裕福だけれど幸せとは限らない
なろう小説では始めて小説投稿をします。
始めまして!芹沢ほのかです。
ずっとずっと書きたかった小説をここで投稿することを決めまして、沢山の方に読んでもらえたらと思います。
誤字脱字が多いと思いますが、応援宜しくお願いします。
白銀のサラサラとした髪、その頭にはピョコっと生えている白色のケモ耳。
彼と言うには華奢な体つきだが、彼女と言うには女性らしさがない。
白色の漢服に虎が銀の糸で刺繍されている。可愛らしい容姿、けれどキリッとした目つき、ぷくぷくのほっぺ、平均より小さな身長、ぷっくりと可愛らしい桃色の唇。
白虎の獣人、虎・玲は男らしい喋り方、がさつな言動をするものの、女性である。
訳あって女性らしさがない玲なのだが、今彼女は困惑している。
それは彼女を付け狙っていたはずの目の前の男のせいである。
真っ黒な夜行衣を身に纏った彼は、見るからに暗殺者だ。だとゆうのに、玲に迫る彼は顔を隠す布を自ら剥ぎ取り、あろうことか玲に”愛の告白”をしているのである。
どうしてこうなったのか、それは彼が王になるずっと前彼女が産まれた時にまで遡る。
最悪な時代と呼ばれる竜獣大戦時代。バイフウの国王は白虎の獣人、虎・利。
愛妻家として知られる彼は、関・鈴麗という金髪碧眼の色白美女の妻と、その妻に似た娘だけを可愛がっていることで有名であった。
しかし、その愛情を民に向けることはなく、隣国の竜人の国シュヴァルツライヒに宣戦布告をして戦争をし、民を虐げ、税を上げて王族貴族は悠々自適に暮す、格差社会となっていた。
「父上,,,,」
利に声を掛ける二人の少年。
白虎の耳としっぽに白銀のクセっ毛、キリッとした白虎らしい目つきは碧眼と緑眼、鍛えられた細身だが無駄のない筋肉、教訓を耐え抜いた肌には傷跡がいくつも残されている。
だが、少年の声に利が答えることはなく、二人の少年、砕と苑は寂しそうに去っていく。
その様子を見ていた幼い娘、玲は母親に問いかける。
「母上、今来た男の子達はどなたですか?」
父親が妻と娘だけを溺愛し、息子には無視したり暴力を振るい、会わせることも拒んでいたため、玲は兄がいることすら物心つくまで知らなかったのだ。
「虎家の長男、次男で玲と衣の兄上よ」
玲には二卵性双生児の妹がいる。まだ未発達な彼女は喋ることができない。対象的に玲は発育がよく、物覚えも良かった。
虎家の本家は双子しか生まれない。その理由は解明されていないが、玲のように双子の一方が発達の早い子で、もう一方が発達の遅い未熟児の場合が多く、早い子を小さい頃から英才教育を受けさせることが伝統な虎家。
その分、母胎の負担が大きく、玲と衣の出産後には床に伏すことが増えている鈴麗。気丈に振る舞っていたものの、年々やつれていくのが分かる。
砕と苑はどちらも発達の早かったギフテッドと呼ばれる存在で、実子に劣等感を抱いたことも、利が息子を遠ざける理由の一つなのだろう。
玲は家族しかいない小さな世界で生まれ、育ってしまった。小さな世界に押し込まれ、外との接触は許されず、花を愛でるが如く、室内で育った箱入り娘だった。
あの日までは,,,,,。
小さな世界でも害がなければ幸せだっただろう。守ってくれる屋根があれば、いつでも住めただろう。けれど、幸せはずっとは続かなかった。
病状悪化した鈴麗は辺境地の小さな田舎町で療養することが決まり、鈴麗と衣が田舎へと連れて行かれてしまった。
寂しさで泣いていた玲に忍び寄ったのが、祖母であり大后の劉・比丘尼だ。
「お前の教育の全ては私に一存されておる。さぁ、私と行くぞ」
小さな玲の手を握りつぶすように強引に掴み、嫌がる玲を引きずり連れ出した。権力を使って無理やり親子を引き剥がしたのだ。
比丘尼に連れ出され、寂しさと不安で大泣きする玲だったが、比丘尼は暴力を振るい、”言うことを聞かない悪い子はお仕置きする”と言って、細い棒で背中や足首を叩く【笞刑】を行なった。
利とは似ていない比丘尼は、贅沢を好み、上等な布に豪華な白虎の金の刺繍がされた漢服に、金色の派手な髪飾りをして、ケバケバしい濃い化粧に、獣人にはキツい甘ったるいバニラのようなお菓子っぽいニオイの香水をし、キツく厳かな印象の大后であった。獣人とは結婚したものの、比丘尼は獣人と人魚のハーフで深緑のふわふわ天然パーマだ。
その容姿と血筋により、利が比丘尼の子供なのかは疑う者もいたのだが……その話はまたの機会に……
比丘尼は玲を自身の屋敷に連れてきてから、言うことを聞かなければ手を上げることが多く、厳しい英才教育をしていた。
劉家のお屋敷は王宮と似た作りをしている。権力を自慢したいからなのだが、国家反逆罪と言われてもおかしくない。
中心軸を重視した左右対称の配置、四合院と呼ばれる中庭を囲む構造、木造枠組みの建築が基本で高い土台(基壇)の上に立ち、大きくて立派な瓦屋根は黒色で、グレーのレンガ壁。
部屋の数が非常に多く、奥へ行くほど身分の高い人が住んでいる。つまり今は療養中の当主様のお部屋となっている。
玲はその奥に近い薄暗い部屋へと引きずられるように連れて行かれた。家具が少なく、質素なベットと机椅子。家具とは不似合いな広々とした部屋には赤い絨毯。部屋唯一の小さな窓からは少しの光だけが入ってくる。
男性らしい格好、男性らしい話し方、男性らしい歩き方に仕草、思考までもそうなるように、洗脳に近いほどの虐待をしていた。
可愛らしい髪は乱雑に切られ、身ぐるみを剥がされボロボロの男性の漢服を着せられた玲は、今まで幸せな鳥籠から出たことがなかったがゆえの恐怖に耐えきれず、表情を失い、声も失い、母から貰った何もかもを取り上げられてしまった。




