第四十三話 究極の斬撃
なので私は、後ろに一歩下がって四本の剣の攻撃をかわそうとした。だが一瞬、遅かった。四本の剣は、私の腹部を斬り裂いた。見てみるとピンクのドレスが斬られ、出血もしていた。くっ。これは中々、見事な技ですわ。二本の剣での攻撃を受けさせ、動けなくなった相手を残りの四本の剣で斬る。あと少し後ろに下がるのが遅れていたら、私の胴体は真っ二つになっていましたわ……。
と考えているとボーンナイト・ヘルソードは、再び二本の剣を頭上に振り上げた。くっ、マズイ! またさっきの攻撃がくる! くっ、何とかしないと! すると私は、ひらめいた。そうだ、聖剣アポビーの力を借りますわ! まず私はリラックスして精神を集中させ、魔力を作った。するとやはり私の魔力を感じて、聖剣アポビーが目覚めた。
「ふーむ。どうやらあの敵に、苦戦してるようである」
私は、必死に聖剣アポビーに頼んだ。
「そ、そうなの! だから私に力を貸して!」
「もちろんである。我輩を所有する者を護るのが、我輩の役目である。さあ、我輩に魔力を注ぐのである」
「うん!」
そして私は、ありったけの魔力を聖剣アポビーに注ぎ込んだ。すると黄色だった剣が、青色に変わった。そして剣から青い一筋の光が発射され、ボーンナイト・ヘルソードに照射された。する何と、ボーンナイト・ヘルソードの動きが止まった。え? 何で? どうなってますの、これ? と私は疑問に思ったが、聖剣アポビーは告げた。
「さあ。防御も回避も不可能、更に防御力を無視して攻撃力一〇倍の究極の斬撃を喰らわすのである」
ええ、やってやりますわ! 私は聖剣アポビーで、ボーンナイト・ヘルソードを右上から左下に斬った。
アルティメット・スラッシュ!
するとボーンナイト・ヘルソードは膝から崩れ落ちて、動けなくなり戦闘不能になった。や、やりましたわ……。と私が一安心していると、魔族のタフバは言い放った。
「ふーん。本当に、倒さないんだねえ~。とどめを、刺さないんだねえ~。ヨダクが君に興味を持つのも、分かるね~。だから君、南においでよ~。もっと僕たちと、遊ぼうよ~。だから今回は、これでお終い~。それじゃあねえ~」
とタフバは、頭上の黒い大きな渦に向かってジャンプした。それに飲み込まれたタフバは消えて、黒い渦も消えた。や、やりましとわ。何とかこの強敵を、退けましたわ……。ふとボーンナイト・ヘルソードを見てみると、必死にこの場から逃げようとしていた。それで、良いですわ。二度とここには、くるんじゃありませんわ……。すると、ナバウ様の声がした。
「なるほど。素晴らしいです、ユーミ王女。モンスターも生き物。倒さずに退けるとは、見事です」
私はそれを聞いて、安心した。良かった。ナバウ様にも、この戦い方が、認められましたわ……。と安心して緊張が解けると、私は腹部の痛みに気づいた。そう言えば、四ヶ所も斬られてしまったわ……。さて、この傷はどうしようと考えていると、ナバウ様が私に近づいてきて右手を私の腹部にかざした。
「ヒール!」
すると私は腹部に、じんわりとした温かさを感じた。なるほど。これは確かに、癒されますわ……。そうして少しすると、私の腹部から痛みが消えた、なので私は、お礼を言った。
「治癒の魔法をありがとうございます、ナバウ様。おかげで傷が、治りましたわ」
だがナバウ様の表情は、曇っていた。
「実は私は、迷っていました。ピンチになった、あなたを助けるべきかどうか。でも私は、見たかった。あなたが強力なモンスターと魔族に、どう対応するのか。本当なら、あなたがケガをする前に私はあなたを助けるべきだったのかも知れません。あなたにケガをさせてしまった私は、あなたの師匠として失格かも知れません……」
なるほど。ナバウ様は、そう考えているのか。でもそれは、違う。なので私は、告げた。
「いいえ、ナバウ様。ナバウ様は、私の師匠として失格ではありませんわ。なぜなら私は、この国の全ての国民を護れる剣聖を目指しているので。なのであのくらいの敵は、退けなければなりません」
「ユーミ王女……」
そしてナバウ様は、真剣な表情で告げた。
「それでもこれから、今回よりももっとピンチになったら私はあなたを助けます。それがあなたの師匠としての、責任です。それにあなたはきっと、立派な女王になるでしょう。そんなあなたを、失うわけにはいかないので……」
「ナバウ様……」
そうして私とナバウ様は少しの間見つめ合っていたが、やがてナバウ様が切り出した。
「さあ、それではユーミ王女。最後の仕事です。あの川を塞いでいる大きな岩を、斬ってください。そうすればこの川の水量が戻り、この山の麓のミサスの町に流れている川の水量も戻るはずなので」
なるほど。そう言えば、すっかり忘れていた。なので私は川を塞いでいる大きな岩を、聖剣アポビーで真っ二つにした。すると岩の間から水が溢れだし、この川の水量が増えた。うん、これで良いですわ。これでミサスの町に流れている川の水量も、元に戻るはずですわ。そうしてミサスの町で、フラウアを栽培することができるはずですわ。それを確信した私たちはこの山を下りて、ミサスの町に向かった。




