第八話 再会
こうして夕方の修業が終わった私は城に戻り、食堂で夕食を食べた。私の目の前に座っているお父様とお母様は、笑顔だった。
「今日は勉強を、がんばったようだな。ダーカ先生も、驚いていたぞ」
「明日もがんばってね、ユーミ」
なので私は、頭を下げた。
「はい。分かりました、お父様、お母様」
そして夕食後、私はお風呂に入った。今日はものすごく疲れていたので、ベットに入るとすぐに眠りに落ちた。
次の日の朝。私はやはり部屋のドアがノックされる音で、目が覚めた。
「ユーミ王女。朝食のお時間です」
「はい、分かりました」
そうして私は今日も、昨日と同じことをした。つまり朝食を食べた後、朝の修業をした。それから午前の授業を受けて、昼食を食べた。更に午後の授業を受けて、夕方の修業をした。
私は気づけばこのような生活を、一週間続けていた。すると私の体に、変化が起きた。マラソンは三キロ走れるようになり、腕立て伏せとスクワットはそれぞれ五回づつできるようになった。そして授業で分からないことがあるとダーカ先生に質問して、王女はやる気がありますねと先生を喜ばせた。
そうして一か月後にはマラソンは五キロ走れるようになり、腕立て伏せとスクワットはそれぞれ五〇回できるようになった。なので私は修業に、確かな手ごたえを感じていた。
そして、そんなある日。夕方の修業を終えて広場で休んでいると、何とそこに剣聖ナバウ様が現れた! ナバウ様は、驚いた表情で聞いてきた。
「な、何をしているんですか、ユーミ王女?!」
私は、誇らしげな表情で答えた。
「何って、修業ですわ。剣聖になるための。聞いてください、ナバウ様! 私はマラソンは五キロ、走れるようになりました! 腕立て伏せとスクワットはそれぞれ、五〇回できるようになりました!」
「な、何と!」
するとナバウ様は、少し考える表情になった後に聞いてきた。
「ユーミ王女。あなたはなぜ、そんなに剣聖になりたいのですか?」
なので私は、正直に答えた。
「私は今まで、わがままでした。そしてそのままでは、私はわがままな女王になったでしょう。でも一カ月前、私はあなたと会いました。そして私は、衝撃を受けました。最強クラスと言われるブラック・ドラゴンを、あっさりと倒したあなたの強さに。そして私は、考えました。全ての国民を護れる、強い女王になろうと。剣聖と呼ばれるほどの、強さになろうと。これが私が、剣聖になりたい理由ですわ」
それを聞いたナバウ様は、唸った。
「うーむ……」
私は正直に答えた後、急に恥ずかしくなった。今まで人前で、このことを話したことなど無かったからだ。くっ。次の女王になるこの私に、こんな恥ずかしいことを言わせるなんて……。そして逆切れした私は剣聖ナバウ様に向かって、両足でドロップキックをぶちかました。
「この私に、こっぱずかしいことを言わせるんじゃありませんわーー!!」
「ぐはっ!」
ドロップキックを食らってナバウ様は後ろに仰向けに倒れたが、すぐに立ち上がった。うーむ、さすが剣聖。そしてナバウ様も、キレた。
「こ、この剣聖である私にドロップキックをぶちかますとはーー?!」
でも私は、冷静に答えた。
「いいえ。あなたがこの私に、恥ずかしいことを言わせたからですわ」
そう言われてナバウ様は、少し黙った。そして、告げた。
「はあ……。とにかく、あなたが考えていることは分かりました。それでは、ユーミ王女。これからも、修業を続けてください。私はまた、旅に出ます。その時にマラソンを一〇キロ走れるようになり腕立て伏せとスクワットはそれぞれ一〇〇回できるようになっていたら、次の修業に移ります」
私はもちろん、喜んだ。
「ええ! やってやりますわ、私は!」
そうして喜びに浸っていた私だが、疑問が浮かんだのでナバウ様に聞いてみた。
「あの。ナバウ様はどうして、旅をしてらっしゃるんですか?」
するとナバウ様は、真剣な表情になって答えた。
「もちろん、苦しんでいる国民を救うためです。でも今は、も一つの理由があります」
「もう一つの理由?」
真剣な表情のまま、ナバウ様は答えた。
「現在この国は、異常事態と言えると思います。今まで、ほとんど人前に出てこなかった強いモンスターが現れて街を襲っているからです。先日この街を襲った、ブラック・ドラゴンもそうです。王女もご存じでしょうが、弱いモンスターならしょっちゅう人前に出てきます。ですが弱いので、簡単に我ら人間に倒されます。強いモンスターは頭が良くて人間を警戒して、ほとんど人前に出ません。なのに最強クラスと言われるブラック・ドラゴンが、こんなに人が多い城下町に現れて襲ってきました。なのでその理由を調べる目的で旅をしていて、その結果を国王陛下に報告しているのです」




