第二十四話 防御の修業
するとミシャさんは、恐縮した。
「いえいえ、とんでもない。私は自分の仕事を、やり遂げただけです」
「そうですか。それならばこれからも、あなたの仕事をがんばってください」
「はい。ユーミ王女も、立派な女王になってください」
「はい、がんばります」
そうして私とナバウ様は、薬屋を出た。ナバウ様は、話し出した。
「うーん。薬ができたことはもちろん良いことなんですが、この町から完全に疫病が無くなるのはやはり数日かかるでしょう」
「するとナバウ様。それまではこの町に、いるつもりですか?」
「はい、そのつもりです。ユーミ王女は、見たくありませんか? この町から疫病が無くなり、人々が幸せに暮らす様子を」
うーん、なるほど。確かにそれは、見てみたい。でもそれまで、どうするんだろう? なので私は、ナバウ様に聞いてみた。
「ナバウ様。確かに私も、人々が幸せに暮らす様子を見てみたいですわ。でもそれまで私たちは一体、何をするんでしょう?」
するとナバウ様は、少し考える表情になった。そして、提案した。
「それならば、剣の修業をするのはどうでしょう?」
「剣の修業?」
私は少し、考えた。剣の修業なら、お城の城下町でやったハズだ。私がナバウ様に一撃を入れて、終わったハズだ。なので、聞いてみた。
「あの、ナバウ様。剣の修業なら、もうやったハズでは?」
するとナバウ様は、真剣な表情で答えた。
「確かに、そうですね。でもあの時私は、剣も盾も持っていませんでした。なので今回は、私も少し本気を出します。剣と盾を持った私に、一撃を入れる修業です」
うーん、なるほど。それは確かに、お城の城下町でやった修業とは違う。それに私は、やってみたくなった。剣と盾を持って、本気を出したナバウ様との修業を。なので私は、答えた。
「いいですわ。ぜひ、その修業をやってみたいですわ」
するとナバウ様は、ニッコリと笑みを見せた。
「はい。では、そうしましょう。早速、やってみましょう」
そう言ってナバウ様は、背負っていた剣と盾を両手に持った。そして私と、向かい合った。私も、聖剣アポビーを構えた。そしてナバウ様に一撃を入れようとしたが、ダメだった。ナバウ様には全く、スキが無かったからだ。
右手に銀色に輝く剣を、左手に銀色に輝く盾を持ったナバウ様には全くスキが無かった。どこを攻撃しても、盾か剣でさばかれるような気がした。するとナバウ様は、言い放った。
「どうしました、ユーミ王女。とにかく攻撃しないと、話になりませんよ?」
そ、それもそうですわ。私はナバウ様に挑発されて、攻撃する気になった。まずは剣を振り上げて、渾身の力で振り下ろした。だがこの攻撃は、あっさりっとナバウ様の盾で防がれた。するとナバウ様は、再び挑発してきた。
「どうしました、ユーミ王女? お城の城下町での修業を、忘れてしまいましたか?」
はっ、そうですわ。ナバウ様には、普通の攻撃は効かない。私はフェイントを入れた連続攻撃で、やっとナバウ様に一撃を入れたことを思い出した。よーし、やってやりますわ!
「思い出しましたわ、ナバウ様。なので、覚悟してください!」
するとナバウ様は、ニヤリと微笑んだ。
「そうです。それで、いいんです」
「それでは行きますわ! はーっ!」
私は真上からの振り下ろしと見せかけて、左からの薙ぎ払いを放った。だがナバウ様は、この攻撃を軽々と盾で受け止めた。まだまだ、まだですわ!
それからも私は、フェイントを入れた連続攻撃を続けた。だがいくら攻撃しても、ナバウ様は軽々と盾で受け止めた。さすがに盾と剣を持って、本気になったナバウ様は強かった。すると攻撃に疲れて、私の動きは止まった。くっ。本気になったナバウ様には、一撃を入れられないですわ……。するとナバウ様は、ニヤリと微笑んだ。
「どうですか、ユーミ王女? 盾とは、こんなに便利なモノなんですよ?」
それを聞いて、私は大きなショックを受けた。なるほど。この修業の目的は、盾を持たない私に盾の便利さを見せつけて私に盾を持たせることですわ! それに気づいた私は、最後の手段に出た。私は盾を構えているナバウ様に向かって、両足で渾身のドロップキックをぶちかました。
「これでどうですのー!」
「ぐはっ」
私の渾身のドロップキックを喰らったナバウ様は、仰向けに倒れた。だがすぐに立ち上がって、ブチ切れた。
「な、ユーミ王女! これは反則ですよ、反則! 剣の修業の最中に、ドロップキックは反則ですよ!」
なので私は、言い放った。
「あーら、ナバウ様。それを敵にも、おっしゃるつもりですか? 戦っている最中に、この攻撃は反則だとおっしゃるつもりですか? 戦いに、反則も卑怯もありませんわ!」




