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竜獣大戦 小さな白虎王編  作者: 芹沢飛鳥


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15/18

娯楽で民を楽しませたい

お久しぶりでございます。

一週間のお休みをしておりました、芹沢です。お休み中も中華ファンタジーについて勉強し、色んな作品を読みあさり、常に作品のことを考え、執筆作業をしておりました。


ご期待に添えられるような小説を書けるよう、これからも精進致しますので、応援のほど、宜しくお願い申し上げます。

王宮内にある執務室は古びた書物が本棚にも床にも散乱しており、政治に関する書類やバイフウの復興についての書類や地図が、散らばっている。

汚部屋となっている部屋の中心には、新王となった玲と、宰相へと就任したロンが資料片手に激務に追われ話し込んでいた。


「今のままだと、復興なんて進みそうもありませんね。復興のために建物の補強や建設をしている親方によると、やる気が見られない、そもそも元気もはきもないとのことですから………玲?…………聞いていますか、玲!!」

返事もせずにボケーッとする玲に、ロンはズイッと顔を近づけて声を掛ける。

「………ハッ!!……バ………バカ!!ちけぇよ!!」

ハッと我に返った玲は、ロンを押しのけて窓際に移動する。城下町が一望できる高い位置にある王宮は、まだまだ発展途中であり、復興も進んでいない。窓を開けると気持ちの良い風が玲の頬を撫でる。

「今はバイフウの民を元気づける娯楽が必要みたいだな」

玲が顎に手を当てながら考える仕草をして言うと、ほぉーっとロンは関心の声を上げる。

「と、言いますと?何をなされるおつもりで?」

「園遊会!!まぁ宮廷宴会みたいな気軽で楽しい感じのイベントしようぜー!!」

ロンの問いに、玲は深く考えることも無く、ケラケラと笑いながらそんなことを言い出した。



(なんだか、いつもと違って笑い方が上品な上に、歩幅にいつもの大胆な大股でガニ股ではなく、小さな歩幅にゆったりとした動きにはどこか上品さがある………)

ロンは違和感を抱いたものの、口に出すことも、顔に出すこともしなかった。

「また、予想のはるか上をいかれますね」

「オレはな、この国を食に困ることのない“食の国”にしたいんだ。食にも職にも、住む場所さえもなく、上に苦しむ民を救いたいんだ。だからまずは色街と言われる首都から変えるぞ」

キリッとした表情は真剣そのものだが、城下町を見下ろす姿は母親のような慈愛に満ちた瞳をしていた。

「まずは宴会で舞を見ながら、美味しいご飯を食べて民と交流できるような場を設けたいな。龍獣大戦中でも、舞姫の舞によって人々はコブされ、一時的に活気を取り戻した時期があるらしい」

記録によると、舞台に立った女性は、頭からベールを被り、口元もベール状の布で隠していて、その正体は分からないままだが、白と金と紺色の漢服を着たその女性は、ひらひらと裾をなびかせ、天から舞い降りし神の使いかのような神々しさであった。と記されている。






一方、城下町で視察中の衣は、玲の命令にて同行している紅花と共に花街のど真ん中を歩いていた。

玲とは違い、白と銀の漢服姿の衣は銀の髪飾りで着飾り、唇には薄桃色の紅がツヤツヤと輝いている。だが、衣にしては大胆でガニ股な歩き方である。

「衣公主………。玲陛下の命にて護衛をしているが、まだ王家を信用してない民間人もいるとゆうのに、一体何処に行かれるおつもりか………」

「“紅鳳院(ホンホウイン)”ですよ。この色街でも格式高く、最も有名で人気のある妓女である姉妹が働いているお店で、実は“紅鳳院”を立てた当時の店主が私と玲の乳母なんですよ」

衣は右手を頬に当てて微笑む。

二人が立ち止まった先のお店には、目立つ赤色の建物。木材でできたツヤツヤの看板には、紅鳳院と店の名前が彫られており、店前には男性たちがこぞって集まっている。二階の窓からは妓女達が顔を出して、男達に手を降ったり投げキッスしたり、ウィンクをしたりと誘惑しているのが見える。

「ここに立ち止まっていても邪魔ですから、さっさと入りましょう」

衣はそう言うと、慣れたように裏に周り、裏口から入る。厨房やトイレと繋がっている廊下にはまだ年若い少女達が、忙しそうに掃除をしたり、料理や配膳をしたりとバタバタとしている。


衣は彼女達のことを気にすることなく廊下を進んで行く。彼女達も慣れているのか、忙しくてそれどころではないのか、衣と紅花に声を掛けてくることはない。

「魅音(ミオン)姉ー」

たどり着いた先はバックヤードのような休憩所なのか、テーブルには茶菓子とお茶、ふかふかの漆塗りの立派な椅子は、四角くて赤い布、チェアパネルと呼ばれる防寒や座り心地を良くするものが置いてある。

壁は白、床は赤い絨毯と外観も内装も豪華な造りである。

「やだ、小虎(シャオフー)じゃなーい!!」

椅子に座っていた女性が衣に向かって抱きついてきた。外で見た妓女よりも美しく、妖艶だか可愛らしさもある彼女は、豊満な胸を衣に押し付けて、嬉しそうに微笑んでいる。長いストレートの黒髪には豪華な花の簪。はだけた襦裙は白と赤色。


