表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】わがまま王女ですが剣聖と二人旅をして、仕方がないので人助けをして剣聖と真の女王を目指しますわ!  作者: 久坂裕介
第五章 王女、魔王と戦う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/53

第四十九話 魔王マモート

 そう言ったホクサの顔を、私は見つめた。目は真剣しんけんで、殺気さっきがこもっていた。くっ。この魔族は一体いったい、どんな攻撃をしてくる?……。と私が聖剣せいけんアポビーをかまえて警戒けいかいしていると、この広間ひろま威厳いげん恐怖きょうふを感じさせる声がひびいた。

「そこまでだ、ホクサよ。おぬしも、分かっているだろう? きっとお主では、その人間はたおせん……」


 するとホクサは、くやしそうな表情になった。

「くっ、お分かりですか。魔王様……」


 ホクサがそう答えたので、私はおどろいた。こ、この声はひょっとして魔王の声なの?! 確かに威厳と恐怖を感じさせる声だ……。するとホクサは、両方の手のひらを私に向けた。

「魔王のご命令なら、仕方しかたがありません。ユーミ王女、あなたを魔王のもとにおれします……」


 とホクサが告げると、私の目の前に黒いうずあらわれた。くっ。これはきっと、ワープさせられる黒い渦だ! 一体どこに、ワープさせられる?! 取りあえず、この渦には入らない方がいい! と私が黒い渦から離れようとしたが、黒い渦は私を追ってきた。くっ、逃げられないか! そして私は再び、黒い渦にまれた。


 次の瞬間、私は漆黒しっこく大広間おおひろまにいた。え、ここ、さっきと同じ場所? え? どういうこと? と思ったが、違った。ここはさっきとは、違う場所だった。目の前に灰色の玉座ぎょくざに座った、魔族がいたからだ。そいつは禍々しい緑色の肌をしているから、一目ひとめで魔族だと分かった。


 そして灰色の、ゆったりとしたローブを着ていた。顔や腕には深いしわがあり、この魔族はいて見える。だがそのするど眼光がんこうは、私に今まで感じたことがない恐怖を与えた。次の瞬間にでも、私が殺されるかも知れない恐怖だ。


 そして今までった魔族とは、雰囲気ふんいきが違う。その魔族が発する雰囲気は、私を動けなくさせた。逃げることも、もちろん近づくこともできない。それどころか、指一本ゆびいっぽん動かすことができない。こ、この魔族、タダものじゃない。もしかすると……。と私が考えている、その魔族は威厳と恐怖を与える声で、話し出した。

「まずはご苦労くろう、ホクサよ。この人間を、生きたままここに連れてきて……」


 え? ホクサ?! するとその老いた魔族の左に、黒い渦が現れてそこからホクサが出てきた。そしてその老いた魔族に、うやうやしく頭を下げた。

「さきほどは勝手な真似をして、申し訳ありません。魔王マモート様」


 それを聞いた私は、最大級に警戒した。もしかしたらと思ったが、やはりこいつが魔王だったか! するとマモートは、静かに答えた。

「いや、かまわん。よくぞこの人間を、殺さなかった……」

「はい。ありがたき幸せ、魔王マモート様」


 するとマモートは、今度は私に話しかけてきた。

「さて、お主には二つ質問がある。答えてもらおう。まずお主は、この国の次の女王である、ユーミ王女か?」


 私はマモートの雰囲気に気圧けおされながらも、何とか答えた。

「そ、そうですわ! それがどうか、いたしましたか?!」


 するとマモートは、冷静に答えた。

「まあまあ、そう興奮こうふんするでない。それでは、次の質問じゃ。なぜお主はモンスターを殺さずに、戦闘不能せんとうふのうにして退しりぞけたのじゃ?」

「そ、それは……」


 くっ、こいつ。私があまり話したくない話を、ズケズケと聞いてきますわ! でも私は、答えた。そうしないとこのマモートに、瞬殺しゅんさつされる予感がしたからだ。だから私はその恐怖心と戦いながら、答えた。

「そ、それはモンスターも生き物だからですわ! 私と同じ、生き物だからですわ! 私はむやみに、生き物の命をうばったりしませんわ!」


 するとマモートは、冷静に静かに答えた。

「なるほど、なるほど。確かにこれは面白おもしろい。ヨダクとタフバが、お主に興味きょうみを持つのも当然とうぜんじゃ。そんな考え方、人間はもちろん我々魔族もしない。モンスターなど我々魔族の、下僕げぼくにすぎんからのう……」


 そしてマモートの眼光は、更に鋭くなった。

「それでは、このわしはどうする? この儂は五〇〇年前、多くの人間を殺したんじゃが?」

「ま、まずはその理由を知りたいですわ」

「なるほど、理由か……」

 

 するとマモートは、不気味ぶきみなほど冷静に静かに答えた。

「それは五〇〇年前、人間が我々魔族をほろぼそうとしたからじゃ。我々魔族は人間よりも、圧倒的に強力な魔力を持っている。だからほうっておいたら、何をするか分からないという理由でな。だから儂は魔王として、人間相手に戦った。我々魔族を、まもるために……」


 それを聞いて、私の心は乱れた。くっ、それはヒドイ。人間の方がヒドイ。そんなわけの分からない理由で魔族を滅ぼそうとする、人間はヒドイ。だから私は、そんな魔族を護るために戦ったマモートに敬意けいいを感じてしまった。するとマモートは、再び話し出した。

「五〇〇年前、儂は人間に倒された。だが人間に罪もない妻と子供を殺されたホクサによって、儂は今(よみがえ)った。そして儂は、絶望した。五〇〇年前と変わらずに、我々魔族を滅ぼそうとする人間に。だから儂は、決めた。今度こそ人間を、滅ぼそうと。さあ、ユーミ王女よ。お主はこんな儂を、どうする?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