第四十八話 ホクサ
それを聞いて、私はもちろん警戒した。な、魔王が私に会いたがっている?! な、どうして?! するとホクサは、ひらいた右手を私に突き出した。
「ワープ!」
すると私の目の前に、黒い渦が現れた。そして次の瞬間、何と私はその黒い渦に吸い込まれた! そして吸い込まれた先には、広く漆黒の部屋があった。こ、ここは一体?……。すると私の目の前に黒い渦が現れ、そこからホクサが出てきた。そして慇懃に、頭を下げた。
「ようこそ、ユーミ王女。我らの、魔王の城へ……」
な、ここは魔王の城の中なの?! すると私は、さっきの黒い渦でここにワープさせられた?! と私が戸惑っていると、ホクサは告げた。
「さて、ユーミ王女。あなたにはここで、死んでもらいます」
私は思わず、反論した。
「私をここで殺す?! 何よ! 魔王は私に会いたがっているんじゃないの?!」
「そうです。だからあなたは危険なんです」
「何それ?! どういうことよ?!」
「あなたは私の、計画の邪魔になるからです」
「邪魔?!」
「そうです」
そしてホクサは、話し出した。
「私の計画は、こうです。私は、人間を滅ぼしたい。でも私だけでは、無理です。なので私は五〇〇年前にあなた方人間に倒された魔王を、一〇〇年かけて復活させたのです。理由はもちろん、魔王の強大な魔力で人間を滅ぼすためです。でもこの計画を、邪魔する存在が現れた。ユーミ王女、あなたです。
あなたはヨダクとタフバが召喚したモンスターたちを、退けた。何と倒さずに、戦闘不能にすることで。このことはもちろん、魔王マモート様の耳にも入りました。そして何と魔王は、あなたと会いたいと言い始めたのです。そんな人間がいるのなら、話がしたいと。これはマズいです。人間はあくまで、我々魔族を滅ぼそうとする、危険な存在でなくてはならないのに……」
それを聞いた私は、ホクサに疑問をぶつけた。
「なぜ私が魔王と会うのを邪魔するの?! あなたはなぜ、人間を滅ぼそうとするの?!」
するとホクサは、怒りの表情になった。
「魔王が心変わりをして人間を滅ぼすことを止めるから可能性があるからだ! 人間は一〇〇年前に何の罪もない私の妻と子供を殺した邪悪な存在なのに!」
私はそれを聞いて、全身から血の気が引いた。人間が何の罪もない、ホクサの妻と子供を殺した?……。人間は魔族を迫害していると聞いたことはあるが、そこまでヒドイことをしたなんて……。そしてホクサは、ニヤリと笑った。
「なのであなたには、ここで死んでもらいます。なあに魔王には、ちょっと私が力試しをしたら死んでしまったと報告しますよ……」
そしてホクサは両手を頭上に上げて、魔法を唱えた。
「サモン!」
するとホクサの頭上に黒い渦が現れ、そこからモンスターがワラワラと出てきた。全身が赤く、顔は尖った耳とその耳まで裂けた口が特徴的だった。するとホクサは、叫んだ。
「さあ、アークデーモンたち! その人間の小娘を殺してしまうのです!」
すると一体のアークデーモンが、両方の手の平を私に向けた。くっ。こいつらは一体、どんな攻撃をしてくる?! と私は、聖剣アポビーを構えた。すると私の何もない前方で、爆発が起こった。な、何もないのに爆発した?! くっ。これがアークデーモンの能力か……。すると再びアークデーモンが両手を私に向けたので、私は素早く右に移動した。するとさっき私がいた場所が、爆発した。
なるほど。何もないのに爆発するのは確かに怖いが、アークデーモンに両手を向けられたら逃げればいいのか。それで爆発を、かわせるのか……。そして私は、知ることにした。何度アークデーモンを斬れば、戦闘不能にできるのかを。なので私は、目の前のアークデーモンを一回全力で斬りつけた。ダメ。二回目、ダメ。三回目、アークデーモンはうずくまって戦闘不能になった。よし、これですわ! アークデーモンは三回、全力で斬れば戦闘不能にできますわ!
すると残った九体ほどのアークデーモンたちが、一斉に私に手の平を向けた。くっ、これはマズいですわ! なので私は、大きくジャンプした。するとさっき私がいた場所で、この部屋を揺るがすほどの大きな爆発が起きた。くっ。一体では弱くても、集団で攻撃されるとマズいですわ。これは一気に、勝負をつけないと! なので私は、聖剣アポビーに魔力を注ぎ込んだ。
「聖剣アポビー、力を貸して!」
すると聖剣アポビーは、すぐに答えた。
「もちろんである」
そして聖剣アポビーの色は、緑色になった。そうです、それですわ! 加速力が一〇倍になった私は、次々とアークデーモンを三回斬った。
テンフォールド・アクセル!
すると全てのアークデーモンはうずくまり、戦闘不能になった。そしてこの場から、逃げだした。ふう。これで良いですわ。一体のアークデーモンも倒さずに、全て戦闘不能にして退けましたわ……。と私が一安心していると、ホクサが私の目の前に現れた。
「ふん。アークデーモンでは、あなたを殺せませんか……。ならば私が直接、あなたを殺すまで!」




