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竜獣大戦 小さな白虎王編  作者: 芹沢ほのか


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7/12

夜明け

何も見えない暗闇で三人の息づかいだけが聞こえる。近くにいる気配はするものの、ヒンヤリとしていて、人の気配も魔物の気配も無いこの洞窟に長時間閉じ込められるかもしれないという状況では、不安も増していく。


「やはりこうなってしまいましたか……」

残念そうな複雑そうな声はきっと、勝峰の声だろう。

「ゴメンな。勝峰は止めてくれたのに、オレが強引だったから……」

ションボリとした玲の声に慌てふためく勝峰。


「アイツ等公主様のこと気がついてんじゃねぇか?」

「嬢ちゃん、だとか公主様とも言ってたしな。あの国の奴ら全員玲のこと知ってんだろう」

チっっと悔しそうに舌打ちする楓。

そんな楓の言葉に確かに、と頷く玲。

「ま!ここに居てもしゃーねぇし、ちゃっちゃっと出口探しに奥まで進んでみようぜ」

ポッと優しい温かな光が現れたかと思うと、それは楓の手の中にある赤い石……火属性の魔石。


【魔石】

魔石とは採掘場で宝石などと一緒になって発掘される珍しい石であり、魔力が結晶化した物であるとも言われている。

その石の色によって使える属性も変わる。

赤色であれば火属性。青色であれば水属性。白色であれば風属性。茶色であれば土属性。黄色であれば雷属性が使え、大きさによっては使える回数や一度に使える威力も変わる。


なお、近年その希少価値が高まっており、一般家庭ではお目にかかれないシロモノである。



「楓……足を洗ったと言っていたのに、手グセの悪さは治ってなかったようですね」

勝峰がジトリと楓を睨む。

足を洗う、手グセの悪さという言葉に引っかかり小首を傾げる玲。

「盗みをしていた過去でもあんのか?」

「ウグッ……。余計な事喋りやがって…。俺はカルディアに入る前は盗賊だったんだよ。そんな昔の話なんていいだろ。さっさと進もうぜ」

気まずそうに目を逸らした楓は、逃げるように洞窟の奥へと歩き出す。



洞窟内は異様なほど静かで、不気味だった。

通路は大人3,4人は横並び出来そうなほどの広さで、高さも2,3人が力を合わせて1人は上れるであろう高さだ。

松明があるわけではないので、暗闇だけが続いている。人が使っていた形跡がなければ、洞窟に潜んでいてもおかしくないネズミや、コウモリが見当たらないのも気になる点であるようだ。



「風のニオイだ。広い場所に出るぞ」

獣人の嗅覚、視力は人間の何倍も優れている為、玲はすぐにその変化に気づく。一方、人族である楓、勝峰は玲に言われてもその変化に気づくことは無い。


「本当に広い空間に出たな」

目の前には、岩や泥で作られたであろう小さな家々が立ち並ぶ住宅街のようで、見渡すと煙突のようなものがある建物も見える。

「魔石は一つしかねぇし、別行動はせず手がかりになりそうな所から探して行くかー」

楓の言葉に頷くと、三人は再び歩き出す。

街を見渡すと所々岩によって潰れていたり、地面に亀裂が入っていたり、物や瓦礫が散乱していてた。

当時は屋台があっただろうことが分かる通りもテントが滅茶苦茶にされており、木箱や食器が散らばっている。


「大地震があったらしいし、また何時地震が来るかも分からねぇから、さっさと出口に行きたいな」

荒れ果てた街を見て悲しそうに言う玲。玲の、様子から少し焦りを感じる楓と勝峰。

「お!!あれはデイブのおっさんたちの家だった建物じゃねぇか!?」

楓が大きな声を上げたかと思うと、街の奥にある赤レンガの大きな屋敷を指差す。


「出口の手がかりになりそうなモノがあるかもしれません。急ぎましょう」

一行はその屋敷を目指し、窓ガラスが割れ、開いていた窓から中へと入る。壁にはデイブらしき人物とその家族との幸せそうな絵画が斜めがけにかかっている。ところどころ破れた絵画はデイブ、プッチ以外の顔の部分が破れたり色褪せてしまっていて、誰なのかは判別できない。


