第四十話 鉱山へ
私に迫られたアシマ町長は、真剣な表情になった。そして少し考える表情になった後、答えた。
「分かりました。あの工場は、取り壊しましょう。そしてその土地に、フラウアを栽培しましょう……。町民は、私が説得しましょう……」
それを聞いた私とナバウ様は、顔を見合わせて微笑んだ。これでこの町の人々を救うことができますわ! だが次の瞬間、アシマ町長は叫んだ。
「いや、ダメです! これはできません!」
私は当然、その理由を聞いた。
「ダメ? ダメって何がですの? フラウアを栽培することですか? どうしてできないんですか?」
するとアシマ町長は、苦しそうな表情で答えた。
「私もフラウアを栽培することは、良い考えだと思います。でも、無理なんです。フラウアを栽培するには当然、多くの水が必要になります。でも今この町は、水不足なんです。一カ月ほど前からこの町を流れる川の水の水量が、減っているんです。その理由は、分かりません……」
それを聞いた私は、考えた。うーん、なるほど。それは確かに、そうだ。多くの水がなければ、フラウアを栽培することはできないだろう。うーん、どうしたものか。せっかくここまで、話がまとまったのに……。するとまたまた、私はひらめいた。私は意気込んで、アシマ町長に聞いてみた。
「アシマ町長! この町の川の水は、どこから流れてきてるんですか?!」
「え? えーと。近くの山からです。実は金が採れた鉱山から水が流れてきて、この町の川になっているんです」
うーん、なるほど。それなら……。私はすぐに、ナバウ様に提案した。
「ナバウ様! その鉱山に行きましょう! そしてこの町の川の水量が減った原因を調べましょう!」
するとナバウ様は、ニッコリと微笑んだ。
「さすがです、ユーミ王女。実はこの私も、全く同じことを考えていました」
「そうですか! それでは早速、その鉱山に行きましょう!」
するとナバウ様は、首を左右に振った。
「いえ。今は、止めておきましょう。もう日が傾いて、暗くなってきました。今、山に入るのは危険です。今日はこの町の宿屋に泊まって、明日の朝に調べに行きましょう」
う。確かに、ナバウ様の言う通りだ。この町長室の窓から見える外は、少し暗くなりかけている。確かに今、山に入るのは危険だ。なので私は今すぐにでも鉱山を調べたかったが、今日は止めることにした。そして町長室を出た私たちは、やはりこの町で一軒だけ営業している宿屋に入った。
この町には宿屋が数件あったが、営業しているのはここだけだった。うーん、やっぱりこの町はさびれているなあ……。そうして宿の食堂でパンとスープだけ頂いた私たちは、それぞれ別の部屋に入って明日に備えて休むことにした。
そして、次の日の朝。私とナバウ様はやはりパンとスープだけの朝食を取り、宿を出た。するとナバウ様は、告げた。
「この町の東に、鉱山があります。そこはこの私が詳しいので、案内します」
そうしてナバウ様が歩き出したので、私はその後について行った。確かにこの町を出て東に向かうと、すぐに大きな山が見えた。うーん。見た目は普通の山なんですが一体、何が起きたんでしょう? と私が考えているとナバウ様はドンドン山に近づき、登り始めた。なので私ももちろん、山を登り始めた。そこは背の高い針葉樹が森になっいて、しばらく登っているとナバウ様は左を指さした。
「こちらに行くと、金が採れた場所に着きます。でも今の、我々の目的は……」
と今度は、地面を指さした。
「ここに、川が流れています。うーむ。確かにアシマ町長が言った通り、水の量が減っていますね……」
なので私も、川を見つめた。確かに普通の川と比べても、水量が少ない。ミサスの町を流れている川と同じように、少ない。うーん。一体、何があったんでしょう?……。と私が考え込んでいると、右側からガサゴソと音がした。な、何ですの?! 私は一応、聖剣アポビーを抜いて構えた。すると何と、その音が聞こえた場所からモンスターが現れた! 私がなぜ一目でモンスターだと分かったかというと、その姿が異様だったからだ。
頭は、牛だ。そして全身に茶色の毛が生えていて、一見すると普通の牛だ。でもこいつは何と、二本足で立っていた! そして両手に、剣を持っていたからだ! くっ、モンスターが現れましたか。ならば、倒さなければなりませんが……。
だがやはりこのモンスターも、私には倒せない。私は魔法学校を襲った、モンスターを思い出した。そいつらはパッと見は、人間だった。だから私はそいつらを倒せば、人間を倒すような気がした。だから倒さずにダメージを与えて、戦闘不能にした。そして、考えた。私もモンスターも、生き物だ。だから生き物であるモンスターを、私はもう、倒せない。なので私はこの牛頭のモンスターも、大きなダメージを与えて戦闘不能にすることにした。
するとこのモンスターは、二本の剣を同時に振り下ろしてきた。私はそれを、ギリギリでかわした。くっ。結構、速いですわ! それからもそのモンスターは、二本の剣で同時に突いたり、薙ぎ払ってきた。ふむ。このモンスター、攻撃は速いですが動きが単調ですわ。それなら、こっちの番ですわ!
私はまず、五〇パーセントの力で斬りつけた。だがこのモンスターは一瞬ひるんだだけで、戦闘不能にはならなかった。くっ、ならば八〇パーセントですわ! 私は八〇パーセントの力で斬りつけたが、やはりそのモンスターは少しひるんだだけで戦闘不能にはならなかった。くっ、ならば一〇〇パーセントの力で攻撃するしかありませんわ……。




