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慣れ合いのパーティー

「さぁ、始めましょうか。この奇妙なパーティーを!!」


霞は両手を広げて高らかに宣言した。


周りの人型ガーゴイルたちも嬉しそうに声を上げる。

中には低級からレベルが上がったばかりなのか、人間の言葉とは異なった言語で会話をするものたちもいる。


皆いわゆるフォーマルな服に身を包み、まるでその場が政界の社交場であるかのように錯覚してしまいそうだ。


「・・・私以外一人も人間がいない・・・よく妖精のレーダーに感知されることなくこの数を集められるね」

「しっかり目的があれば妖精女王からお許しが出るのですよ」


シンと周りが沈黙に包まれる。

ショコラミントにガーゴイルたちの視線が刺さる。


 「・・・どういうこと?」


「おや、漆黒の少女から聞いているかと思っていたのですが」


「ノラ・・・デスサイズのこと?」


「あぁ、そんな名前でしたか。魔法少女になることを許されなかった身の分際で、闇の魔法道具を引き寄せて命を燃やしてまで変身した、あの愚かな少女は」


霞は喉を鳴らすように顔をゆがめ笑うと、愉快そうに目を細めて言葉をつづけた。


「私たちガーゴイルと、君のパートナ妖精たちは、同じ存在なのですよ。役割が違うだけ、ただそれだけなのです」


先ほどまでのにぎやかな様子はどこへやら、すっかり冷え切った空気を加速させるように静まり返ったパーティーホールで、ショコラミントは目を見開き言葉を失った。


「おやおや、だんまりになってしまいましたか。あなたの妄信している、赤い魔法少女はそのことに気が付いてしまったから処分されたにすぎないのです。しかし悪く思わないでくださいね?あくまでこちら側は人間たちの感情から生み出されたエネルギーと引き換えに、国家や自治体の収益源を提供してあげただけに過ぎないのです。それ以上に欲深く、魔法少女を利用したのは人間たちなのだから、ガーゴイルとしてあること以外の理由で忌み嫌われる筋合いはないということなのですよ」


ショコラミントは震える手を握りしめ、かろうじて声を出した。


「ふざけるな・・・そんなこと信じられると思うな!」


「ふざける?何を言っているのですか?面白くもないのにふざけるわけないじゃないですか」


「そもそも我らは戦う姿やきらびやかな衣装をメディアコンテンツとして提供したのですよ?感謝されてもいいくらいなのに、魔法少女たちにはそのことは一切知らされないどころか、少女として消費されて・・・なんと可哀想に」


霞の背後から、恐ろしく長い金髪を童話の姫のように複雑に編み込んだ少女が声を発する。


「・・・なんでそれを私に教えた?」

「面白そうだからですよ。あなたで三人目ですよ。見込みがあるのは」

「三人目・・・?」


ショコラミントは記憶をさかのぼる。


ストロベリースフレ以外にそんな魔法少女がいるのかと。


『魔法少女、エアリィ。この町をずっと守ってくれていた白い魔法少女よ。みつきが交通事故で亡くなったと自治体から連絡があった一月後に、差出人不明の手紙で知ったの』


少し前に話した、一人の女性の声が脳内でこだまする。


「白い魔法少女はとても頭がよかったよ。赤いのよりもね。赤いのは正義感と魔法適正、魔力保有量がずば抜けていたが、いかんせん感情的になりやすい分話をするのが難しかったさ」


霞は少女の姿のガーゴイルを手で軽く御すと、楽しそうな様子で言葉をつづけた。


「それにしても人間というのは恐ろしい。それともこの国の国民性なのかな?昔から服をおしめや雑巾、燃料と何度も何度も形がなくなるまで再利用していたと歴史の学びをしているうちに知ったのだが、もったいない精神もここまで行くと異常だね」


「知る機会が無ければ仕方ないと思うけど?」

「あぁ、いいなぁ、そうやって知らなかったといえば許されると思っている浅はかさ、実に人間って感じだ!」

「意味が分からない・・・」


「そのうちわかるさ。さぁ、君はどうするかね?魔法少女ショコラミント?」



霞は不敵に口元をゆがめ、目を細めた。


「どうもこうも、ないでしょ?」


何かが切り裂かれる音がホール内に響き渡る。

霞が振り向くと、見えない糸で切断された人型ガーゴイルたちがあたり一面に無数に落ちていた。


「・・・」


そのガーゴイルの切断面から漏れ出る魔力残滓を、ショコラミントは無言で小瓶に集めていく。


「それが君の答えか」

「霞、あなたは戦闘向きじゃないでしょう?」


霞の後ろに隠れるように立っていた、先ほど口をはさんできたガーゴイルの少女が霞の前に出る。


「華憐」

「私の方が、こういうのは向いているから」


華憐と呼ばれたガーゴイルの少女は、感情のない声でそれだけ言うと、自分の胸に手を突っ込み、中から心臓を取り出した。

どくどくと波打つそれはぐしゃりと気味の悪い音を立てて形を変え、大きなハンマーになる。

そのハンマーの形状にショコラミントは動揺の色を瞳に映した。


「それは・・・」


「魔法少女ストロベリースフレの武器。赤色だから」


感情の籠ることのない声は、淡々とそれだけ言うと、重心を低く落とし、足に力を入れた。


「あの人のハンマーは、そんなどす黒い赤じゃ・・・ないっ!」


ショコラミントは糸を集め槍を作り出すと、その重い一撃を受け止めた。


「っ・・・!」


華憐の小さな姿には似つかわしくない強い力は、彼女が正真正銘のガーゴイルであることを物語っている。


「へぇ。これを受けきれるんだ」

「だてに連戦してないからね」


しばらく無言で撃ち合う二人を霞は破壊された家具だったものの上から観察していた。


「華憐」


霞が声をかけると、華憐は手荷物ハンマーと手の中に収納し、霞の元に一跳びで向かった。


「これ以上はきっと終わりがないだろう。また今度、楽しい殺し合いをしようじゃないか」


霞はショコラミントがとびかかってくる前に素早く姿を消すと、声だけを残してショコラミントに別れを告げた。


声がこだまして消えると同時に、パーティーホールのある豪奢な建物が、魔力の屑となり崩れるように消えていく。


ショコラミントがオレンジ色に染まる空を見上げると、五時を告げる町内放送がどこかからか流れてくる。


先ほどまでいた建物は防音処理がされていたのか、周りの住宅街は穏やかな日常のままだ。


帰宅途中の学生たちが、ショコラミントに視線を向ける。


「ハァ・・・」


ショコラミントは重く息を吐くと、屋根の上を跳んで太陽の沈む方向に向かって速度を上げた。

~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今回はガーゴイルの戦い方について解説していくエル!


ガーゴイルはレベルによってその姿を生かした多彩な攻撃を魔法少女にぶつけてくるんだエル!


スライム型や動物型は見たらわかるけれど。植物型なら、元になっている植物の特徴が攻撃手段に反映されることが多いエルね~

今回ショコラミントが戦った華憐は、身体の肉・・・心臓を武器に変化させて戦う前衛タイプ見たいエル!霞はまだどんな戦い方をするのかわからないけれど、華憐の言葉を信じるのなら、後衛や精神攻撃みたいな特殊な戦い方をするんだろうなとエルエルは考察するエル!

ショコラミントには頑張って倒してほしいと思うエル!

皆も彼女のことを応援してほしいエル~!

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