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少しずつ広がる

ショコラミントは制服姿の少女を背にかばいながら、目の前の一つ目のが^五居るに向かって鋭いまなざしを向けていた。


「ほし・・・じゃなかった。君、早くここから逃げて!戦闘のじゃま!」


ショコラミントの大きな声に、制服の少女は動じることなくその場を後にした。


「この大きさは久しぶり・・・!」


ショコラミントは舌なめずりをすると、楽しそうに口角を上げ、糸を操りながらガーゴイルに立ち向かっていった。




「ネットニュース見た?」


教室で葉月の耳に話し声が研ぎこんでくる。


「これこれ、『魔法少女ショコラミント、レベル厄災予備軍並みの凶悪な闇をつかさどるもの(ナイトメアガーゴイル)を一人で撃破!相棒の夢を応援し、一人で戦うことを決めた彼女のまっすぐな瞳に目撃した住民は・・・』だって」

「確かうちの生徒が巻き込まれたんだっけ」

「相棒ってソルトエースちゃんのことだよね。夢を応援かあ、卒業のニュースはないからいつか帰ってくるって思ってたけどもしかして、もう二人で戦う姿は見られないのかな?」


クラスメイトの一人が放った言葉に葉月は思わず寝たふりをしていた体を机から起こすも、驚いた近くの席に座っていたクラスメイトと目が合うと、気まずそうな様子で再度体を机の上に沈めた。


「民十さん」


クラス委員の星名やよいが葉月の机の横に立ち、葉月の肩を軽くたたく。


「ん、星名いいんちょ、なに・・・」

「あなたいつも眠そうだけれど、もしかしてあまり家で眠れていないのかしら」


やよいは無表情で淡々と、葉月に話しかけている。

葉月はその読めない表情になんと言葉を返したらいいかわからないといった様子でまっすぐその目を見返す。


「たまに疲れている様子も見られるし、つらいことがあったら報告してくれると助かるわ。先生に言いづらいのなら、私が聞いたままを紙にでもメモして代理で報告をするからいつでも言って」

「あー・・・大丈夫、ありがと」


葉月は張り付けたような笑顔でそれだけ返すと、話しかけないでほしいといったメッセージをオーラのように発しながら、残りの昼休みは睡眠をとることに集中して過ごした。





「葉月、この前はお疲れ様エル!早速だけど隣の市から救済任務の要請が来ているエル!!受けてもいいエルか?」


エルエルは葉月の頭にさも当然のようにちょこんと座ると呑気な声色で緑色に光る魔法のスクリーンを葉月の前に表示させた。


ここ数年で魔法研究は大幅に進み、様々な道具や便利システムが生み出された。

エルエルが呼び出しているスクリーンもその成果のひとつで、魔法の力で作り出されたそれは、まほリンクや自治体の指令書とつながっており、好きな場所に表示させることができる。

つまり指示書やマップを表示させながら戦うことができるのだ。

メモ機能もあるため、魔法少女の中には魔法少女とは関係ない日常で使用する人もいるのだ。

スクリーンの色は魔法御少女の魔法タイプや適性によって変わる。ショコラミントは青みがかった緑色のスクリーンだ。

また、このスクリーンは一度でも魔法に触れたものしか見ることができないため、常用しても普通は一般人には決してバレることはない。



「何の救済任務?」

「政治家の一人息子が誘拐されたから助けてほしいらしいエル!」

「えぇ・・・要人?めんどくさ・・・」


実質拒否権ないやつじゃんと言いたげな葉月の視線に動じることなく、エルエルは言葉をつづけた。


「市長の息子さんが人型ガーゴイルにさらわれたらしいエルねぇ」


「・・・人間相手じゃないの?」


エルエルの言葉に葉月は嬉しそうな反応を見せると、屋上の鍵を外からかけ、変身してから飛び降りた。





市街地の大きな屋敷の前にショコラミントは立っていた。


「ここに誘拐されてるの・・・?」


白い壁にはうっすら魔力が感じられる。人間が建てたにしては不自然なほど、周りの景観に合わない作りの建物は、セキュリティーが甘そうに見えてどこにも隙が見られなかった。



