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【完結済】わがまま王女ですが剣聖と二人旅をして、仕方がないので人助けをして剣聖と真の女王を目指しますわ!  作者: 久坂裕介
第四章 王女、産業を生み出す

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第四十四話 新しい産業

 そうしてミサスの町にもどった私とナバウ様は、まずアシマ町長に会いに行った。そして山の川をふさいでいたのは魔族で、その魔族を退しりぞけて川の水量すいりょうを戻したと説明した。だからこの町の川の水量も、戻るはずだと。するとアシマ町長は早速さっそく町長室から飛び出て、この町の川に向かった。


 私とナバウ様も川に向かってみると、そこにはアシマ町長と歓声かんせいさっそくを上げる人々がいた。

「やったー! 川の水量が戻ったぞ!」

「本当! どうしてかしら?!」

「何でもいいぜ! とにかくバンザーイ!」


 するとアシマ町長は、人々と話し出した。

みなさん、大事な話があるんです。聞いてください」


 アシマ町長の言葉を、人々は聞き始めた。

「私はこれからこの町を、変えたいと思います。具体的には、産業を変えたいと思います。この町は以前、鉱山こうざんで金をりそれで金貨きんかを作ってきました。でももう、金は採れません。残念ですが、これは事実です。なのでこれからこの町では、パンの材料になるフラウアを栽培さいばいしようと考えました。そうすればこの町の人々が、パンが無くてえることはありません。そしてあまったフラウアを、他の町に売ることもできます。何ならそれでパンを作り、売ることもできます。どうでしょうか、皆さん? 私のこの考えに、賛成してくれるでしょうか?」


 すると少しして、人々から歓声が上がった。

「なるほど、その手があったか!」

「そうすれば、私たちが飢える心配はないのね?!」

「俺は賛成だ! 皆でフラウアを栽培しよう」


 という人々の反応を見て、私は安心した。何とかこの町で、新しい産業が生まれそうだ。そうすればこの町の人々は飢える心配は無くなり、お金をかせぐことができてこの町から出て行った人々も戻ってくるかも知れない。とにかく人々に希望が見えて、良かった……。


 そして私は、宿に戻って休むことにした。何といっても強いモンスターと戦い、体力も精神力も限界げんかいだったからだ。でもナバウ様は、ちょっと調べたいことがあると言ってこの町の図書館に向かった。


 次の日。ぐっすりと休んで体力も精神力も全回復ぜんかいふくした私は、朝から元気だった。なので宿で朝食を食べ終わると早速、洋服屋ようふくやに向かった。モンスターにられたドレスを、直してもらうためだ。ちょっと時間がかかったが、斬られた箇所かしょが分からないくらいきれいに直してもらった。そうして洋服屋から出た私は、おどろいた。この町の人々が早速、フラウアを栽培するための作業をしていたからだ。


 そしてその作業を、私とナバウ様は手伝った。私が、どうしてもこの町に新しい産業が生まれる瞬間を見たかったからだ。そしてそれには、ナバウ様も賛成してくれた。


 私たちはまず、金貨を作っていた工場を解体した。木製のかべをはがし、中にある機械を外に運び出した。すると、中々広い面積の土地が広がった。そして皆で、その土地をたがやして畑にした。更にフラウアのたねをまいて、十分に水をかけた。


 作業が終わって畑をながめた私は、感動していた。これで、この町の人々が飢える心配はないだろう。そしてフラウアの実やパンを売って、商売をするだろう。そうしてこのさびれた町は、生まれ変わるだろう。それを人々も予想してか皆、希望にあふれた表情をしていた。


 それを確認すると私たちは、この町を出ることにした。もう私たちの助けは、必要ないからだ。後はこの町の人々だけで、この町を立て直すだろう。そう考えた私とナバウ様は、アシマ町長に挨拶あいさつをしに町長室に行った。するとアシマ町長は机に両手をついて、深々と頭をげた。

「ありがとうございます、ユーミ王女とナバウ様。これで秋には、たくさんのフラウアの実が採れるでしょう。そして商売もでき、この町は生まれ変わるでしょう。もしあなた方がこなかったら、この町は一体いったいどうなっていたか……」


 なので私は、答えた。

「いえ。私たちは、きっかけを作っただけです。もしこの町が生まれ変わったら、それはこの町の人々ががんばったからでしょう」


 するとアシマ町長はもう一度、深々と頭を下げた。

「本当に、ありがとうございました!」


 そうして町長室を出た私とナバウ様は、この町の南に向かった。山でった魔族のタフバが、『南にこい』と言っていたからだ。そう言えば魔法学校をおそった魔族のヨダクも、『南にこい』と言ってたな。南に一体、何があるんだろう?……。そう考えながら歩いていると、私たちはこの町の南のはしに着いた。するとナバウ様は振り返り、この町を眺めながら告げた。

「これでこの町は、生まれ変わるでしょう。これもすべてユーミ王女、あなたががんばったからですよ」


 そう言われて私は、恐縮きょうしゅくした。

「いえいえ、ナバウ様。アシマ町長にも言いましたが、私はきっかけを作っただけで実際じっさいにがんばったのはこの町の人々ですよ」

「ふふふふ、そうですか……」


 そしてナバウ様は、ニッコリと微笑ほほえんだ。

「ユーミ王女。私はもう、あなたを剣聖けんせいとして認めていますよ。ダヒルの町では疫病えきびょうに苦しむ人々を救い、魔法学校では生徒たちを救い、そしてこの町では新しい産業を生んだので。そして今までの旅で、あなたは色々な経験をしました。それはきっとあなたを、立派りっぱな女王にするでしょう……」


 え? そうかな? 私はもう剣聖で、立派な女王になれる? ナバウ様にそう言われて、私はもちろんうれしくなった。でも、喜べなかった。ナバウ様の様子が、いつもと違うからだ。なので私は、聞いてみた。

「ありがとうございます、ナバウ様。ナバウ様にそう言っていただくと、嬉しいですわ。でも、ナバウ様。あまりに私をめるので、いつもと様子が違うような?……」


 するとナバウ様の表情は、けわしくなった。

「そうですか……。それでは、ハッキリ言いましょうユーミ王女。あなたはもうこの旅を終えて、お城に戻りませんか?」


 え? お城に戻れ? どうして急に、そんなことを? なので私は、再びナバウ様に聞いた。

「ど、どうしたんですかナバウ様?! 私、何か悪いことをしてしまいましたか?! それなら言ってください! 私はすぐに直しますから!」


 するとナバウ様、首を左右にった。

「違いますよ、ユーミ王女。あなたは、何も悪くありません。それどころかあなたは、素晴すばらしい女性です。きっと立派な剣聖と女王になるでしょう。だからそんなあなたを、危険にみたくないのです」

「え? 危険? それは一体、何ですのナバウ様?!」


 するとナバウ様は、静かに答えた。

「この町の南にはきっと、魔王がいます……」

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