第十八話 初めての戦い
草原には四の月の中旬らしく、暖かさを感じる風が吹いていた。そして歩き続けると、木などはほとんど生えていない黒い土だけの小高い山に着いた。そして正面にはやはり、高さが三メートルほどの洞窟があった。私とナバウ様は頷きあい、洞窟の中に足を踏み入れた。洞窟の入り口近くには、まだ太陽の光が入っていたが少し歩くと暗くなり、そして更に歩くと完全に暗闇になった。するとナバウ様は、呟いた。
「ライト」
次の瞬間、ナバウ様の頭上に小さな光の玉が出現して、あたりを照らした。私はもちろん、驚いた。
「ひょ、ひょっとしてこれは魔法ですかナバウ様?!」
するとナバウ様は、頷いた。
「ええ。そうですよ、ユーミ王女」
「ナ、ナバウ様は剣聖なのに魔法を使えるんですか?!」
「はい。基本的な魔法は、一通り使えます。魔法はやはり便利なので、ユーミ王女も魔法を覚えることをお勧めします」
私は、少し考えた。魔法を覚えるには、やはり勉強が必要なはずだ。確か魔導書を読んで、勉強しなければならないはずだ。うーん、また勉強……。でも、便利なのは確かなようだ。例えば今、ナバウ様のライトの魔法が無ければこの暗い洞窟を進めないだろうからだ。魔法か、覚えてみるか……。すると私の目の前に、五匹のコウモリが現れた。
でも普通のコウモリと違って、牙が異常に長い。そして、色が青い。なので私は、聞いてみた。
「このコウモリ、変わってますわね? ナバウ様?」
「そうですね。これはコウモリではなく、モンスターですから」
私はまたも、驚いた。
「え?! こ、これはモンスターなんですか?!」
「はい、そうです。こんなに牙が長くて色が青いコウモリは存在しません」
な、なるほど……。そう思っていると、何とコウモリのモンスターは私に襲いかかってきた!
「きゃ! ど、どうすればいいんでしょうか、ナバウ様?!」
するとナバウ様は、冷静に答えた。
「まあ、倒すしかないでしょう。今のユーミ王女なら、簡単に倒せるはずです」
「え? そ、そうでしょうか?」
少し戸惑いながらも、私は聖剣アポビーを抜いてコウモリのモンスター相手に構えた。私は今まで、モンスターを倒したことはもちろんない。でも、やらなければならない。剣聖になるためにも、モンスターを倒せるようにならなくてはならない。なので私は、覚悟を決めた。このモンスターと、戦うことを!
私は剣を真上に振り上げて、コウモリのモンスターの一匹に振り下ろした。すると『ギャ』という声を残してそれは、洞窟の地面に落ちた。そして、動かなくなった。え? こ、これって?……。私は、ナバウ様に聞いてみた。
「あ、あのナバウ様。ひょっとして私?……」
するとナバウ様は、微笑んだ。
「ええ。倒しましたよ、モンスターを。おめでとうございます」
「え? こ、こんなに簡単にモンスターって倒せるものなんでしょうか?」
「まあ、そうですね。今回は、ユーミ王女が強すぎたんです。ユーミ王女はハッキリ言って相当、強いです。私が、剣士と認めたくらいですから。それに比べて、このコウモリのモンスターは弱いです。最弱のレベルでしょう」
な、なるほど。なので私は、残りのコウモリのモンスターにも剣で攻撃してみた。すると皆、一撃で倒すことができた。私は初めてモンスターを倒すことができて、調子に乗った。
「や、やりましたわナバウ様! さあ、この調子でドンドン行きましょう!」
するとナバウ様は、優し気な眼差しで微笑んだ。
「はい。そうですね」
そうして私たちが洞窟の奥に進むと、またコウモリのモンスターが現れた。でも、私の敵ではなかった。私は剣を、左から右に薙ぎ払ってみた。すると五匹いたコウモリのモンスターたちは、一撃で洞窟の地面に落ちて動かなくなった。ら、楽勝! 私って、こんなに強いんですの?! それから私たちは、ドンドン洞窟の奥に進んだ。
するとやはりコウモリのモンスターが現れたが、私の敵ではなかった。私は一撃でコウモリのモンスターを倒し続けた。そうして私は上機嫌で洞窟の奥に進んでいると、今度はちょっと大きなトカゲが現れた。大きさは子犬ぐらいで、黄色だった。私は、すぐに分かった。
「ナ、ナバウ様! きっとこのトカゲも、モンスターですわね! こんなに大きくて黄色のトカゲなんて、いないですから!」
するとやはりナバウ様は、頷いた。
「はい。その通りです、ユーミ王女」
それを聞いて、私は決めた。このトカゲのモンスターも、この私が倒してやろうと! トカゲのモンスターも五匹現れたが、私は一番近くにいるトカゲのモンスターに狙いを定めた。そして私が倒そうと剣を振り上げると、何とそれは小さな炎を吐いた! 私はびっくりして、思わず悲鳴を上げた。
「きゃ! ナ、ナバウ様! このトカゲのモンスター、炎を吐きましたわ!」
するとナバウ様は、冷静に答えた。
「そうですね。でもやはりこのトカゲのモンスターも、弱いです。やはりユーミ王女の、敵ではないでしょう」
「そ、そうでしょうか?」




