第二十八話 入学初日
なので私は、提案した。
「えーと……。私の名前は、ユーンということにしていただきたいんですがどうでしょうか?」
するとサカミ校長は、頷いた。
「ええ。ユーミ王女がそうおっしゃるのなら、構いません。それでは早速、明日からこのミワーヨ魔法高等学校に入学していただきたいと思います」
「はい。よろしくお願いします」
そう答えて私は、ホッとした。この魔法学校で、魔法を学ぶことができるからだ。そう考えていると、サカミ校長は、告げた。
「それでは教科書などはこちらで、用意させていただきます。ただ、制服はご自分で用意していただきたいと思います。やはりそのピンクのドレスは、目立ってしまいますので……」
そう言われて私は、自分の服装を確認した。私が今着ているのは、目にも鮮やかなピンクのドレスだ。これだとやはり、学校内で目立ってしまうだろう。この学校の生徒たちに溶け込みたいと思っている私としては、やはりそれは避けたい。そう考えていると、ナバウ様が提案した。
「この学校の制服なら、この町の洋服店で売られているはずです。そこで、用意しましょう」
そうして話がまとまり、私とナバウ様は魔法学校から出た。そして早速、洋服店に向かった。ナバウ様が店長と話をすると、店長が一着の制服を持ってきてくれた。それは私のサイズにピッタリ合いそうなので、早速試着室で着てみた。そして鏡に自分の姿を映してみた私は、上機嫌になった。
私はもう二〇歳だから高等学校の制服が似合うかどうか心配だったが、うん、これならイケますわ。それは上半身は黒いシャツで、下半身は黒いスカートだった。うん。私はまだまだ、高等学校の制服を着てもイケますわ!
こうして魔法学校に入学する準備ができた私はナバウ様と宿屋で別々の部屋に入り、朝を迎えた。宿屋の食堂で朝食を食べた私たちは、魔法学校の校長室に向かった。そこで私は教科書と、ノートを受け取った。するとナバウ様は、説明した。
「この学校は生徒全員が男女別々の寮に入るので、ユーミ王女もそうしていただきたいと思います。私はこの町の図書館で、モンスターと魔族について調べようと思います」
そしてナバウ様はこの校長室から出て行き、私とサカミ校長は三年生のA組の教室に向かった。そこでは朝のホームルームが行われていたが、サカミ校長が私を紹介してくれた。
「えー、皆さん。突然ですが今日から、このユーンさんが皆さんと一緒に魔法を学ぶことになりました。短い期間だとは思いますが皆さん、仲良くしてください。それではユーンさん、挨拶をどうぞ」
そう言われた私は、教壇に立って挨拶をした。
「皆さん、初めまして。私は、ユーンと申します。短い間ですが、皆さんと一緒に魔法を学びたいと思います。よろしくお願いします」
と私の挨拶が終わると、サカミ校長が指差した。
「えーと。あ、ちょうどこのクラスの委員長のハショウ君の隣が空いているので、ユーンさんの席はそこにしましょう。それでは」
そう言い残してサカミ校長は、このクラスから出て行った。私は木製の机とイスの席に座り、よし、ここでがんばって魔法を覚えるぞと意気込んでいると隣の席のハショウ君が話しかけてきた。彼は黒髪のおかっぱで、どこか自信さなげな目をしていた。
「あ、あの。僕は一応このクラスの委員長なので、分からないことがあったら何でも聞いてください」
「そうですか。こちらこそ、よろしくお願いします」
と私がハショウ君と挨拶をしていると、男子生徒たちがヤジを飛ばしてきた。
「よ、ハショウ! 可愛い子だからって緊張しねーで、ちゃんと相手をしてやれよ!」
「そうだ、そうだ!」
「イヒヒヒヒ」
私はそのヤジにちょっとㇺッとしたが、ハショウ君が耳打ちしてきた。
「お、抑えてくださいユーンさん。彼らは、貴族の子息たちなので……」
ふーん。貴族の子息ですか。まあ、この国の貴族たちは偉そうにしているので、子息たちもそうなってしまうのね。そしてふと疑問に思った私は、ハショウ君に聞いてみた。
「でもあなたは、しっかりしているようね。ハショウ君?」
するとハショウ君は、苦笑いを見せた。
「い、いや。僕は平民の子供だから……」
ふーん、なるほど。平民の子だから、貴族の子息には逆らえないと。こういう関係は、学校から始まっているのか。と私が納得していると、授業が始まった。最初は、この国の歴史の授業だった。
それから国語、数学、他の国の状況などの授業を受けた。だが私にはどれも、簡単だった。なぜならどれもすでに、お城でダーカ先生から教えてもらったモノばかりだったからだ。なので私は先生からこの問題を答えてくださいと言われても、余裕で答えることができた。
なので午前の授業が終わると、私は生徒たちに囲まれた。
「ユーンさん、すごいわ! すごく勉強がおできになるのね!」
「ホント、ホント!」
「あとで私に、勉強を教えてもらいたいくらいだわ!」
私は、「こちらこそ、よろしくお願いします」と挨拶をして一安心した。ふう。どうやらこのクラスで、上手くやっていけそうね。すると金色の髪を肩まで伸ばして、優しそうな目をした女子生徒が話しかけてきた。
「私はこのクラスの副委員長の、ナリンといいます。これから、よろしくね」