「ここを見つけるなんてさすがだ。優秀だね最近の魔法少女ってのは」


ショコラミントにとってどこか見覚えのある誠実そうな青年がにこやかに声をかけてきた。


「アンタは・・・まだ生きてたの・・・?」


その青年は数年前と変わらない姿で、あやしくも優しい笑顔を向けている。


「えーと、ショコラミントだったかな?あの時は逃げてしまってすまなかったね。今回は(わたくし)の美学にのっとって君を招待したのですよ。良ければ中でお茶でもいかがですか?」


ガーゴイルの青年が怪しげに微笑み指を鳴らすと、屋敷の扉が仰々しく重い音を立ててゆっくりと開かれる。中には男女様々な姿の高貴そうな装いの人型ガーゴイルがショコラミントを笑顔で迎える。


「・・・」


その真ん中に置かれた豪奢な椅子には、魔法で作られた細長い布でしっかりと拘束された、恐怖に顔をゆがめた小太りの少年が座っている。


「あれか・・・」


「ん?あぁ、あの子ブタですか。私たちにはたいそう不味そうに見えましたが、君を呼び出すのにはうってつけの家柄と聞いたのでね。魔法少女ショコラミントと引き換えとだけ告げて連れてきたのですよ」


ショコラミントと目が合った少年はかなり顔色が悪くなっており、今にも死にそうな様子で助けを求めるように縋り付くような視線を向けている。


「魔法耐性のない人間がガーゴイルの放つ魔力に長時間曝されればああなるよな・・・」


ショコラミントはあきれた様子で人込みの中に飛び込むと、椅子ごと転送魔法装置に投げ込んだ。




「はは、頭のいい子は好きですよ」


少年は本当におとりだったようで、青年は転移魔法装置を追うわけでもなくまっすぐと立っている。


青年は口元をゆがませ笑顔の真似事をすると、ショコラミントが建物の中に入るのを見届けてから再度指を鳴らした。



その音に反応するように扉が閉まると、中の光を外に漏らさないとばかりにすべての窓のカーテンが閉まっていく。




「集まってくれた方が、こちらもやりやすいよ」



ショコラミントはそれだけ言うと、拍手で迎えた人型ガーゴイルたちの中心に向かってゆっくりと歩を進めた。


「さぁ、始めましょうか。この奇妙なパーティーを!!」


嬉しそうな青年の声を合図に、周りのガーゴイルたちは笑顔で各々手に持った空のグラスを持ち上げた。



「私たちは魔力や生命力を食事とするので、真似事だけで勘弁してくださいね。あ、何年も申し遅れたままで申し訳ありません。私、この人間世界では(かすみ)と名乗っております」


まるで外国の貴族のように嘘くさい笑顔で恭しくお辞儀をした霞に、ショコラミントは眉を顰めながら軽く頭を下げた。



「早く用事を済ませて夕食を食べるから、手短にしてくれる?ここには私が食べられそうなものはないから」


ショコラミントはエルエルの持っている小瓶の数を計算しながら感情のない声を出した。


~エルエルの魔法少女解説~


こんにちはエル!ぼくは魔法少女の相棒をしているエルエルだエル!

今回は最近開発された魔法アイテムについて解説するエル!!


人間の作る魔法アイテムは日々面白い進化を遂げているエル!もともと様々な創作物が盛んな日本だから、ネタは沢山あるみたいエルね!


マジックスクリーン

魔法の力で作られたスクリーンだエル!妖精も魔法少女もそれぞれ作り出すことができて、魔法少女によって色が違うエル!魔法アイテムとは言ったけれど、どちらかというと魔法少女のシステムに入った更新の一つだエル!

魔法に触れたことがない人間には絶対見えないけれど、ガーゴイルの被害にあった一般人には稀に見えることがあるらしいエル!


自動転送魔法装置

名前の通り、モノや人を魔法の力を利用して決められた場所同士を見えない道でつなぐ道具エル!転移先で事前に設置しておけば行き先ですぐに装置を使用することができるエル!

専用のインクで魔法陣の書かれた革を平行な場所に置くだけでいつでも発動可能エル!

魔法少女のきらめく瞳でしかその魔法陣は視認できないようにできているから、飛行機の距離でもどこでも怪しまれず何枚でも運べるエル!!

人間の発想力は素晴らしいエル!

これからも研究が進むのを見ていきたいエルね~!とっても楽しみエル~!

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