第二十一話 薬屋
するとナバウ様は、説明した。
「はい。私が調べたところ、ブラック・ドラゴンの肝臓にはその毒を解毒する成分があるようなのです。なのでそれを現在、疫病にかかっている人々に分け与えようと思っています」
うーむ、なるほど。さすが剣聖、ナバウ様。そこまで、考えていたとは。そしてしばらく見ているとナバウ様は、ブラック・ドラゴンの体から三〇センチほどの大きさの赤黒い臓器を取り出した。あれがきっと、ブラック・ドラゴンの肝臓なのだろう。ナバウ様はそれを黒い袋に入れると、告げた。
「それではダヒルの町に、戻りましょう」
「はい!」
こうして私たちは、ダヒルの町に戻った。まずは、ダカズ町長に会いに行った。そしてナバウ様は、説明した。今回の疫病の原因は、ブラック・ドラゴンだと。そしてそのブラック・ドラゴンは、倒したと。するとダカズ町長は、ナバウ様の手を握って感激した。
「おおおお! さすが剣聖ナバウ様! ありがとうございます!」
するとナバウ様は、口をすべらせた。
「いえいえ。今回ブラック・ドラゴンを倒したのは、こちらのユーミ王女……、はっ!」
それを聞いたダカズ町長は、驚いた表情で私を見た。
「ユ、ユーミ王女?! そ、そういえば一度、お会いしたことがあります!」
でも私は、憶えてなかった。ダカズ町長? 会ったこと、あったっけ? 憶えてないなー。まあお城には、色んな人がくるからなー。いちいち、憶えてないなー。するとダカズ町長は、聞いてきた。
「で、でもなぜユーミ王女がナバウ様と旅を? なぜ、ブラック・ドラゴンを倒したのでしょうか?」
仕方が無いので、私は説明した。
「それは私が、真の女王になるためですわ。この国の国民が実際に、どのような生活をしているのかを見学するために旅をしていますわ。そして剣聖になって、全ての国民を護れる力を手に入れるためですわ」
それを聞いたダカズ町長は、感激した表情になった。
「す、素晴らしいです、ユーミ王女! そんなあなたなら必ず、立派な女王になるでしょう!」
と率直に褒められた私は恥ずかしくなって、照れ隠しにダカズ町長にドロップキックをぶちかました。
「そ、そんなに褒めて何も出ませんわーー!!」
「ぐはっ!」
するとナバウ様は、慌てた。
「い、いけません、ユーミ王女! 町長にドロップキックをぶちかますのはいけません!」
なるほど、確かにそうだ。私ったら、何てことを。いくら照れ隠しだからと言って、これはいけませんわ。なので私は、頭を下げた。
「申し訳ありません、ダカズ町長。私ったら、つい。オホホホ……」
するとダカズ町長は一応、許してくれた。
「ま、まあ今回は、この町はユーミ王女に救われたので。それに私も、失礼なことを聞いてしまったようなので……」
なので私は、大きく出た。
「うんうん。分かればよろしいですわ、分かれば。オーホッホッホッホッ!」
ふと見るとナバウ様は、呆れた表情でため息をついていた。だが、説明した。
「申し訳ありません、ダカズ町長。お詫びと言っては何ですが、倒したブラック・ドラゴンにはまだウロコがあります。そのウロコを、差し上げます。それを、この町のために使ってください。それと、薬屋を紹介してください。ブラック・ドラゴンの肝臓から、疫病を治す薬を作れるはずなので」
「おお! ブラック・ドラゴンのウロコを! ありがとうございます! それと薬屋なら、シャミ薬屋がいいでしょう。この町の、中央にあります。シャミはこの町で、一番の薬剤師なので」
「そうですか、ありがとうございます」
そうして私たちは町長と別れて、町の中央部に向かった。シャミ薬屋は、すぐに分かった。大きな看板が、出ていたからだ。白いレンガで造られた大きな建物に入ると、数人の白いエプロンを着た女性たちが働いていた。茶色の壺に入った薬や、壁に吊るしてある薬を売っているようだった。ナバウ様は、その内の一人に声をかけた。
「あの。私はナバウと申しますが、シャミさんはいらっしゃいますか?」
「はい。少々、お待ちください」
その女性は店の奥に行くと少しして、白衣を着た老婆を連れてきた。私は、驚いた。え? この人がこの町で一番の薬剤師? 大丈夫かしら?……。するとシャミは、ナバウ様に声をかけた。
「おお、おお、これはナバウ様。一体、どのようなご用件でしょうか?」
なのでナバウ様は、説明した。この町の疫病の原因は、ブラック・ドラゴンだったと。ブラック・ドラゴンは倒したが、まだまだ疫病にかかっている人々がいる。ブラック・ドラゴンの肝臓から疫病を治す薬を作れるはずなので、作ってほしいと。するとシャミは、やる気になったようだ。
「何と! ブラック・ドラゴンの肝臓から薬を! ええ、ええ、やってやりますよ。明日までには、作って見せますよ」




