第五十話 激闘
くっ、止めるしかない。人間を滅ぼそうとするマモートは、止めるしかない……。なので私は、言い放った。
「止めますわ。やはりあなたを戦闘不能にして、止めて見せますわ!」
するとマモートは、不敵に笑った。
「ふっふっふっふっ。この儂を、止めて見せるか……。よかろう、止めてみるがいい!」
そしてマモートは玉座に座ったまま、両手の手の平を私に向けて魔法を唱えた。
「デス・フェニックス!」
するとマモートの両手から、灰色の炎が噴き出した。そしてそれは大きな、不死鳥の形になった。それを見た私の本能は、告げた。あれを喰らっては、マズイと。絶対にマズイと! だから私に向かって飛んできた灰色の炎のデス・フェニックスを、私は聖剣アポビーを真上から振り下ろして真っ二つに斬った。や、やった。やりましたわ! だがマモートは、不敵に笑っていた。
な、何なの、あの余裕は?……。そして殺気を感じた私は、後ろを振り返った。すると斬ったはずのデス・フェニックスが、私に向かって飛んできた。な、斬ったはずなのに消滅してない?! それどころか向きを変えて私を狙ってる?! そして私は、デス・フェニックスを喰らった。あ、熱い! どうやら私は、全身が重度の火傷になったようだ。
そして私は、マモートの強さを悟った。くっ、マズいですわ。斬っても私を自動的に狙ってくる、デス・フェニックスはマズいですわ。どうする、どうする、どうする、どうする?! するとマモートは、再び両手の手の平を私に向けた。マズイ! またデス・フェニックスがくる! すると聖剣アポビーから、声がした。
「なるほど、さすが魔王なのである。だから我輩の、真の姿を見せるのである。さあ我輩に、ありったけの魔力を注ぐのである」
「わ、分かったわ!」
そして私は聖剣アポビーに、ありったけの魔力を注ぎ込んだ。すると聖剣アポビーは、黄色の光を放った。
「これが我輩の真の姿、光の剣である。ビーム・ソードとも言う」
「ビ、ビーム……」
「さあ、これであの魔王を戦闘不能にするのである!」
「分かった!」
するとマモートは再び、デス・フェニックスを放った。くっ、今度こそ! と私は再び、デス・フェニックスを斬った。すると今度は、デス・フェニックスは消滅した。す、すごいですわ、ビーム・ソード! なので私は今度は、ビーム・ソードでマモートを右上から左下に斬った。
ビーム・スラッシュ!
するとマモートの胴体に、大きな傷ができた。くっ、これでマモートは戦闘不能になったか?! するとマモートは、玉座からゆっくりと立ち上がった。
「全く忌々しいな、聖剣アポビー……。五〇〇年前も、今も……」
「ふむ。それは、こっちのセリフである。魔王マモートよ」
「ふん、仕方が無い。それでは儂も、本気を出すか……」
その言葉に、私は恐怖した。え? デス・フェニックスは本気じゃなかったの?! これから本気を出すの?! するとマモートは、両手の手の平を頭上に向けた。そして、唱えた。
「サモン!」
するとマモートの頭上に大きな黒い渦が現れて、そこから何と白地に赤い炎の模様のキング・ドラゴンが出てきた! そしてキング・ドラゴンは、マモートの前に立った。くっ。マモートは、キング・ドラゴンを召喚できるの?! でも私は、素早く考えた。でもキング・ドラゴンなら、さっき戦闘不能にできた。だから今度も、戦闘不能にしてやりますわ!
するとキング・ドラゴンの後ろにいる、マモートの声がした。
「ユニオン!」
そして私は、恐怖を感じた。見る見るうちに、キング・ドラゴンとマモートが一体になったからだ。その姿は全身が白地に禍々しい緑色の炎の模様で、腕も脚も太く筋骨隆々だった。更に、シッポが生えていた。そしてマモートは、言い放った。
「それでは、見せてやろう。この儂、魔王の本気を!」
すると私の目の前に、マモートが一瞬で移動してきた。な、は、速い! 一瞬で、移動してきた?! そしてマモートは一瞬で、私の全身に左右の拳を繰り出した。ぐはっ! そして後ろに吹き飛ばされたが、今度は後ろから蹴られた。振り返ってみると、やはりマモートは一瞬で私の後ろに移動して私を蹴ったようだ。くっ、つ、強い。これがマモートの、本気……。
私はマモートの攻撃を受けてうつ伏せに倒れて、そのダメージで意識が遠のいた。くっ、やはりマモートは強い。だてに、魔王と呼ばれていない……。私はマモートの強さに、手も足も出なかった。くっ。私はここで、マモートに殺されるの?……。と、遠ざかる意識で考えた。いや、ダメだ。私はここで、殺される訳にはいかない。なぜなら私には剣聖と真の女王になって、この国の全ての国民を護るという目標があるからだ。
だから私は全身の激痛に耐えながら、ゆっくりと立ち上がった。そしてマモートに、言い放った。
「まだまだですわ……。私はこんなところで、終わる気はありませんわ……」
するとマモートは、ため息をついた。
「やれやれ。これほどの力の差を見せられても、まだ戦う気か? それはもう、勇敢ではない。ただの、愚か者だ……」
だが、確かにそうだ。今の私には、マモートを戦闘不能にする力はない。一体、どうすれば? このままではマモートは、人間を滅ぼしてしまうだろう。一体、どうすれば?……。すると突然、この部屋の入り口から拍手が聞こえた。
「さすがです、ユーミ王女。さすが剣聖と真の女王になり、全ての国民を護ろうとするあなたはさすがです」
え? だ、誰? と私がこの部屋の入り口を見てみると、何とそこにはナバウ様がいた!




