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真実の炎

「魔法少女ショコラミントさん」


葉月が自動ドアを出るとすぐに黒服の二人組が近づいてきた。

スーツの襟には魔法省のマークを模したピンバッジが付いているため、魔法省の人間なのだろう。


「私たちは魔法省大臣の側近です。先日はお話ししていただいてありがとうございました」

「佐倉大臣も少し息抜きができたようで、目つきが穏やかになられました」


サングラスの向こうの表情は読めないが、彼らはどこか嬉しそうに口元を緩まさせている。


「大臣のおつきの人が何の用ですか」

「今日は大臣からの密命で来ました。お時間いただけますか?」


身長の高い男が優しい声色でそう言うと、葉月は少しだけ考えてうなづいた。


少しふくよかな男が背の高い男から視線を向けられると、ふくよかな男は黙って頷きそのままどこかに行ってしまい、間もなく車が二人の前に停車した。


「ここではなんですから。詳細は車内で」


背の高い男に促され、葉月が車に乗り込むと、三人を乗せた車は静かに動き出した。


小太りの男が運転する車内で改めて自己紹介をする。

背の高い男は『護摩(ごま)』、小太りの男は『達磨(だるま)』といった。

どうやら偽名のようで、二人はよく見るとどこか似ていた。


「それで、話って?」


葉月が話を振ると、空気がピリッと張りつめた。


「ショコラミントさん・・・いえ、今は葉月さんですね。貴女は人型ガーゴイルと話をした経験があると聞きましたが、その真偽を聞いても?」

「あー・・・はい。」

「話の内容をお聞きしてもいいでしょうか?」


隣に座る護摩の真剣な視線がサングラス越しに葉月に突き刺さる。


「・・・・・」

「大丈夫です。私たちは他の側近と違って洗脳はされていません。実際それを知っているから大臣は我々を遣わしたのですから」

「えぇ。この車もあの日大臣があなたに譲り渡した傘の魔法アイテムと同じ原理の魔法を付与していますので何を話しても大丈夫ですよ」


運転しながら達磨がそう言うと、葉月は震える声で話しだした。


「えと・・・ガーゴイルと妖精は役割が違うだけで同じ存在だという話を聞きました」


「ほかには?」


「それだけです」


申し訳なさそうな葉月の頭を軽くなで、護摩は優しく声をかける。


「大丈夫だよ。一部の官僚は知っていることだからね。それに私も達磨もあなたを責めるつもりはないから。ただ、洗脳されている官僚や他の側近たちに知られると『知りすぎた』判定にされて消されてしまうから気を付けてね」


