かくて世界はこうあった ~デルタから見た間章~
かつてこの世界は、非常に安定していた。多くの種族が栄え、そして、滅んでいったがそれは世界の呼吸のようなサイクルというべきものだった。
そのサイクルを維持していたのは、我々魔導列国と機甲帝国で、そのお互いが時に協力し、時に対立することで、この世界が続くようにしていた。
この世界は、閉鎖的な特徴を持っているため、異世界人などが来ることは珍しく、また、訪れてもごく少数にとどまっていた。
……それに風穴を開けたのが『戦闘姫の来訪』と呼ばれる一大異変だった。
空を自由に駆ける異世界の民たる戦闘姫たちとの邂逅……そして、お互いの意見の相違から始まった戦いは、空を自由に駆ける戦闘姫たちに対して、地面を這っている我々は、非常に不利な戦いを強いられた。最期には君たち戦闘姫を辛くも世界から放逐することに成功したが、ダメージは大きく、その記憶は忘れがたいほどにつらいものだ。
その辛い記録を、我々は、語り継ぎ忘れないようにしている。デルタ、君を警戒しているのは、そう言う理由からだ。しかし、我々は戦闘姫の能力も十分に承知している。故に、当面の間は、君を監視下にはおくが、それ以上の干渉を行わないようにしようと思っている。
と、ここまで聞いたデルタが、よくわかっていない顔をしながらリンゴジュースに手を伸ばすのを見て、ライトは、苦笑いをわずかに浮かべた。どうやら、細部をぼやかすために、専門用語を多く使いすぎたのが悪かったようだ。
デルタは、ライトの言葉を聞きながら、そう言う事情ならば、戦闘姫というものに警戒と認識を割かれることは仕方がないと思った。
ライトが、思わせぶりに、話をたたみだした。デルタは、それをうんうんと相槌を打ちながら、聞いていく。そんな時だった。デルタが我慢していたおなかがなった。
たちまちに赤面するデルタをほほえましく見ながら、ライトは、話を終えた。そのうえで、最後にこう付け加えた。
「デルタ。君の置かれている状況の話というのは以上だ。
あとは、本営についたら、続きの話をすることにしよう。」




