第四十七話 魔王の城
私はキング・ドラゴンの全身を、連続斬りを連続して何度も斬った。
テンフォールド・アクセル!
しかしキング・ドラゴンは少しひるんだだけで、戦闘不能にはならなかった。くっ。さすがはキング・ドラゴン……。なので私は、再び魔力を聖剣アポビーに注ぎ込んだ。すると聖剣アポビーは青色に変わり、それから一筋の青い光が発射されてキング・ドラゴンに照射された。するとやはりキング・ドラゴンの、動きが止まった。
さあ、喰らってもらいますわ! 防御も回避も不可能、そして防御力も無視して攻撃力一〇倍の究極の斬撃を! 私はキング・ドラゴンを、右上から左下に斬った。
アルティメット・スラッシュ!
するとキング・ドラゴンは、仰向けに倒れた。や、やりましたわ! テンフォールド・アクセルとアルティメット・スラッシュで、やっと戦闘不能にできましたわ! さすがキング・ドラゴンは、強かった……。でもキング・ドラゴンを見た私は、気づいた。。いや、違う! これはまさか! 私はキング・ドラゴンに駆け寄り、様子を見た。
するとキング・ドラゴンの呼吸は浅く、今にも止まりそうだった。こ、これはマズいですわ! このままだとこのキング・ドラゴンは、死んでしまいますわ! このキング・ドラゴンも、もちろん生き物だ。たとえモンスターでも、私は生き物を殺したりしませんわ!
なので私はまず、アルティメット・スラッシュでできた大きな傷跡に手をかざして治癒の魔法を唱えた。
「ヒール!」
するとその傷跡は消えたが、まだキング・ドラゴンの呼吸は浅かった。見てみると体中に、テンフォールド・アクセルで何度も斬った傷跡が残っていた。なので私は、体全体に治癒の魔法をかけた。
「ヒール!」
すると全てのキズが治ったキング・ドラゴンは、立ち上がった。ふう、これで良いでしょう。このキング・ドラゴンが死ななくて、良かったですわ……。そう私が一安心していると何とキング・ドラゴンは私に顔を近づけて、スリスリしてきた。おや、これは……。なので試しに私がキング・ドラゴンの頭をなでると、キング・ドラゴンは嬉しそうに喉を鳴らした。
「グルルルル……」
あら! もしかするとこれは! するとナバウ様は、私とキング・ドラゴンに近づいてきて驚いた表情になった。
「全く信じられないことですが、このキング・ドラゴンはあなたに懐いてしまったようです。こんな話は、聞いたことがありません。全く、信じられません……」
なので私は、キング・ドラゴンの頭をなでつづけた。あら! やっぱりこの子、私に懐いたのね! よーし、よしよし……。と私がキング・ドラゴンとスキンシップしていると、この砂漠中が揺れた。な、何?! もしかして、地震?! と私が警戒していると、目の前の砂から、漆黒の尖塔がせり上がってきた。
私はこの突然の事態をただ見ていることしかできなかったのでそうしていると、今度は漆黒の壁が見えてきた。どうやらこれは、建物のようだ。いや、これは城だ! 漆黒の城だ! と見ていると、その漆黒の城は完全に姿を現した。屋根も尖塔も壁も、全て漆黒。そして、異様な雰囲気を放っていた。するとナバウ様は、呟いた。
「こ、これはまさか魔王の城?……」
なるほど、確かにそうかも知れない。砂漠からせり上がってくる漆黒の城なんて、見たことも聞いたこともないからだ。だが、魔王の城と言うのなら頷ける……。すると突然、私の目の前に大きく黒い渦が現れた。私はもちろん警戒して、聖剣アポビーを構えた。くっ。このパターンは、モンスターが出てくるパターンですわ!
だが黒い渦から出てきたのは、魔族だった。毒々しい緑色の肌で精悍な顔つきで、黒いローブを着た魔族だった。その魔族は私とキング・ドラゴンを見ると、話し出した。
「まさかキング・ドラゴンを、懐かせるとは……。ユーミ王女。あなたは私の、予想以上に危険な存在ですね……」
な、この魔族、私の名前を知っている?! いや、私の名前はすでに魔族のヨダクとタフバに教えてある。だから彼らから聞いたのなら、私の名前を知っているはずだ。そしてちょっと調べれば、私が王女であることも知っていて当然だ……。そしてそんな私の心を見透かしたように、私の目の前にいる魔族は話し出した。
「ご想像の通り、私は魔族です。名は、ホクサと申します。そしてあなたのことは、ヨダクとタフバから聞きました。圧倒的に強いのに、モンスターを倒さずに戦闘不能にするだけの変わった人間がいると。もちろん私は、調べました。するとあなたは、王女だった。しかも剣聖になるために、旅をしている。全く変わった方ですね、あなたは。ヨダクやタフバもちろん、我が主である魔王マモート様も興味を持たれるのは当然のこと……」
魔王マモート?! それが魔王の名前なの?! 私は警戒して、聖剣アポビーを握る手に力が入った。するとホクサは、話を続けた。
「それでは、ユーミ王女。あなたを、我らの魔王の城にご案内いたします。我が主、魔王マモート様があなたに是非お会いしたいとおっしゃっているので……」




