第五十三話 剣聖と真の女王へ
するとナバウ様は、付け足した。
「それにここでは、魔王と交渉もしましたしね。あ、それに剣聖にもなりましたし」
そしてナバウ様は、私を振り返りニッコリと微笑んだ。
「だから私もユーミ王女は、立派な女王になると思いますよ。いえ、魔族を含む全ての国民を護る真の女王になると思いますよ」
そ、そうか。ナバウ様も、そう思ってくれるのか。なので私は城に戻って女王になる戴冠式を済ませたら、真の女王になろうと強く決心した。そう考えながらナバウ様の後をついていくと、魔王の城の外に出た。すると五の月の上旬らしく、少し暖かく爽やかな風が吹いていた。
ああ、もう五の月の上旬か。お城を出てから、一カ月と少し経ちましたか。でもこの一カ月は私のニ〇年間の人生の中で、最も充実した一カ月でしたわ。この旅をして、本当に良かった……。でも私はお城に帰ることを考えると、少しげんなりした。う。ここからお城に帰るまで、一体何日かかるのかしら?……。と私が少しげんなりしていると、何と魔王の城の外にはキング・ドラゴンが待っていた!
私は一瞬警戒したが、そのキング・ドラゴンは頭を私に近づけてスリスリしてきた。あら。このキング・ドラゴンはひょっとして、私と戦ってそして私が助けたキング・ドラゴンかしら。するとそれに答えるように、キング・ドラゴンは頭を上げて吠えた。
「グオオオオオオオオ!」
なので私は、納得した。この子はきっと、あのキング・ドラゴンで私にこんなにも懐いているんだわ! なので私は、決めた。このキング・ドラゴンをお城に連れて行って、飼おうと! それをナバウ様に話してみると、ため息をついた。
「はあ。あのですね、ユーミ王女。そんなことは、前代未聞ですよ。そんな話、聞いたことがありませんよ……」
なので私は、言い放った。
「確かに、前代未聞です。でも、だから良いんじゃないですか!」
するとナバウ様は、再びため息をついた。
「あなたは本当に、わがままな王女ですね……」
そう言われたが私は、キング・ドラゴンに近寄った。するとキング・ドラゴンは、背中に乗ってくれとばかりに背中を見せた。なので私は早速、乗ってみた。するとキング・ドラゴンは、その大きな翼を羽ばたかせた。なので私は、ナバウ様を誘ってみた。
「ナバウ様! この子きっと、お城まで連れてってくれますわ! きっと、あっという間にお城まで帰れますわ! だからナバウ様も、乗ってください!」
するとナバウ様は、首を左右に振った。
「いえ。私はこれから、東の国に旅立とうと思っています。なのであなたとは、ここでお別れです……」
そう言われて、私はショックを受けた。そ、そんな。ナバウ様とは、ここでお別れ? でも私は、ナバウ様の考えを尊重したい。ナバウ様なら東の国でも、きっと人助けをするだろうからだ。そして、それを待っている人たちがいるだろうからだ。でも、私が女王になる戴冠式くらいは見てほしい。私が女王になった姿を、見てほしい。なので私は、聞いてみた
「ナバウ様。ナバウ様はそんなに、死刑になりたいんですか?」
するとナバウ様は、ポカンとした表情になった。
「は? し、死刑?……」
「そうですわ。私が女王になる戴冠式に出なかったら、ナバウ様を死刑にしますわ!」
そう言われたナバウ様は、ブチ切れた。
「あなたはいつもそれですね! あなたは本当っっっっっっっっにわがままな王女ですね!」
だが次の瞬間、ナバウ様は優しく微笑むとキング・ドラゴンの背中に乗ってくれた。
「全く。戴冠式に出ないくらいで死刑にされちゃあ、たまりませんからね!」
そうです、それでいいんです。そして私は、キング・ドラゴンに話しかけた。
「それじゃあ、北にあるお城に飛んでって! 分かる? 北よ、北!」
するとキング・ドラゴンは、更に強く翼を羽ばたかせて上昇した。そして北に向かって、飛び始めた。そうです、そうです。良い子ですね。さあ、このキング・ドラゴンに乗ってお城に帰ったら皆、どんなに驚くかしら? 今から楽しみですわーー!!
完結
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