更に他の部屋も物色していくと、本棚がボロボロになぎ倒され本が散乱している部屋へとたどり着いた。

「ちょうど良さそうなモンがあったぜ」

楓がその部屋で見つけたのは色褪せてボロボロの地図だ。

「他に手がかりになりそうなモノもありませんし、いつ崩れるかも分からない危険な場所ですから、一か八かですが行ってみましょう」

地図に記されてあったのは、万が一のときのための脱出口だ。地震で崩壊して塞がってしまっている可能性があるが、ここにとどまり続けるのも危険なので、一行は記された場所へと急ぐ。



「クッソ!!塞がってやがる……」

楓が悔しそうに顔を歪ませ、チッと舌打ちする。

玲は、嫌な臭いと自身の呼吸の変化に違和感を抱くと、臭がする上を見上げた。ポッカリと丸い穴から外が見える。

霧がかった外は夜明けなのか明るくて、ザワザワと嫌な予感もする。

玲の、様子に気づいた楓と勝峰もその穴に気づき、協力して玲だけでも脱出させようと考えていると、その穴に影ができ何も見えなくなる。


また穴を塞がれたのかと焦っていると……

「お前らがリアの言ってた客人か?そんなとこいたらすぐにお陀仏だぜ、手伝ってやっから、外出たら大人しく俺についって来い」

三人には上の状況は分からなかったが、従うしかなさそうなので、助けてもらうことに。



一番最初に上へと上った玲は言葉を失った。来たときは美しい森林があり、動物たちもいた自然豊かの場所が、今は全てが火の海だ……真っ赤に染まるその地獄絵図に絶望すら感じてしまう。


「何だよ……こりゃ………」

続いて登ってきた楓も驚きの表情を見せる。


最後に登ってきた勝峰は苦しそうな、悲しそうな顔で胸を痛めていた。



「ワリィが感傷に浸ってる場合じゃねぇ。さっさと此処から離脱しねぇと、俺達まで火達磨になっちまうぜ。さっさとついて来い」

さっきまでは気づかなかったが、この男は狼の獣人のようで、背中には小さなドワーフの子供がいた。顔は灰にまみれていて、着ている服はシュヴァルツ製の質素な物だが、所々焼け焦げているのを見るに、フォルスターの民間人の避難誘導や救助活動をしていたのだろう。


彼は右手で子供を支え、左手に白の魔石を手にする。

「こちら9番隊隊長、グーガ・ブラディオ。民間人の避難は完了した。すぐに最後の避難誘導をしてそっちに戻る」

『こちら10番隊隊長、シロップ・ベルネリッタ。了解しました。全ての民間人の避難誘導が完了したようなので鎮火を開始します』

風属性の魔法石は魔法石同士が共鳴する関係で、特定の範囲内であれば通信が可能なのである。


風属性の魔石からは静かで大人しそうな可愛らしい女の子の声がした。

まだ状況が掴めていないものの、グーガと通信で言っていた男が走り出す。慌てて楓が玲を抱えてその後に続き、その後ろを勝峰が追う。



抱きかかえながら玲は燃え盛るフォルスターを見つめる。何故こんな酷いことができるのか……大地震で大切な人、思い出の品々を失ったであろう人達の第二の故郷でさえも失われてしまったことに胸が締め付けられるように苦しくなって、楓の肩に顔を疼くめて泣いた。自分は無力だ。結局は何も変わってない。そう自分を攻める玲。



その涙はしばらく止まってはくれなかった。

これから少しずつ修正するところもあると思うので、最新話を更新しつつ良い作品になるよう修正もしていきますので、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
いったい誰がなんの目的でフォルスターを燃やすような行動を起こしたのか謎は深まるばかり 狼の獣人などの隊長はどこの国の人でどこの組織の人なのか気になることばかり 次回の話が気になる
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