【襦裙とは】

丈が短く腰までの上着である“襦”と、女性が着用するロングスカートの“裙”を合わせた妓女の服装のことである。



「姉様、私も小虎と久しぶりに会うのだから、お話させて下さいませー」

可愛らしい鈴の音のような小さな声音、抱きついた女性と瓜ふたつの女性が現れた。あとから来た方は肩までの短い黒髪に、白と青色の襦裙。


この二人の妓女こそが、“紅鳳院”の代表的妓女でもある姉妹の、瑞雪(ルイシュエ)と瑞娜(ルイナ)だ。

姉妹の仲睦まじい様子に紅花はうつむき、悲しそうな顔をした。その様子に気づいた衣はニンマリと笑った。

「さぁ、紅花も行きましょう」

衣は紅花の手首を優しく掴むと、姉妹と共に浴場へと行き、四人で湯浴みをし、きらびやかで華やかな襦裙に着替える。

衣は白と黄色の襦裙。紅花は黒と紫の襦裙。

四人は舞や琵琶(びわ)、琴(きん)・箏(そう)、三弦(さんげん)、月琴(げっきん)などの楽器演奏を稽古する部屋へと移動する。

「ハァー、なぜ私までこの格好をしなければならないんだ……」

紅花がため息をついて、ブツクサと文句を言うが、状況は変わらない。



(それにしても、今日の衣の様子は可笑しいな………まるで玲陛下のような………まさか、入れ替わっているのか?確かに瓜ふたつの二人だが、性格は真逆。演技でもされたら見分けるのは難しいだろうな………)

そう思った紅花は試すことにした。


「衣様。先王が亡くなる前に一度お会いしたあの日のことを覚えておられますか?」

「ん?………あーうん。覚えているに決まっているでしょう?玲姉様のことを教えてくださった日でもありますから」

紅花の問にお惑いながらも答え、優しい笑みを向ける衣だったが、この回答により紅花は確信してしまった。二人が入れ替わっているのだと………




「それがどうかしたの?」

「いえ、あの時のお約束は守ってくださいね」

「ええ、もちろん」

衣が困惑した様子で訪ねてきたが、また罠を仕掛けると彼女は簡単に引っかかる。そもそも、本物の衣は紅花にはこんな態度を取らないし、そんな答え方をしないからだ。





{利が亡くなったあの日、玲の命令で衣の現在の状況を調べていた紅花は、衣と接触していた。

「闇ギルドに所属しているような野蛮で、身分不相応な下賎な女如きが、私の姉様に近づかないで下さいます?」

紅花を私室へと招き入れた本人は、歓迎するでもなく、開口一番に罵倒してきた。紅花にとっては、慣れたことではあった。

冷たく見下ろす彼女は、太陽のような笑顔の玲とは違い冷たい月のような印象を受けた。歓迎することもない衣は、紅花を招き入れたものの、椅子に座らせるでもなく地べたに傅かせていた。

「僭越ながら申し上げます。私は、玲公主様が次の獣王となられるおつもりなら、闇ギルドを脱退しこのバイフウで骨を埋める覚悟でございます」

紅花は傲慢な態度の衣に対し、思う所はあるものの、一切顔に出すことも無く、冷静に言葉を紡ぐ。

「お黙りなさい。お前に発言を許可した覚えはありませんわ。野蛮な女が身の程をわきまえろと言っているのです」

なおも紅花に冷たく言い放つ衣。

部屋は質素で、無駄な家具や宝飾品などが一切ない。そして、彼女の言葉は紅花に向けた罵倒ばかりだが、それは姉を想う気持ちが強いからこそのものであり、家族としては当然のことなのだろう。

「失礼致しました。しかし、僭越ながら一言申し上げたく、発言を許可して頂けませんでしょうか?」

「いいわ、一言だけよ。許可したこと以外のことをしたら折檻してやりますから」

衣の傲慢な態度はまだ続くが、紅花は気にする素振りなく丁寧な口調で問うと、衣は紅花を見下し、バカにしたように鼻で笑い、冷たい声音で発言を許可した。


「どうか、これからは玲公主様のお傍でお力添えして頂きたく………」



バシーン!!


すると、静かな部屋に大きな音が響く。

怒りの表情の衣に、紅花は頬を叩かれたのだ。鍛えている紅花にとってはこの程度の痛みなど、蚊に刺された程度ではあったが、それでも白かった肌が赤く染まる。


「本当に気に食わない。お前も、ロンと名乗るあの男も………言われるまでもありませんわ。私と玲は一心同体、この絆は生まれながらに永遠ですから」}


あんなにイキイキとしていた傲慢な態度が無くなったことこそ、玲であるとゆう証拠なのである。

知らなかったのか、知っていたが玲自身がそんな態度ができずにしないのかは、分からない。

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― 新着の感想 ―
衣は表と裏がはっきりとしてて裏の人格が怖すぎる 双子で変装をしていても行動でバレてしまうのは性格が真反対だからなのかな笑
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