第二十六話 疫病が去った町
なので私は、調子に乗った。
「これならナバウ様の、一〇〇パーセントの速さの攻撃を受けることができるかも知れませんわ!」
するとナバウ様は、ニッコリと微笑んだ。
「それは無理ですね、ユーミ王女」
「な、なぜですの?!」
「はい。私が最終奥義を使えば、ユーミ王女の強さを一〇〇とすると私の強さは一億だからです」
い、一億……。私は思わず、落ち込んだ。ナバウ様は、そんな私に声をかけた。
「そんなに落ち込むことはありませんよ、ユーミ王女。あなたはもう、十分に強いですから」
「は、はあ……」
「それにこれから、この修業の最終試験を受けていただきますから」
「さ、最終試験?!」
「そうです」
とナバウ様は、剣を引いて構えた。そして一瞬で、私の体全身に一〇回の突きを放った。全て寸止めで、私には当たらなかったが。そしてナバウ様は、聞いてきた。
「どうですか、ユーミ王女? この十連の突きを、受けられますか?」
む、無理だ。この十連の突きを全て受けるのは、無理だ……。と私が沈黙していると、ナバウ様は、告げた。
「この十連の突きを受けられれば、この修業は終わりです。でも今日はもう遅いので、続きは明日にしましょう」
そうして私たちは宿の食堂で夕飯を食べて、それぞれの部屋に戻った。でも私は、眠れなかった。あの十連の突きを受けるのは、今の私には無理だ。でもあの十連の突きを受けなければ、この修業は終わらない。それには一体、どうすれば良いのか?……。
そうして考えていると、ひらめいた。そ、そうだ! これならイケるかも知れませんわ! そう思い立つと私は、ピンクのドレスを着て宿の外に出た。そして、突きの練習をした。速く、もっと速く! そうして私が突きの練習をしていると、夜が明けた。そして私は、手ごたえを感じた。イケる。これならイケますわ! と考えていえると、ナバウ様が起きてきた。
「どうしたんですか、ユーミ王女? まさか、寝ていないのですか?」
「はい! 寝ないで最終試験を突破するための、修業をしてましたわ!」
するとナバウ様は、真剣な表情になった。
「ほほう。すると私の、十連の突きを受けられるようになったのですか?」
「はい! 多分、イケますわ!」
「ほほう。ならば受けてもらいましょう。私の、十連の突きを」
そう言ってナバウ様は、自分の部屋から剣を持ってきた。そして、構えた。
「それでは行きますよ、ユーミ王女」
「はい!」
そしてナバウ様は、十連の突きを放った。だが私も、十連の突きを放った。すると私とナバウ様の前で、剣先がぶつかり合った。
ガガガガガガガガガガ!
や、やった! 私はやりましたわ! ナバウ様の、十連の突きを受けましたわ! そうして喜んでいると、ナバウ様は微笑んだ。
「なるほど。まさか、私と同じ十連の突きを放って受けるとは……。お見事です、ユーミ王女……」
「す、するとナバウ様! この最終試験の結果は?!」
「はい。もちろん合格ですよ」
それを聞いた私は、喜びを爆発させた。
「やったー! やりましたわ! 私は最終試験に合格しましたわ!」
そんな私を見て、ナバウ様はやはり微笑んだ。
「全くあなたは大した人ですよ、ユーミ王女……」
そうして私たちは、宿屋の食堂で朝食を食べた。それからダカズ町長に、会いに向かった。その途中、町の人々は皆笑顔で活気に満ちていた。こ、これはひょっとすると……。私たちが町長室に入ると、ダカズ町長は満面の笑みで私たちを出迎えた。
「ありがとうございます、ナバウ様にユーミ王女! 薬ができたおかげで、この町から疫病は完全に無くなりました!」
するとナバウ様は、微笑んだ。
「そうですか、それは何よりです。では私たちは、また旅に出ます。それでは、ごきげんよう」
そうして私たちは宿屋に戻ると、旅の準備をした。そしてこの町から、出ることにした。町の端まで移動すると、ナバウ様は聞いてきた。
「この町の人々の笑顔を見ましたか、ユーミ王女」
「はい、見ましたわ」
「それを取り戻したのは他でもない、あなたなんですよ、ユーミ王女」
こ、この私が……。私は振り返り、この町の人々を見つめた。するとやはり皆、笑顔で活気に満ちていた。すると私は、今まで感じたことがない満足感に包まれた。そんな私を見て、ナバウ様は告げた。
「さあ。それでは旅を続けますよ、ユーミ王女」
「はい!」
そうしてナバウ様と私は、この町を出た。




