第三十九話 ひらめき
なので私は、提案してみた。
「それではナバウ様! また金が採れる鉱山を探したらどうでしょうか?! そうすればこの町で再び金貨を作れるようになり、町から出て行った人たちが戻ってくるのでは?!」
でもナバウ様は、首を左右に振った。
「いえ、それは無理でしょう。この町は以前、何の産業も無くてさびれていたのです。そこで私は何とかしようと、この町の近くにある山に目を付けました。そして調べてみると、金が採れることが分かったのです。でもその金が採れなくなった以上、そこから金を採るのは無理でしょう。更にこの町の近くに、もう金が採れそうな山はありません……」
うーん、そうなのか。良い考えだと思ったんだけど……。そして私は、考えた。そうだ、これならどうだろう?
「ナバウ様。それではその山から、鉄などは採れないでしょうか? 鉄が採れれば剣や盾や鎧を作って、商売をすることができますわ」
だがやはりナバウ様は、首を左右に振った。
「いえ。その山からは、金しか見つかりませんでした。鉄などの鉱物は、見つかりませんでした」
うーん、そうでしたか。そして私は、更に考えた。そして、ひらめいた。そうだ! これならどうだろう?!
「ナバウ様! それならこの町に、何か人を呼べる珍しい場所はありませんか?! それならモノを作れなくても、観光地にしてお客さんを呼ぶことができますわ!」
するとナバウ様は、残念そうな表情で答えた。
「いえ。この町にもこの近くにも、人を呼べそうな珍しい場所はありません……」
う、そうか。無いのか。残念。良い考えだと思ったんだけどなあ……。しかしそうなってくると、大問題だ。何もないこの町は、このままでは人がいなくなってしまう。稼ぐことができないから、パンを買うこともできなくなるだろう。そうなったらここの人々は、飢え死にしてしまう……。
と、そこまで考えるとまた、ひらめいた。そうですわ! パンが無いなら、作れば良いんですわ! 私はこの考えを、ナバウ様に提案してみた。
「ナバウ様! この町でパンの材料になる、フラウアを栽培してはどうでしょうか?! そしてそれを、他の町に売るんです! 最悪売れなくても、フラウアでパンを作ればこの町の人々が飢え死にすることは無いと思うんですが?!」
するとナバウ様は、真剣な表情になった。
「なるほど。その手がありましたか。中々、良い考えだと思います。もしフラウアが売れなくても、それでパンを作れるというのが素晴らしいです」
私は思わず、ガッツポーズをした。よし、やった! これでこの町の人たちを、救えますわ! だがナバウ様は、呟いた。
「しかし問題は、どこでフラウアを栽培するかですね。この町には、そんなに広い土地はありません……」
な、そうなんですの?! ダ、ダメだ。土地が無かったら、フラウアを栽培することはできない。くっ、良い考えだと思ったんですが……。なので私は、必死に考えた。土地、土地、土地、土地! 土地さえあれば、フラウアを栽培できるのに! すると、ひらめいた。あ、あそこはどうでしょう?! なので私は、ナバウ様に提案してみた。
「ナバウ様! この町の中央に、広い建物がありましたよね! あの建物を解体すれば、広い土地になるんじゃないでしょうか?!」
するとナバウ様は、真剣な表情で頷いた。
「なるほど、その手がありましたか。あの建物は、金貨を作るための工場だったのです。しかし、なるほど。その手がありましたか……。それは良い考えだと思います、ユーミ王女。なのでこれから、アシマ町長と話をしてみましょう」
「はい!」
そして私とナバウ様は、役場の町長室でアシマ町長と対面した。私の提案を聞いた彼は、唸った。
「うーん、なるほど。その手がありましたか……。しかしそれは、残念です。またどこかの鉱山から金が採れるようになったら、あの工場で金貨を作りたいと思っていたんですが……」
それを聞いた私は、思わず大きな声を出した。
「そんなことを言っている場合ではありません! もう金は採れないと考えた方が良いでしょう! さあ、あの工場を解体してフラウアを栽培するんですか、しないんですか?! あなたが早く判断しないと、この町の人々は飢え死にするかもしれないんですよ?!」
すると私の迫力に気圧されたアシマ町長は、ナバウ様に助けを求めた。
「ナ、ナバウ様! 一体、誰なんですかこの方は?! どうしてこんなに怖いんですか?!」
そう言われたナバウ様は、説明した。
「このお方は、ユーミ王女です。現在、私と剣聖になるために旅をしています。ユーミ王女はこれから、立派な女王になろうとしています。そんな彼女は、目の前で国民が飢え死にするかも知れないことを何としても防ぎたいようです」
それを聞いたアシマ町長は、やはり驚いた表情になった。
「な、ユ、ユーミ王女?! あなたは次の女王になられる、ユーミ王女なんですか?!」
なので私は、再び迫った。
「その通りです、私はユーミです。さあ、アシマ町長! あなたは一体、どうするんですか?!」




