第五十二話 交渉
私は仰向けに倒れたナバウ様に、言い放った。
「これから私がカッコよくマモートを戦闘不能にしようと思ったのに、美味しいところを持っていくんじゃありませんわ!」
するとナバウ様はすぐに立ち上がり、言い返してきた。
「いーえ! 無理でしたね! 今のユーミ王女では、それは無理でしたね!」
そう言われて私は、頭に血が上った。
「ほー。そうですか、そうですか! それでは、決着をつけましょう! 私とナバウ様、どっちが強いのかを!」
でもナバウ様は、冷静だった。
「はあ。まあ、それも一度やってみたいと思いますが今は止めましょう。ほら、見てください。魔王マモートを。私たちを見て、ポカンとしてるじゃないですか」
なので私は、マモートの顔を見てみた。確かに、こいつらは何をやっているんだという表情でポカンとしている。うーむ。これはいけませんわ。私は次に女王になる王女なので、威厳を見せねば。なので今は、ナバウ様と決着をつけることはことは止めた。するとナバウ様は、聞いてきた。
「さて、ユーミ王女。どうしますか、このマモートを?」
そ、そうですわ。ここはまず、このマモートをどうにかしないと。じゃないとまた、人間を滅ぼすと言いかねませんわ。人間は魔族を、迫害しているという理由で。うーん、どうしたものかしら……。と考えていると、ひらめいた。よし、これだ! そして私はマモートに、話しかけた。
「さて、魔王マモートよ。これで私たちの強さが、分かったはずですわ。なので人間を滅ぼそうとするのは、お止めなさい。この私がこれから女王になったら、人間があなたたち魔族を迫害することを止めさせますから」
するとマモートは、聞いてきた。
「ほ、本当か?! だが一体、どうやって?!」
「簡単な話ですわ。私が女王になったら、魔族を迫害してはいけないという法律を作りますわ」
だがマモートは、疑っていた。
「う、うーむ……。しかしそれには何か、条件があるんじゃないのか?」
「もちろん、そうですわ。もちろん、タダではありませんわ」
「な、何だ?! その条件とは一体、何だ?!」
なので私は、告げた。
「税金です。税金を納めなさい」
するとマモートは、再びポカンとした表情になった。
「は? ぜ、税金?……」
「そうですわ、税金ですわ。具体的には、一カ月に一万ゴールドの税金を納めなさい。もちろん、一ゴールドもまけませんわ。でも税金を納めたら、あなたたち魔族もこのヨヅン国の国民です。私は女王になったら、全ての国民を護りますわ。もちろん迫害なんて、させませんわ。そして魔族も、人間を襲わないと約束してもらいます。さあ、どうしますか魔王マモート?!」
するとマモートは少しの間考える表情になったが、決断したようだ。
「わ、分かった。税金を納めよう。人間も襲わない。だから我々魔族を、迫害しないでくれ……」
なので私は、ニッコリと微笑んでマモートと握手をした。
「はい! これで交渉成立ですわ!」
すると私とマモートを見ていたナバウ様は、拍手した。
「お見事です、ユーミ王女。この交渉は、お見事です。なので私は、決めました。ユーミ王女、私はあなたを剣聖として認めます。これから私が立ち寄った町で、そのことを人々に伝えましょう」
「ナ、ナバウ様……」
そして私は、そんなナバウ様に怒りのドロップキックをぶちかました。
「宣伝が地味ですわ! 宣伝するならもっと派手にしてください!」
「ぐはっ」
するとナバウ様も、ブチ切れた。
「な、この剣聖である私が自ら宣伝するんですよ! これ以上の宣伝はありません!」
と私とナバウ様は、再びモメ出した。だが次の瞬間、私とナバウ様はマモートの視線に気づいた。やはりマモートは、ポカンとした表情をしていた。うーむ。これはいけませんわ。せっかく私がカッコよく、魔族との交渉をまとめたというのに。なので私は、思い切りカッコよくマモートに言い放った。
「それじゃあ毎月月末に、城下町の税務署に税金を納めてください! それじゃあ!」
と私はスタスタと歩き出し、この部屋から出た。するとナバウ様も、私の後をついてきた。そして、告げた。
「ユーミ王女は、この城の出口を知ってますか? よかったら、私が案内しますよ」
う。確かに私は、この城の出口を知らない。なぜなら私はホクサのワープで、移動したからだ。なのでちょっと悔しいが、私はナバウ様に案内を頼んだ。
「う、ナバウ様。この城の出口までの案内を、お願いしますわ……」
するとナバウ様は、勝ち誇ったようにニッコリと微笑んだ。
「はい、よろこんで。でも、その前に……」
とナバウ様は、私の体に右手をかざして魔法を唱えた。
「ヒール!」
あ。そう言えば私はマモートと戦って、ひどいケガをしていた。戦いが終わった今、ホッとしたらそのことを思い出した。うーん。やっぱりナバウ様は、剣聖だなあ。気が利くなあ……。そして私はとナバウ様は、この城の出口に向かって歩き出した。私は今、考えていることを話してみた。
「これは私の思い上がりかも知れませんが、私は結構良い女王になるかも知れません」
「ほう。どうしてですか?」
「はい。私はダヒルの町でお金と税金の大切さ、ミワーヨの町で王を補佐する高官は貴族や平民など身分に関係なく採用すること、ミサスの町では国民の仕事の大切さを学んだので……」