護摩は優しく微笑みながら窓の外に視線を動かす。

車の窓はマジックミラーになっているらしく、外からは中の様子が一切見えない。


「ところでなんですけど、お兄さんたちは何でわざわざ私を・・・?」

「お兄さん・・・っふふ」


達磨が葉月の言葉に肩を震わせる。


「オイ達磨」

「すいません姉さん」


「姉さん?」


二人のやり取りに葉月は首をかしげる。


「・・・身長や体格でよく勘違いされるんだ。ショートヘアだし声も低いからね」


護摩がサングラスを外すと、切れ長のクールな目元に控えめな化粧がよく似あう女性が姿を現した。

二人のやり取りから、どうやら姉弟らしい。


「・・・ごめんなさい。男性かと思ってしまって・・・」

「ハハハ、仕方ないよ。私も特に何も言わなかったからね。まあそれは置いといて、あなたの質問に答えようか」


護摩は静かに語りだした。


大臣は自分の失脚を狙う一部官僚に目星がついていて、魔法少女を凌辱し映像や写真を売りさばいて私腹を肥やしている噂について本格的に調査を始めたとのことだった。

被害者である魔法少女たちの中には葉月が共闘した人たちが複数いたことで、話しを聞きたいという話になったらしい。

その中でも葉月が助けた後に殉職した二人の魔法少女の所属していた自治体はひどく、魔法少女が大量に生み出されては短期間で殉職し入れ替わっているというのだ。


「あーあの子たち・・・」


「彼女たちも動画のことは知ってたみたいね」

「はい。色々聞きました」


葉月は援軍で出向いた際のやり取りを一切隠すことなく話す。

その話を静かに聞いていた二人は何かを考え込むようなそぶりを見せてから、コンパクトタイプの魔法アイテムを取り出した。


「加護の魔法を付与するね。本当はあなたを今すぐ保護したいんだけど、活動拠点に他の人を保護しているみたいだし。」

「・・・」


護摩はそう言ってコンパクトの中をくるくると回すと真っ白な光が葉月の体を包み込んだ。


「そろそろつくよ」


達磨が車を静かに停車させた。

話しに集中していたため窓の外を見ていなかった葉月は驚いた顔を見せた。

車の扉が開くと、そこは林の中だった。

奥まで続く道の向こうにあるログハウスの前には見覚えのある女性が立っている。


「佐倉大臣、お連れしました」


「お疲れ様!ありがとうね」


大臣は無邪気な笑顔でそう言うと、ログハウスの中に入るよう葉月を手招きした。

葉月は大人しくそれに従う。

ログハウスの中には小さなテーブルにクロスがかけられ、真ん中には不思議な色の花が花瓶に生けてある。


「さ、座って。車と同じ魔法が使われているからくつろいでいいからね」


大臣はそういうなり椅子にくつろぐように体を預けた。


「あ、そうだこれ」


大臣は電話番号を書いたメモを葉月の手に持たせると、くつろいだ体制のまま話を始めた。


「私のプライベートの電話番号。電話はあんまり出られないけど、ショートメールならいつでも見られるからさ」

「はぁ・・・」

「それで、本題ね」


大臣は鞄から出したノートパソコンを開くと、とあるサイトを開いた。それは例の魔法少女メディア販売サイトだった。


「魔法省のマークに似ているロゴが付いているのが本当に許せないんだよね。もちろん魔法省は関与してないから、各自治体の官僚とつながってる他の連中が運営してるんだと思うんだけど・・・」

「なかなか証拠をつかめなくて検挙ができないんです」


達磨が大臣の言葉を引き継ぐ。


「そういえば・・・」


葉月はルージュナイトの件を思い出して、村跡に何か証拠があるかもしれないと伝えると、護摩にあるものを渡した。

それは小さなメモリーカードで、何も書かれてない。


「ルージュナイトが自爆を私に頼んだときにマジカルジュエルの入れられていた箪笥に一緒に入っていたんです。ついていた手紙がこれです」


葉月はまだ封が切られていない手紙を取り出した。

何があってもいいように常に持ち歩くようにしていてよかったと葉月は安堵した。


葉月がその手紙の封を開けると、手紙の中から映像が浮かび上がった。

魔法のホログラムのようだ。


『これを見ているということは俺は死んでるんだね。でも村のみんなは逃がしたから安心してほしい。

俺はガーゴイルがやたらと村に来るから不審に思って役場の人を尾行したんだ。

役場の人は外部の魔法少女を援軍要請で呼び付けては眠らせて、乱暴を働いていた。そしてそれを盾に言うことを聞くように脅しつつ、撮った動画は速攻売りさばくなんて極悪非道な行いをしていたんだ。そのあとはお察しだ。あのサイトだね。

これもばれたら困るから名前は伏せるけど、主体で動いているのは地方の議員たちだ。

菊とサボテンがデザインされたピンバッジやネクタイピンをしているからすぐわかると思う。

俺はさっきガーゴイルの毒にやられたかもしれないからと予防接種で得体のしれない液体を注入された。おそらく俺はそのうち死んでしまうか異形になってしまうと思う。

だからこの手紙とは別に尾行したときの映像やその他もろもろの映像は別のものに残しておいた。可能なら魔法省の大臣と一緒に見てほしい。前の視察でとてもよくしてもらったからあの人は信用できると思う。

この手紙は映像が終わり次第燃えて消えるので、火傷しないように気を付けて。

・・・最後に・・・村の広場にある石碑の裏を見に行ってほしい。

じゃあ、またいつかどこかで会えたら。』



ルージュナイトが優しい笑顔で手を振ると映像が途切れ、手紙は燃え始めた。

その炎はきれいな赤色で、まるでルージュナイトのマジカルジュエルのようにきれいな輝きを放っていた。

~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日は大臣の側近である二人の紹介をするエル!

護摩と達磨は年子の姉弟だエル!

護摩は170センチ声のスレンダーな美人さんで、スーツがよく似合うかっこいい女性エル!

魔法適正はないけれどとても頭がいいから大臣の一番の側近としていつもそばにいるみたいだエル!

元警察官なのでSPの鐘ているらしいエル!


達磨は護摩の弟で、護摩より身長は低いけれどまんまるで重量感のある体形の穏やかな男の人エル!

重機や大型、フォークリフトなど様々な運転免許を持っているだしいエル!

護摩より気が弱く穏やかな性格だけど、怒ると誰より怖いと大臣が言っているエル~!


二人ともスーツをびしっと着こなして本当にかっこいいエル!エルエルもスーツの似合うナイスルッキングガイになりたいエル!

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