知らない家族
ストーリー自体はパッパっと出来上がるのですが、病弱故になかなか執筆が進まない!!
どうも、芹沢ほのかです。
暑い日が続く中、家にいても執筆が進まないと思って外出したら、楽しくショッピングしたはずが、増々体調が悪化しました。皆様も外出の際はお気をつけくださいね。こまめな水分補給が大事です。涼しい場所も、油断禁物ですよ。
今回は少し長めですが、走り書きしたようなものなので誤字脱字が多いかもです。
男性らしさが日常となっていたある日。大后様に呼ばれて笞刑を受けていた玲は、ヨロヨロしたおぼつかない足取りで部屋に戻る途中の薄暗い廊下で、王后双子の娘が産まれたが、産後の肥立ち悪く、治療虚しく日々やつれていっていると、下働きの女官たちが噂話をしているのを聞いてしまった玲。視界がぐにゃぐにゃになって言われた言葉も理解できず、その場にへたり込みそうになった。さらに、吐き気すらも出てきた。
家族と引き離され、母がくれたもの全てを大后様に奪われ、表情、自分らしさ、自我でさえも奪われ、失ってきたが、また失うのだとゆう恐怖に玲は、耐えることができずにその場に倒れ込んでしまった。
それでも、誰も気づくことはない。女官たちはまだ噂話に花を咲かせている。
誰も見向きもしない。助けもしない。それが玲が知る周りの大人達である。そのことに胸が張り裂けるように痛んで、失ったはずの感情が爆発し、涙がぽろぽろと溢れ出てしまう。廊下に崩れ落ち、誰にも見向きもされず、笞刑を受けたばかりの身体はボロボロで、見ていられないほどだ。
ふと、玲の視界が暗くなりヒョイと持ち上げられたかと思えば、自分の体が宙に浮いている感覚がある。誰だかは分からないが、この屋敷のものではないことくらいは分かった。
この屋敷のものは比丘尼の言葉が絶対で、玲に近づいたり許可なく話しかければ罰せられるからだ。我が身可愛い者ならば、誰も関わるわけがない。
「お前はだれだ?」
玲が問いかけてもその“だれか”は返事をすることはなく、ゆっくりと柔らかい場所に下ろされた。感覚とニオイで分かる。それは自身の自室にあるベットだ。
「最悪の時代を築いた獣王の娘であるとは思えないくらい弱っちくて臆病な公主様だな」
低くて心地の良い声音に、ぶっきらぼうな口調。ニオイも気配もなく現れた彼は、記憶のどこを探しても一致するような人物がいない。
「俺は今夜、アンタを殺す気だったんだがな……気が変わっちまった。アンタみたいな弱っちくて臆病な女消したところでなんのメリットもなさそうだしな」
「アンタが獣王になるんだったら、会いに来てやるよ」
そう言い残して気配が消える。目元を覆っていた布を取ると、そこは自室で見渡しても誰もいなかった。
それからもいつもと変わらぬお人形のような日々は続いた。比丘尼に言われたことをこなし、部屋に閉じこもり劉家の領地経営に、屋敷の維持費、今月の予算で屋敷の維持費にどれだけ当てられるか計算したり、計算や経験をもとに冬に必要な物も記録し、在庫も確認していく。
まだまだ幼い玲は、屋敷の管理をやらされていた。劉の当主は数年前から病に倒れ、嫡男は戦前に立たされており不在、今は王家に嫁いだはずの大后様が全ての権限を持っているのだ。そして、全ての仕事を玲に押し付けて、自らの功績としている。
静かで薄暗い玲の部屋にはサラサラと筆を走らせる音と、ペラリと紙がめくれる音だけが響きわたっていた。
コンコン……
静かな部屋に響くノック音。玲は気にすることなく作業を続ける。
コンコンコン…
無視し続けていると
コンコンコン
少し大きく、ノック音が響く。
……玲は作業のしていた手を止めて扉を見つめる。
コンコンコンコンコンコン
どうやら諦める気は無いようで、ハァーっとため息が出た。
「どうぞ」
自分が思っていたよりその言葉の語尾は強かった。
ガチャ…
しかし、気にする素振りもなく扉が開き、黒いローブを身に纏った男が入ってくる。性別が分かったのは、嗅覚、視覚の優れた獣人だからと言えよう。
「お初にお目にかかります、玲公主様」
フードの隙間から見えた男の容姿は整っていて、金髪碧眼の竜人であった。
「この竜獣大戦真っ只中に、竜人が獣人に何の用だよ」
竜人と察して、玲の眼孔が鋭く光る。
「そう警戒なさらないで下さい。私は貴方の従兄弟なのですから」
そうニヤリと不敵な笑みを浮かべた男はゆっくりと玲に近づいてくる。
不快そうに顔を歪める玲のことなど気にする素振りもなく、目の前に立った男がフードを外す。
ふわりと香る優しい匂い。母と同じ香のニオイに涙腺が緩んでしまう。
そんな涙をうるうると溜め込む玲に顔を近づけてくる男……
スベスベの肌は男なのに白くて綺麗で、なのに隙がない。少し長めの整えられた金髪はサイドパートで、フードの隙間からチラリと覗く首も細い。
「……お前本当に男か?白くね?」
じーっと真顔でそんなことを言う玲にクスリとバカにしたように笑う男。
「あの方が愛した小さな白虎……」
「貴方を守るのが私の使命ですから、どうぞ好きにお使い下さい」
男はそう言って玲に傅く。
「待てよ、オレはお前のこと何も知らねぇんだ。お前だけがオレのこと知ってるなんてフェアじゃねぇ」
そうムスッとした顔で男を睨み言う玲。
「申し遅れました。私はフレグレンスから参りました、ロン・フェアトラーク・ウントリヒと申します」
男は右手を左胸に添えて、左手を腰に添えて、紳士的で綺麗なお辞儀をする。洗練された所作に玲は、ロンがフレグレンスの貴族か皇族ではないかと予想した。
「今の公主様はかつての伯母上のようになろうとしております。命すら狙われ、家族と引き離される悲劇を繰り返すことはお父上が許さないでしょうね」
不敵な笑みを浮かべるロンに玲は、自分には分からないことばかり言われて、不快そうな顔をする。
「信じていただけないのであれば、こちらをどうぞ」
ロンはそう言って、何処からか取り出した資料を玲に見せる。
【魔法学血縁鑑定書】
カルディアの魔導制定隊が魔法技術で鑑定した正式的な書類であり、それを証明するカルディアの正印も入っている。
また、産まれた全ての子供は、王族、貴族、平民、種族問わず近くのカルディア支部に出生届を出すことが義務付けられている。
「カルディアの正式な書類で血縁関係は疑いようが無いってことか……」
「だっ………た………だったら!!どうして………もっと早く会いに来てくれなかったんだ……」
玲の大きな碧眼からポロポロと溢れ出る真珠のように美しい涙が、ポタリポタリと頬伝い、書類を濡らしていく。そんな玲を見て複雑そうに顔を歪めるロン。
「話すと長くなりますから、貴方の心に余裕ができたと判断した時にお話いたしますよ」
「ただ、一つ言えるのは、貴方を見つけたのはたまたまであったとゆうことです。しかし、従兄弟として公主様のお力添えに致します」
今まで不敵な笑みばかりだったロンが、顔を俯かせて苦しそうな声音で静かに告げた。




