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【完結済】わがまま王女ですが剣聖と二人旅をして、仕方がないので人助けをして剣聖と真の女王を目指しますわ!  作者: 久坂裕介
第四章 王女、産業を生み出す

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第三十八話 さびれた町

 ミワーヨの町から、南に歩いて三日目。私とナバウ様は、町を見つけた。するとナバウ様は、告げた。

「あれは、ミサスの町です。ちょうどいいので、ちょっと休みましょう」


 町に入ってみると、人影《ひとかげ》が無かった。町の中央には木造《もくぞう》の広い建物《たてもの》があり、その周《まわ》りにはレンガ造《づく》りの民家《みんか》らしき建物があるのだが。するとナバウ様は、疑問の表情になった。

「おかしいですね。この町は近くに金が採《と》れる鉱山《こうざん》があって、それでこの国に流通《りゅうつう》する金貨《きんか》を作って大勢《おおぜい》の人が暮らしていたはずなんですが……」


 なるほど、そうでしたか。でも今は、人を見かけませんわ。こういう時は……。少し考えた私は、ナバウ様に聞いてみた。

「ナバウ様。こういう時はまず、この町の町長に話を聞けばいいんでしたっけ?」


 するとナバウ様は、ニッコリと微笑《ほほえ》んだ。

「その通りです、ユーミ王女。それでは早速《さっそく》、行ってみましょう」


 そうして私たちは、この町の奥にある役場に向かった。そこは正方形で、灰色のレンガで造られた大きな建物だった。うーん。こんなに大きな役場を建てられるとは、この町は金貨を作ってかなり潤《うるお》ったんだろう。なのに今は、人を見かけない。やはりこれは、町長に詳《くわ》しい話を聞くしかない。なので私たちは、三階の町長室に向かった。


 ナバウ様がドアをノックすると、中から元気が無い返事が聞こえた。

「はい~。どうぞ~」


 部屋の中に入ってみると、奥の木製の机にやはり元気がなさそうな痩《や》せた人物が座っていた。一応《いちおう》黒い背広《せびろ》を着ていたが、それも何だか汚れているようだ。髪は白髪交《しらがま》じりで目はギョロリとしていたが、生気《せいき》は感じられなかった。そうとう、弱っているようだ。それでもナバウ様を見ると、少し元気な声を出した。

「おお! これはナバウ様! 以前は金が出る鉱山を発見していただき、ありがとうございました! おかげでこの町は金貨を作り、貧《まず》しかったこの町は潤いました!」


 私は町長のその話を聞いて、ちょっと引いた。え? 金が採れる鉱山を発見したのは、ナバウ様だったんですか?! ナバウ様は本当に、剣聖《けんせい》ですか?! 剣聖って、そんなこともするんですか?! 私も剣聖になったら、そんなことまでしなきゃいけないんですか?! しかしナバウ様は、冷静に町長に質問した。

「そうですよね、アシマ町長。この町は金貨を作り、大勢《おおぜい》の人たちが暮らしていたはずでしたが?」


 するとアシマ町長は、すがるような目でナバウ様に説明した。確かにこの町は大勢の町民が金貨を作って、豊かな暮らしをしていた。だが半年前から鉱山から金が採れなくなり、金貨を作ることができなくなった。さらにこの町の役場の近くに流れていた川も、一カ月前から水の量が減った。なのでこの町で暮らしていくのが難しくなり、多くの人々がこの町を出て行ったと。


 うーむ、なるほど。そういうことでしたか。なので今この町で、人影を見ないのですね……。と私が納得《なっとく》していると、アシマ町長は机に両手をついて頭を下げた。

「お願いです、ナバウ様! また以前のように、この町に活気《かっき》を取り戻してください!」


 するとナバウ様は、少し考える表情になったあとに答えた。

「分かりました。ちょっと、考えてみます」


 そう言い残してナバウ様が町長室を出て行ったので、私もその後について行った。役場から出ると、ナバウ様は提案した。

「まずはこの町の食堂で、食事をしましょう。今までは硬《かた》いパンと干《ほ》し肉だけだったので、ユーミ王女も久しぶりに温かい食事をしたいでしょう」

「はい! 確かに!」


 そうして私たちはこの町の、食堂に入った。この町にはいくつかの食堂があったが、営業しているのはここだけだった。なので私は、嫌《いや》な予感がした。この食堂、ちゃんとした食べ物が出るんでしょうね?……。だがやはり、私の嫌な予感は当たった。店員に聞いてみると今《いま》出せるのは、パンとスープだけだった。


 それでも今までの食事よりもマシなので、私とナバウ様はそれを注文した。そして出てきたのはやはりパンと、コーンスープだけだった。うーん。この町は、予想以上にさびれてますわね……。それでも私たちは、久しぶりの温かい食事にありつけた。パンとコーンスープしか出なかったので、食事はすぐに終わったが。するとナバウ様は、話し出した。

「うーむ。これは予想以上にさびれてしまいましたねえ……」

「はい。そうですねえ……」


 この町のあまりにもさびれた雰囲気《ふんいき》に影響《えいきょう》されたのか、私たちまで気分が落ち込んだ。でも私は、決意した。この町を何とか、活気《かっき》に満《み》ちた町にしようと。私は今は王女だが、やはりこの国の国民には豊かな暮らしをしてもらいたいからだ。そして、気付いた。ナバウ様も、こんな気持ちだったんじゃないだろうか? ナバウ様もこの町にきた時、同じことを考えたんじゃないだろうか? だから金が出る鉱山を、探し出したんじゃないだろうか? 私がそう聞いてみると、ナバウ様は頷《うなづ》いた。

「確かに、そうです。この町はモンスターに襲《おそ》われた訳《わけ》ではありませんでしたが、貧しかったのです。なので私は、この町を何とかしたかったのです」


 なるほど、やっぱり……。

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