第七話 手ごたえ
そして少し休んだ私は、再び走り出した。でも二キロくらい走ったところで、もう走れなくなった。でも私は、手ごたえを感じていた。昨日は一キロも走れなかったが、今日は二キロも走ったからだ。うん。今日は、これで良しとしよう。明日また、がんばろう。そうして私は、広場に戻った。
広場で体育座りをして休んでいると、向こうに親子の姿が見えた。走り回っている子供を、母親は幸せそうに眺めていた。それを見ていると、私はやる気になった。彼らを護れる、女王になろうと。なので私は、腕立て伏せを始めた。
地面に両手をついて、肘を曲げる。そして、肘を伸ばして地面から離れる。私はそれを、三度繰り返した。お、腕立て伏せが三回できましたわ! 私はもう一度、肘を曲げた。だが肘を伸ばすことは、どうしてもできなかった。でもやはり私は、手ごたえを感じていた。昨日は一回しかできなかった腕立て伏せが、今日は三回できたからだ。
そして少し休んでから、今度はスクワットに挑戦してみた。両手を頭の後ろで組み、膝を曲げた。そして膝を、伸ばした。お。スクワットが一回できましたわ! そして私は再び、膝を曲げた。だが今度は膝を伸ばすことができなくて、尻もちをついた。でもやはり私は、手ごたえを感じていた。昨日は一回もできなかったスクワットが、今日は一回できたからだ!
そして私は、部屋に戻ることにした。今日の修業は、これで終わり。明日、またやろう! 部屋の前に立っているメイドに、洗濯をしておいてちょうだいとピンクのドレスを脱いで渡すと、私は部屋に入り黄色のドレスに着替えた。
するとドアがノックされて、メイドの声が聞こえた。
「あの、ユーミ王女。ダーカ先生がお見えですが……」
ダーカ先生は、私に立派な女王になるための勉強を教えてくれる。この国の歴史や、他の国の状況など。でも私はこれまで、勉強は嫌いだったので先生を追い返していた。でも今日は、勉強をしたい気分だ。やはり立派な女王になるためには、勉強も必要だと思ったからだ。だから私は、答えた。
「はい。ダーカ先生に、お部屋に入っていただいて」
すると部屋のドアが開いて、驚いた表情のダーカ先生が入ってきた。髪は白髪で目が細く痩せていて、黒い衣装を着て分厚い本を脇に抱えていた。そして私に、聞いてきた。
「おお、ユーミ王女! 今日は勉強をされるのですか?!」
私は、頭を下げて答えた。
「はい、そうです。よろしくお願いします、ダーカ先生」
そして私が木製の机の前にある、やはり木製のイスに座るとその隣にダーカ先生は立った。そうして持っていた本を開き、まずはこの国の歴史を話し出した。私はその内容をペンで、茶色の紙に書き写した。こうして授業は、始まった。
私が先生が話すことを夢中で紙に書き写していると、ドアをノックする音が聞こえた。「はい」と答えると、メイドの声がした。
「ユーミ王女。昼食のお時間です」
「はい。分かりました」
するとダーカ先生は、聞いてきた。
「あの、ユーミ王女。これで午前の授業は、終わりです。ですが午後の授業もありますが、いかがいたしましょうか?」
私は、頭を下げて答えた。
「もちろん、午後の授業も受けます。ダーカ先生、よろしくお願いします」
私が勉強をやる気になったので、ダーカ先生は喜んでいるようだ。
「それでは午後の授業も、がんばりましょう」
そして私は昼食を取って、少し休んでから午後の授業を受けた。内容は、他の国の状況だ。私が夢中になってダーカ先生の説明を紙に書き写していると、太陽が傾き夕方になった。するとドアがノックされて、メイドの声がした。
「ユーミ王女。今日の授業は、終わりです」
「ありがとう、分かったわ」
私は久しぶりに授業を受けて疲れたが、満足感もあった。私が真の女王に、近づけた気がしたからだ。するとダーカ先生は、緊張した表情で聞いてきた。
「今日はお疲れさまでした、ユーミ王女。それで明日は、どうなさいますか?」
私は、頭を下げて答えた。
「もちろん、授業を受けますわ。明日も、よろしくお願いします」
するとダーカ先生は、今まで見たことが無い笑顔を見せた。
「はい! 明日もがんばりましょう、ユーミ王女!」
そうしてダーカ先生は、この部屋から出て行った。フウとため息をついて、私は考えた。やっぱり勉強は、疲れる。でも真の女王になるために、がんばろう! そしてベットに、横になった。しばらくそうしていると疲れが取れたので、私はピンクのドレスに着替えた。もちろん、修業をするためだ。それくらい、疲れは取れていた。
私はやはり、城下町の西にある広場に向かった。もう夕方なので、そこには誰もいなかった。でも私は、修業を始めた。まずは、マラソンだ。私は城下町の出口から出ると、左回りでマラソンを始めた。でもやはり、二キロくらいしか走れなかった。それでも私は、考えた。今は、これでもいい。こうして毎日がんばれば、きっといつか一〇キロ走れるようになるだろうと。
そして広場に戻った私は、腕立て伏せとスクワットに挑戦した。でもやはりどちらも、数回しかできなかった。でもやはり、今はそれでもいいと私は考えた。




