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黒色の本音

大きな音が街中に日々いきわたる。


「何あいつ…!硬すぎ・・!!!」


高層ビルに負けず劣らずの巨体が地面に大きな谷を作り出す。

ショコラミントは不服そうな表情で自らの背中を守る黒い少女に視線を移した。


腰に揺れる黒いランタンが鎖とぶつかりカランと軽やかな音を奏でる。


「アレのコアの場所が分かった、ショコラミントは動きを封じて」

「指図しないで」


デスサイズの言葉にイラつきを隠すことなく言い返すと、ショコラミントは高く飛び上がった。


「四肢をとらえればいいんでしょ!」


ショコラミントの銀糸が巨体の手足、尻尾をとらえる。

急に動きを封じられたガーゴイルは必死に動こうと暴れるが、糸の強度を上げているらしくびくともしない。


「長くはもたないからね」

「・・・フン。消し去れ、月夜の円舞曲(デスサイズ・ルーン)


デスサイズは腰に下げていたランタンを高く頭上に掲げると、その中で燃えていたハート型の炎が勢いよく燃え上がった。


その炎から真っ黒な霧が飛び出すと、ガーゴイルをたちまち包み込んでいく。


ガーゴイルの抵抗もむなしく、黒い霧がその巨体をすっかり覆いつくしてしまうと上から徐々に霧散していく。


ショコラミントは慌ててその霧に向かって小瓶を向けるも、霧は小瓶に反応することなく消えていく。

それに気が付きショコラミントは瓶を急いで隠した。


「今日はたまたまタイミングが悪かったけれど、次はこんなふうに共闘なんてできないだろうからね。それじゃ」


デスサイズがすぐにその場を立ち去ろうとするのをショコラミントがとっさに糸を操り止める。


「・・・離して」

「いいから。聞きたいことがある。この糸は自在に材質を変化させられる。その気になれば腕を切り落とすこともできる」


デスサイズは盛大なため息をつくと、ショコラミントの方に向き直り、まっすぐ目を見た。


「・・・わかった」


二人はホテルの一室に入るとショコラミントが扉の鍵を閉めた。


「魔法少女同士だしいいよね」


ショコラミントは軽く息を吐くと変身を解いた。


「あなた、馬鹿なの?」

「よくいわれる。でもまあ、変身解けば攻撃手段がなくなるでしょ?」

「どうだか」


デスサイズはあきれた様子で椅子に座ると、背もたれに体を預ける。


「あなたはどこまで知っているの?」


葉月はデスサイズをまっすぐ見つめて問いかける。デスサイズは沈黙を返す。


「魔法少女エアリィ」

「!!」


葉月がその名前を口に出すと、デスサイズの動きが止まる。


「美雪さんに手紙を送ったのって貴女でしょ」

「そうだとしたら何?あなたには関係ないと思うのだけれど」


デスサイズは口元をゆがめ、無理やり笑顔を作っている。


「デスサイズの目的は何なの?」

「あなたには関係ないとおもうわ」

「わからないでしょ」

「あなたには分かりっこない」

「いいから」


いつまでたっても話が進まずイライラしたのか葉月は大きな声を出した。


「私だって目的があるの!もう会えない人に感謝を伝えるためだけに魔法少女になったの!それを邪魔しないで!!!」


「なにそれ。もう会えない・・・・?もう会えないなら手遅れじゃない。ばかばかしい」


デスサイズは歯をくいしばり苦しそうに下を向いた。


「生き返りでもさせるの?そんなことができるなら私だってお姉ちゃんを生き返らせるもの!あなたも妖精に騙されているの・・・!!」


急に大きな声を出し、葉月の胸倉をつかんだデスサイズに葉月は驚いて言葉を失った。

その姿はいつもの冷静で冷たい印象とはちがい、どこか幼さを感じた。


「デスサイズ・・・?」

「くっ・・・わたしだって・・・うっ・・・」


デスサイズは苦しそうに顔をゆがめると、足元から力が抜けるように倒れ込んだ。


腰に下げられたランタンがまぶしく光り、変身が解ける。


「え、星名さん・・・?」


葉月の足元に力なく横たわる少女はなじみのある制服に身を包み、つややかな黒髪を二つに結んでいる。

その少女に葉月は見覚えがあった。


葉月はホテルのベッドに星名やよいの体を横たえると、エルエルを呼び出した。


「ねえエルエル、これなんだけど」


葉月はやよいが倒れたときに床に転がり落ちた小さなランタンのチャームをエルエルの前にだす。


「これは羨みの灯エル?なんで葉月が持っているエル?」


「この子が持ってたの。私のクラスメイト」

「魔法少女エル?」

「そう。デスサイズ。でも、変身が解けたときにこれが出てきたってことは・・・」

「あぁ、命を削りすぎただけエルね。本来適性が無い人間が変身すると魔力に体が耐えられないけれど、これを使うと生命力を媒介にして無理やりダメージを相殺するから、使いすぎると早死にするんだエル。あ、老けたりはしないから安心するエル!」


「・・・そういうことじゃないでしょ。何でそんなに軽く言えるの!?」


「葉月には関係ないことだからエル。何でそんなに怒っているエル?彼女は自ら望んでこれを使ったエル。しかも何度も。これは、この結果は、この子が選んだ結末だエル」


エルエルは本当に何もわかっていないようで、嬉しそうに羨みの灯を収納まほうで回収した。


「女王様の宝物庫にあとで返さなきゃエルね。これで安心だエル!」


エルエルの弾んだ声に葉月はイライラしながら唇を強く噛んだ。


「狂ってるよ・・・」


葉月の怒りを含んだ静かな声が、雨音に掻き消されるように空気に溶けていった。

~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今日はなくなってしまった魔法少女エアリィについて解説するエル!


エアリィは、白い魔法少女だエル!空中戦を得意としていて、大小さまざまな光線銃をたくさん召喚して戦うんだエル!どういうふうな姿で亡くなったのかはわからないけれど、とっても頭がよかったみたいだエルね~。

大好きなお母さんの暮らす街を守るために最後まで一人で戦った、素晴らしい女の子だエル!


光線銃はどうやって召喚するかって?彼女の変身後の姿には大きな翼が生えていたから、その羽をぶわって舞わせて集めて光線銃の形にしていたようだエル!


美しい金髪はその戦闘を見るものを魅了するほどだったらしいエル!


妹であるデスサイズの黒髪も見事な美しいつやをたたえていたし、やっぱり姉妹って似るんだエルねぇ。

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