第十四話 旅立ち
なので私は、再びすぐに決心した。ナバウ様と二人で、旅に出ることを。だがその前に、王と王妃を説得しなければならない。それは簡単なことではないと思ったが、私は決めた。絶対に説得してやる! そして私は、作戦を考えた。その日の夕食は幸い、王と王妃は機嫌が良かった。
「ユーミ。今日もちゃんと、立派な女王になるために勉強をしたようだな。ダーカ先生から、そう聞いたぞ。来月の四の月、お前は二〇歳の誕生日を迎えて成人して女王になる。まあ最初はこの私がアドバイスをするが、やがてお前は一人で立派にこの国を統治するだろう。わっはっはっはっはっ」
「ええ、そうね。ユーミはきっと、立派な女王になるわ。おっほっほっほっほっ」
私は、作戦を実行するなら今だと思った。王と王妃の機嫌が良い、今だと。私は、話し出した。
「お父様、お母様。そのことでちょっと、お話があるんですが」
「うん? 何だい、ユーミ?」
「私は女王になる前に、旅をしたいんです」
すると王と王妃は、予想通り驚いた表情になった。
「た、旅に?! な、なぜだユーミ?!」
「そ、そうよ! まずは、理由を言ってごらんなさい!」
なので私は、説明した。
「私は今までダーカ先生に、この国のことを教わりました。でも教われば教わるほど、実際にこの国の町を見てみたいと考えるようになったのです。この国の国民が実際に、どのように生活をしているのかを見たくなりました。そうすることで私は、より良い女王になれると考えたのです」
すると王は、大きな声を出して感激した。
「偉いぞ、ユーミ! 我が娘ながら、そこまで考えるようになったとは!」
王妃も、嬉し涙を流して喜んだ。
「ええ、ええ。立派に育ったわね、ユーミ……」
だがやはり、王は反対してきた。
「しかし、ユーミ。やはりお前を、旅に出すのは心配だ。お前はまだ一九歳だし、次の女王だ。お前の身に、何かあったら……」
すると王妃も、心配しだした。
「ええ、ええ。それもそうねえ……。やはりお前は、女の子だし……」
なので私は、切り札を出した。
「そんなに心配しないで、お父様、お母様。私は、剣聖ナバウ様と一緒に旅をするつもりです。期間は、一カ月ほどと考えていますわ」
それを聞いた王と王妃は、また感激した。
「おお! そこまで考えていたのか、ユーミ! 素晴らしい!」
「ええ、ええ。本当に素晴らしいわ」
そして王と王妃は話し出し、結論が出たようで王は私に告げた。
「よろしい、ユーミ! お前が一カ月、剣聖ナバウと旅に出ることを許そう!」
私はそれを聞いて、テーブルの下で王と王妃に見えないようにガッツポーズをした。よし、やった! やはり王と王妃は、私が立派な女王になるためという理由なら旅を許可してくれた。しかもナバウ様と一緒なら、安全だろうと思ってくれた。
剣聖になるために旅をしたいと言えばまず、許可してくれなかっただろう。ふふふふ。ちょろいですわ、お父様、お母様。全ては私の、計算通り! そして私は、深く頭を下げた。
「旅の許可をいただき、ありがとうございます。お父様、お母様。それでは準備ができ次第、旅に出ようと思いますわ」
「うんうん、それがいい。良いことは、すぐにやりなさい」
「ええ、ええ。そうですわね」
そうして夕食を終えた私はお風呂に入り、ベットに入って横になった。だがやはり旅に出ることを考えると、興奮してなかなか寝付けなかった。いよいよ私は、剣聖になるために旅に出る! よーし、やりますわ! 私は全ての国民を護れる強さを持つ、剣聖になりますわ! そしてそう考えていると、いつの間にか眠りについていた。
次の日から私は、旅に出る準備を始めた。このヨヅン国の地図、荷物を入れるためのリュックなどを用意した。そして一番、大事なことを決めた。それは旅に出る時、どの服を着るかだ。やっと決まったのは、明日が私の二〇歳の誕生日の日だった。
次の日。私は朝食を食べた後、王の間にいる王と王妃に旅に出る挨拶をしていた。私の横には、ちゃんとナバウ様がいてくれた。王は、ハッキリと告げた。
「まずは二〇歳の誕生日、おめでとうユーミ。本来なら成人した今日、女王になるのだがより良い女王になるために旅に出るのだから仕方ない。お前は旅から帰ってきたら、女王になってもらおう」
私は、頭を下げた。
「はい、お父様。私のわがままを聞いてくださり、ありがとうございます」
すると王は、うやうやしく私に一本の剣を差し出した。私は、聞いてみた。
「これは何ですか、お父様?」
「うむ。これは代々、我が国に伝わる聖剣アポビーじゃ。これが、お前の危機を救ってくれることがあるかも知れん。だから、持っていきなさい」
私も、うやうやしく聖剣を受け取った。鞘から剣を抜いてみると、鮮やかな黄色の剣だった。
「ありがとうございます、お父様。大切に使います」
「うむ」
そして私は、出発の挨拶をした。
「それでは行ってまいります。お父様、お母様」
「うむ。くれぐれも、気をつけてな」
「無理をしなくても、いいんですからね。無事に帰ってくれば、それでいいんですからね」
「はい」
王と王妃への挨拶を終えて、私とナバウ様は城下町の入り口に移動した。すると私の格好を見たナバウ様は、ため息をついた。
「ユーミ王女。その格好で、旅をするおつもりですか?」
私は旅に着ていく服を、やはり一番気に入っているピンクのドレスにしていた。
「ええ、その通りですわ」
「しかも盾も持たず、鎧も着ずに?」
「はい。私はそのようなモノ、持つ気はありませんわ」
するとナバウ様は、渋々納得したようだ。
「やはりあなたは、わがままな王女ですね……」
なので私は、反論した。
「でもちゃんと、黄色のパジャマは持ってきてますわ。背中に背負った、黒いリュックに入れてますわ」
「はいはい。そうですか」
そうしてナバウ様も納得させると、私は気持ちが高ぶって思わず叫んだ。
「いよいよ、出発ですわー! わたしはきっと、立派な剣聖と女王になりますわー!」
そして私は大きく一歩、踏み出した。




