倉大臣は葉月の方をまっすぐ見つめて問いかけた。


「え、いや、いませんけど・・・」

「それなら訳知りみたいな存在とか」

「訳知り・・・・・」

「何か知ってる顔だね。例の人型ガーゴイル?」

「・・・・・・・・・」


すっかり黙り込んだ葉月に、佐倉大臣は畳みかけた。


「もしかして貴女が匿っている女の子と関係あるかな?」


葉月が肩をピクリと震わせ、手に持っていたクッキーを砕いた。

欠片が床に落ち、カーペットを汚す。


「図星かな」


「罰したりとかないのであれば言います」

「罰せられる可能性があるって解釈でいいかな?」

「・・・・」

「大丈夫、悪いようにはしないから」

「それ悪いことする人のセリフですよ・・・まあいいです、あなたたちは信用していますし」


葉月はあきらめたようにぽつぽつと高校で委員長をしている星名やよいのこと、魔法少女デスサイズのことを大臣に話した。


「ノラの噂は聞いてたけど、なるほど・・・禁忌の魔法アイテムを使って変身していたのか」

「彼女は独自に魔法少女について調べていたみたいです。離婚して離れ離れになった母親に姉の話を匿名で教えたりしてたので、何か知っているかも・・・」


葉月はそれだけ言うと、母親のいる自治体の名前を教え、まほリンクの支援要請履歴を佐倉大臣に見せた。


護摩がそれをきれいな整った字でメモし、大臣に渡す。

隣の部屋で作業をしていた達磨が部屋に戻ってくると、佐倉大臣は葉月にお礼を言い、そのまま拠点のホテルに送り届けるよう二人に指示をした。


「またホテルに行くと思うから、しばらくはいつ行ってもいいように魔法少女の仕事はおやすみしてね」


佐倉大臣の言葉に、葉月は頷くことはなく、そのまま車の扉が閉まった。



~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日は星名やよいの家族について解説するエル!

やよいはお医者さんをやっているお父さんと二人暮らしだエル!

家政婦さんは週に二日、簡単な掃除とご飯の作り置きをしていくだけで、常駐ではないみたいエルね。

でもこの家政婦さんの料理がやよいはあんまり好きじゃないみたいだエル!

やよいのお父さんは成績優秀なやよいにも医者をしてほしいと思っているみたいで、勉強の成績にはとても厳しいエル!でも、興味があるのが学力とクラス委員などの実績だけだから、それ以外は警察が絡むとか何かない限り何も言わないみたいエルね。

葉月とエルエルがお友達になったらきっと楽しい毎日が送れるはずだから、これからたくさん話しかけてあげたいエル!

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